ポジション調整主導で急反落。本日は黒田総裁最後の日銀会合と米雇用統計に注目
〇ドル円、前日のパウエル議長の下院でのハト派発言、米指標不冴えに135.96まで急落
〇ユーロドル、米金利低下に伴うドル売りに米国時間に1.0591まで反発
〇本日、黒田総裁最後の日銀金融政策決定会合と、米2月雇用統計に注目集まる
〇「日銀によるサプライズ修正なし」+「良好な米雇用統計」の組み合わせを想定
〇イベント通過後に急伸する展開をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:134.00ー138.00
海外時間のレビュー
9日(木)のドル円相場は大幅下落。アジア時間早朝に、高値137.43まで上値を伸ばすも、200日移動平均線をバックに伸び悩むと、(1)パウエルFRB議長による前日海外時間の「利上げペースについては何も決定していない」とのハト派発言(下院金融委員会での議会証言)や、(2)上記1を背景とした米長期金利の急低下(米2年債利回りが5.08%から4.97%へ急低下)、(3)日銀金融政策決定会合を控えた警戒感(黒田総裁最後の日銀政策決定会合で植田総裁への置き土産としてサプライズ修正が行われるのではないかとの思惑→円金利上昇)、(4)米新規失業保険申請件数(結果21.1万件、予想19.5万件)の冴えない結果、(5)短期筋の大規模ロスカット、(6)通貨オプション市場のダウンサイドを織り込む動き(1週間物インプライドボラティリティが高騰すると共に、リスクリバーサルも約3年ぶり水準へと円コールオーバー拡大)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値135.96まで急落しました。米国時間午後にかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間3/10午前6時15分時点)では、136.13前後で推移しております。
9日(木)のユーロドル相場は堅調推移。アジア時間朝方にかけて、安値1.0538まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)パウエルFRB議長による前日のハト派発言や、(2)米金利低下に伴うドル売り圧力、(3)ECBによる金融引き締め長期化観測、(4)欧州株の堅調推移、(5)米新規失業保険申請件数の冴えない結果が支援材料となり、米国時間午後にかけて、1.0591まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/10午前6時15分時点)では、1.0580前後で推移しております。尚、昨日よりECB理事会メンバーによるブラックアウト期間がスタートしました。
本日の見通し
ドル円は3/8に記録した約3ヵ月ぶり高値137.90をトップに反落に転じると、昨日はポジション調整主導で一時135.96まで急落しました。こうした中、本日は(1)黒田総裁最後の日銀金融政策決定会合と、(2)米2月雇用統計に注目が集まります。前者については、3月決算の期末月ということもあり、市場の不安定化を回避すべく、サプライズ的な政策修正は見送られるとの見方がメインシナリオとなっていますが、一部では黒田総裁が植田次期総裁への手土産(政策自由度を残すことを目的)として、イールドカーブコントロールの許容変動幅拡大(±0.5%→±1.0%)に踏み切るとの見方も燻っています(サプライズ修正見送りなら円売り、サプライズ修正実施なら円買い)。一方、後者については、先行指標として注目されている米2月ADP雇用統計が力強さを見せたことで、本日発表される米2月雇用統計も予想比良好な結果が期待されています。米労働市場の力強さが示されれば、米金利上昇→米ドル買いの経路でドル円に上昇圧力を加わりそうです。
一方、市場予想を下回る場合には、米ウォールストリートジャーナル紙が3/6に掲載した「Long-Robust U.S. Labor Market Shows Signs of Cooling(米労働市場に減速の兆し。求人サイトが示唆)」で示された通り、米労働市場の減速が意識されることから、米FRBによる金融引き締め観測の急速な後退→米金利急低下→米ドル売りの経路で、ドル円に強い下押し圧力が加わりそうです。当方は、「日銀によるサプライズ修正なし」+「良好な米雇用統計」の組み合わせを想定しているため、ドル円相場はこれらのイベント通過後に急伸する展開をメインシナリオとして予想いたします(一方、リスクシナリオは、「日銀によるサプライズ修正実施」+「米雇用統計の悪化」の組み合わせとなり、この場合はドル円相場の大暴落が予測されます)。
本日の予想レンジ:134.00ー138.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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