ドル円、高値圏から急反落。パウエル議長発言後に乱高下するなど思惑主導の荒々しい値動き(2/8朝)

7日(火)のドル円相場は高値圏から急反落。

ドル円、高値圏から急反落。パウエル議長発言後に乱高下するなど思惑主導の荒々しい値動き(2/8朝)

高値圏から急反落。パウエル議長発言後に乱高下するなど思惑主導の荒々しい値動き

〇ドル円、パウエルFRB議長によるディスインフレ発言と米長期金利の急低下に130.49まで急落
〇しかし、その後「ピーク金利が上昇する可能性がある」とも発言し131円台前半に反発
〇ユーロドル、上記議長発言に1.0766まで上昇後1.07台前半に反落
〇ドル円、一目均衡表の「雲」垂れこめ、下落トレンドも継続、パウエル議長発言もドル売り材料に
〇しばらくは日米各々のファクト待ちか、本日の予想レンジ:130.00ー132.00

海外時間のレビュー

7日(火)のドル円相場は高値圏から急反落。アジア時間朝方にかけて、高値132.71まで上値を伸ばすも、前日高値132.90(1/6以来、約1ヵ月ぶり高値圏)をバックに伸び悩むと、(1)先週末金曜日以降の急ピッチなドル高・円安に対する反動売り(俄かロングのロスカット)や、(2)鈴木財務相による「雨宮現副総裁に対する次期総裁任命に関して打診していない」との否定発言、(3)パウエルFRB議長による「商品部門でディスインフレのプロセスが見られる。また、住宅サービス部門でもディスインフレが始まると予想している/We‘re seeing disinflation in the goods sector. We expect to see it the housing service sector.」とのハト派的な発言、(4)上記3を背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りが一時3.60%へ急低下)、(5)ドル円ロング勢の大規模ロスカットが重石となり、米国時間午後にかけて、安値130.49まで急落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(6)パウエルFRB議長による「データ次第なので、例えば強い労働市場のデータや強いインフレ率のデータが続けば、ピーク金利が上昇する可能性がある/We’re going to react to the data so if we continue to get, for example, strong labor market reports or higher inflation reports, it may well be the case that we have to do more and raise rates more than has been priced in.」とのタカ派的な発言や、(7)上記6を背景とした米長期金利の低下幅縮小が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間2/8午前5時25分現在)では、131.20前後まで持ち直す動きとなっております。

7日(火)のユーロドル相場は軟調推移。(1)ユーロ円相場の冴えない動き(ユーロ円下落→ユーロドル連れ安)や、(2)欧米金融政策の方向性の違い(金融引き締め長期化観測が再浮上している米国と、金融引き締め休止観測が台頭した欧州との金融政策格差)、(3)心理的節目1.0700割れを狙った仕掛け的なユーロ売り・ドル買い、(4)ドイツ12月鉱工業生産(結果▲3.9%、予想▲1.6%、※前年比)の冴えない結果、(5)ミネアポリス連銀カシュカリ総裁による「今のところ金利の予測は変えていない」「インフレが下降傾向にあるという証拠をもっと見たい」とのタカ派的な発言が重石となり、米国勢参入後に、1/9以来、約1ヵ月ぶり安値となる1.0669まで下落しました。

しかし、売り一巡後に下げ渋ると、(6)ドイツ連銀ナーゲル総裁による「一段の大幅利上げが必要」「早期利上げを止めてはならない」とのタカ派的な発言や、(7)シュナーベルECB専務理事による「インフレのモメンタムは依然として非常に高い」「コア・インフレを特に注視」とのタカ派的な発言、(8)パウエルFRB議長による「商品部門でディスインフレのプロセスが見られる。また、住宅サービス部門でもディスインフレが始まると予想している」とのハト派的な発言、(9)上記8を背景とした米長期金利の急低下が支援材料となり、日本時間早朝にかけて、高値1.0766まで反発する場面も見られました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、(10)パウエルFRB議長による「データ次第なので、例えば強い労働市場のデータや強いインフレ率のデータが続けば、ピーク金利が上昇する可能性がある」とのタカ派的な発言や、(11)米長期金利の低下幅縮小が重石となり、本稿執筆時点(日本時間2/8午前5時25現在)では、1.0720前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は2/6に記録した約1ヵ月ぶり高値132.90をトップに反落に転じると、昨日は一時130.49まで急落する荒々しい値動きとなりました(その後131円台前半へと持ち直すも戻りは鈍い)。アップサイドより一目均衡表の分厚い雲が垂れ下がってきていることや、ダウ理論の下落トレンドが継続していること(ダウ理論で見ると1/6高値134.79を上抜けしない限り下落トレンド継続)、パウエルFRB議長発言が予想されたほどタカ派的では無かったことに対する安堵感、鈴木財務相が改めて「雨宮氏の次期総裁任命に関して打診していない」と否定したこと等が、ドル円急反落の背景と考えられます。

結果として、先週末金曜日以降に盛り上がってきた日米金利差拡大に伴うドル買い・円売りシナリオはひとまず肩透かしにあった形となっており、しばらくは日米各々のファクト待ち(来週2/14に発表される米1月消費者物価指数や、今週2/10前後に予定されている日銀人事案の国会提出)の展開が続くと予想いたします(上下しつつも方向感を見出しづらい時間帯の継続を想定)。尚、本日は米MBA住宅ローン申請指数や、米12月卸売売上高、米10年債入札に加えて、米当局者発言(バーFRB副議長、クックFRB理事、ウォラーFRB理事、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁、アトランタ連銀ボスティック総裁、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁)に注目が集まります。

本日の予想レンジ:130.00ー132.00

注:ポイント要約は編集部

高値圏から急反落。パウエル議長発言後に乱高下するなど思惑主導の荒々しい値動き

ドル円日足

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