来週の為替相場見通し:『CPIとFOMCに注目。ドル円・ユーロ共に乱高下必至か』(12/10朝)

今週のドル円相場(USDJPY)は、週初134.55で寄り付いた後、早々に週間安値134.12まで下落しました。

来週の為替相場見通し:『CPIとFOMCに注目。ドル円・ユーロ共に乱高下必至か』(12/10朝)

『CPIとFOMCに注目。ドル円・ユーロ共に乱高下必至か』

〇今週のドル円、週初134.12まで下落するも、米指標の好調等に週央にかけ137.87まで急伸
〇その後一旦米長期金利低下で135円台に反落、週末米PPIの好調に136円台半ばで越週
〇ユーロドル1.05台から一旦1.04台に下落するも方向感定まらず1.05台に戻しての越週
〇ドル円、テクニカル、ファンダメンタルズとも弱さ変わらず、ドル買い円売りトレンド継続を予想
〇来週は米CPIとFOMC要注目、週を通してボラタイルな展開に要注意
〇来週の予想レンジ(USDJPY):132.00ー138.00、(EURUSD):1.0350−1.0750

今週のレビュー(12/5−12/9)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初134.55で寄り付いた後、早々に週間安値134.12まで下落しました。しかし、前週末金曜日に記録した安値133.62をバックに下げ渋ると、(1)中国政府によるコロナ規制の緩和措置(中国政府は大半の公共施設でのコロナ義務付け措置を全国で撤廃→アジア株上昇→リスク選好のクロス円上昇→ドル円連れ高)や、(2)米10月製造業受注(結果1.0%、予想0.6%)の良好な結果、(3)米10月耐久財受注(結果1.1%、予想1.0%)の市場予想を上回る結果、(4)米11月ISM非製造業景気指数(結果56.5、予想53.4)の力強い結果、(5)米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りは一時3.61%へ急上昇)、

(6)心理的節目135.00、136.00、137.00突破に伴う短期筋のロスカット、(7)中村日銀審議委員による「金融緩和を粘り強く続ける必要がある」「このタイミングでの金融政策変更は時期尚早」「総裁人事で金融政策を見直すタイミングが変わると考えず」「残念ながら金融政策の点検・検証の状況には至っていない」とのハト派的な発言、(8)米南部ジョージア州の決選投票で与党・民主党の現職ラファエル・ウォーノック氏が、野党・共和党の新人ハーシェル・ウォーカー氏に勝利したこと(民主党が上院の過半数51議席目を確保→議会運営の円滑化期待→ドル高政策継続の思惑)などが支援材料となり、週央にかけて、週間高値137.87まで急伸しました。もっとも、心理的節目138.00をバックに伸び悩むと、(9)米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りは9/15以来の低水準となる3.40%へ急低下)や、(10)上値の重さを嫌気した短期筋の見切り売りが重石となり、週末・米国時間朝方にかけては、一時135.60まで反落する場面も見られました。

但し、その後発表された(11)米11月生産者物価指数(結果7.4%、予想7.1%、※前年比)や、(12)米12月ミシガン大消費者信頼感指数(結果59.1、予想56.8)が市場予想を上回ると、(13)米金利再上昇に伴うドル買い圧力も重なり、本稿執筆時点(日本時間12/10午前2時00分現在)では、136.40前後まで持ち直す動きとなっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0517で寄り付いた後、(1)中国政府によるコロナ規制の緩和措置や、(2)上記1を背景としたリスク選好のドル売り圧力、(3)アイルランド中銀マクルーフ総裁による「12月会合は50bpの利上げで最終的に落ち着くと思う」「その後数回の会合で追加利上げがあるだろう」とのタカ派的な発言が支援材料となり、週明け早々に、週間高値1.0596(6/28以来、約5ヵ月ぶり高値圏)まで上昇しました。しかし、心理的節目1.0600をバックに伸び悩むと、(4)米11月ISM非製造業景気指数の力強い結果や、(5)レーンECB専務理事兼チーフ・エコノミストによる「インフレがピークに近い可能性が高いことを確信している」「インフレ率は来年6ー7%へと低下するだろう」とのハト派的な発言、(6)欧州株の冴えない動き、(7)米南部ジョージア州の決選投票での与党・民主党の現職勝利(ドル高政策継続の思惑)が重石となり、週央にかけて、週間安値1.0443まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、

(8)ユーロ圏7ー9月期GDP確報値(結果+0.3%、予想+0.2%、※前期比)の市場予想を上回る結果や、(9)欧州株の堅調推移(リスク選好のユーロ買い・ドル売り)が支援材料となり、週末・欧州時間朝方にかけて、一時1.0588まで反発する場面も見られました。但し、12/5に記録した直近高値1.0596にあと一歩届かず失速すると、(10)米11月生産者物価指数や、(11)米12月ミシガン大消費者信頼感指数の市場予想を上回る結果や、(12)それに伴う米金利の再上昇(対主要通貨でのドル買い再開)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間12/10午前2時00分現在)では、1.0546前後で推移しております。

来週の見通し(12/12−12/16)

<ドル円相場>
ドル円は10/21に記録した約32年ぶり高値151.95をトップに反落に転じると、12/2に、一時133.62(8/16以来、約3ヵ月半ぶり安値圏)まで急落しましたが、今週は重要イベントを控えたポジション調整も相俟って持ち直す動きとなりました。但し、上方に複数のレジスタンスポイントが並んでいることや、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転が成立していること等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱い(上値余地は限定的)と判断できます。また、ファンダメンタルズ的に見ても、米利上げペースの鈍化観測や、日銀による金融緩和修正の思惑、上記を背景とした日米名目金利差縮小観測とそれに伴う円キャリートレードの逆流懸念、原油先物価格下落に伴う本邦貿易赤字の縮小期待など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル売り・円買いトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は12/13に予定されている米11月消費者物価指数と、12/13ー12/14の日程で開催される米FOMC(連邦公開市場委員会)に注目が集まります。前者(米CPI)については、クリーブランド連銀が提供するInflation Nowcastingで強い結果が示されている他、12/9に発表された米11月生産者物価指数も強い結果となった為、市場は来週に向けてやや強めのCPIを織り込む動きが見込まれます。言い換えると、市場のペインは市場予想を下回るネガティブサプライズ(逆CPIショック発生)にシフトしており、仮に市場予想を下回る場合には、米金利急低下→米ドル急落の経路でドル円に強い下押し圧力を加えるものと推察されます。

また、後者(米FOMC)については、(1)利上げ幅、(2)ターミナルレート、(3)ターミナルレートの据え置き期間に注目が集まります。当方は、(1)50bpの利上げ実施(前回の75bpから利上げ幅を縮小)、(2)ドットチャートで2023年の政策金利見通しを9月時点の4.625%から5.00%前後へ上方修正、(3)2023年中のターミナルレート据え置き示唆を見込んでいますが、市場の織り込み度合の修正には至らない(FRBが見ているターミナルレートの年内据え置きに対して、市場は来年2月か3月にターミナルレートに達した後、年後半の9月や12月にそれぞれ25bpずつの利下げを予想。FRBの見方と市場の見方に溝が生じている状態は来週の米CPIや米FOMC、パウエル議長記者会見を経ても尚埋まらない公算大→ドットチャートやパウエル議長記者会見がタカ派的であったとしてもドル買いでの反応は限定的)と考えられます。来週は上述の通り重要イベントが相次ぐことから、週を通して、ボラタイルな相場展開に注意が必要でしょう。

来週の予想レンジ(USDJPY):132.00ー138.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は9/28に記録した約20年ぶり安値0.9535をボトムに反発に転じると、今週前半にかけて、6/28以来、約5ヵ月半ぶり高値となる1.0595まで急伸しました(約2ヵ月半で1060ポイントの急騰劇)。この間、ローソク足が主要レジスタンスポイント(一目均衡表転換線や基準線、一目均衡表雲下限や雲上限、21日移動平均線や90日移動平均線、200日移動平均線)を軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転や21日線と200日線のゴールデンクロスも実現するなど、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます(下落から上昇へのトレンド転換の成立)。また、ファンダメンタルズ的に見ても、米FRBによる利上げペースの鈍化観測や、ECBによる利上げスタンスの継続観測(ラガルドECB総裁は11/28に「ユーロ圏のインフレがピークを付けていたとしたら驚きだ」と市場で燻るインフレ鈍化期待を強く牽制)、上記を背景とした欧米金融政策の方向性の違い(欧米名目金利差縮小に着目したユーロ買い・ドル売り)など、ユーロドル相場の上昇を連想させる材料が増えつつあります。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロ買い・ドル売りトレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は12/15に予定されているECB理事会に注目が集まります。市場の関心は、(1)利上げ幅、(2)量的引き締めについての情報提供、(3)スタッフ見通しの3点に集中しており、当方ではそれぞれ、(1)50bpの利上げ実施(前回の75bpから利上げ幅を縮小)、(2)債券売却など積極的なQT開始では無く、満期償還分の再投資を2023年前半頃にストップすることを意味する消極的なQT決定、(3)今回より新たに発表する2025年のインフレ見通しを2.00%程度に設定するシナリオを想定しております。

ECB理事会直後は上記結果がややハト派的と捉えられてユーロ売りで反応する公算が大きいものの、ラガルドECB総裁は記者会見で市場の過度な織り込み(ユーロ圏のインフレ鈍化期待→ECBによる利上げペース鈍化の思惑)を強く牽制する可能性が高いことから、記者会見後は一転してユーロ買いが強まるシナリオを想定いたします(ECB理事会後に下落するも、記者会見で全値戻しするシナリオ)。また、来週は12/13に予定されているドイツ12月ZEW景況感指数や、12/16に発表されるユーロ圏11月製造業・非製造業PMI速報値に加えて、米国サイドでは米11月消費者物価指数や米FOMCが、英国サイドでも英中銀金融政策決定会合が予定されているため、ユーロは、対ドル、対英ポンド共に週を通してボラタイルな相場展開となりそうです。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0350−1.0750

注:ポイント要約は編集部

『CPIとFOMCに注目。ドル円・ユーロ共に乱高下必至か』

ドル円日足

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