ドルは戻り歩調、需給要因にも要注意か
〇本日のドル円、一時141.65レベルまで小緩むも方向性乏しく、142円挟みの一進一退をたどる
〇ドル円は欧米時間に142円台まで上値を伸ばす、ドルは引き続き戻り歩調、さらなる上値を試す展開も
〇明日は東京、明後日24日は米国が休場、材料面に加え需給要因を警戒する声も
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは141.30-142.80、ドル高・円安方向は142.25が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、移動平均の90日線も位置する141円半ばをめぐる攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
22日の東京市場はドルが強保ち合い。ハッキリとした方向性は示せず、142円挟みで一進一退をたどっている。
ドル/円は142.10-15円で寄り付いたのち、基本的にはレンジ取引。ただ、前日ドルが大きく買い進まれた反動もあってか、上値は重く小幅な調整に押される局面も観測されている。一時141.65円レベルまで小緩んだが大きくは崩れず、16時現在では141.95-00円で推移し、欧米市場を迎えていた。
一方、材料的に注視されていたものは「米金融政策」と「ロシア情勢」について。
前者は、発表された10月シカゴ連銀全米活動指数はやや予想を下回る内容となったが、発せられた米地区連銀総裁コメントなどはややタカ派的だった。たとえば、サンフランシスコ連銀総裁からは「5%を超える水準まで金利を引き上げる可能性もある」との発言が聞かれている。ただ、そうしたなか格付け会社ムーディーズは、「米国のインフレ緩和にともないFRBが早ければ来年11月に0.25-50%の利下げに踏み切る可能性がある」という見通しを示し、一部で話題に。
対して後者は、週末に砲撃が確認されたウクライナ南部のザポロジエ原発について、ロシアとウクライナのあいだで責任論が飛び交うなか、IAEAは取り敢えず「差し迫った懸念はない」との見解を示していた。しかし、ウクライナのゼレンスキー大統領がビデオ演説で指摘したように、「ロシアの破壊工作から原発を保護する必要」があるのかもしれない。一方、それとは別にロシアは「ウクライナが戦争犯罪に加担」などと声高な主張に動いているうえ、ロシア産石油に価格上限を設定する動きに対し、「石油および石油製品の輸出を行わないほか、原油を減産する可能性がある」との考えを明らかにしている。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、先週一度も超えられなかった141円の壁を超えただけでなく、その勢いのまま142円台まで上値を伸ばしてきた。ドルは引き続き戻り歩調で、さらなる上値を試す展開をたどっても不思議はないだろう。テクニカルには、下回っていた移動平均の90日線(141円半ば)を再び上回り、若干遠いが時間を要しつつも21日線(144.60円レベル)をトライする可能性も。一方、フィボナッチの観点では143.10-15円の攻防に注目だ。
大勢ではないものの、12月の米FOMC会合で「0.75%の利上げを行う」といった見方も依然として市場の一部では根強くはびこる。複数の米地区連銀総裁が指摘するように「経済情勢次第」といった面は否めないようで、そうした意味も含め本日も発表される米経済指標や要人発言、米金利情勢には要注意だ。なお、明日は東京が休場、明後日24日は米国が休場となることもあり、材料面もさることながらポジション調整を含めた様々な需給要因を警戒する声も聞かれていた。
テクニカルに見た場合、ドル/円の実勢相場は上昇をたどる一目均衡表の先行帯の雲の下限にあわせて下値を切り上げる展開となっている。もちろん予断を許さないものの、本稿執筆時(142円前後)は、前述雲の下限(140.40-45円)からだいぶ乖離したレベルで推移していると言えよう。むしろ、短期的なリスクはドル高方向に高そうで、142円半ばを超えれば高値151.94円を起点に137.67円まで下落したフィボナッチ38.2%戻しにあたる143.10-15円を目指す展開も。
一方、本日は米経済指標として、11月のリッチモンド連銀製造業指数が発表されるほか、米財務省による7年債の入札なども実施される予定。また、昨日に続き本日も米地区連銀総裁らの発言機会は多く、その内容次第で連日も乱高下もありそうだ。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは141.30-142.80円。ドル高・円安方向は昨日高値の142.25円が最初の抵抗。上抜ければ142円半ばや、143.10-15円がターゲットに。
対するドル安・円高方向は、移動平均の90日線も位置する141円半ばをめぐる攻防にまずは注目か。割り込むと141円割れも否定できない。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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