ドル円、米当局者によるタカ派発言を背景に一時140円台後半まで急上昇(11/18朝)

17日(木)のドル円相場は下落後に急反発。(

ドル円、米当局者によるタカ派発言を背景に一時140円台後半まで急上昇(11/18朝)

ドル円、米当局者によるタカ派発言を背景に一時140円台後半まで急上昇

〇ドル円、米金利低下に欧州序盤138.88まで下落
〇その後、米長期金利再上昇やFRB関係者のタカ派発言に米国時間にかけ140.74まで上昇
〇ユーロドル、1.0407まで上昇後、来年の英GDP予測のマイナス転等に一時1.0305まで急落
〇ドル円アップサイドにレジスタンスポイント多く、テクニカルのリスクはダウンサイド
〇ファンダメンタルズも日米金利差縮小観測等がドル円の重しに
〇中間選挙後の上下院の「ねじれ」もバイデン政権のドル高政策終焉を意識させる
〇本日の予想レンジ:139.00ー141.00

海外時間のレビュー

17日(木)のドル円相場は下落後に急反発。(1)日経平均株価の冴えない動きや、(2)新型コロナウイルスの感染拡大懸念、(3)米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となり、欧州時間朝方にかけて、安値138.88まで下落しました。しかし、前日安値138.73をバックに下げ渋ると、(4)米長期金利の再上昇や、(5)対英ポンドでのドル買い圧力(ハント英財務相が中期財政計画の中で2023年のGDP予測を+1.8%から▲1.4%へ大幅下方修正→英ポンド急落→ドル買い再開)、(6)セントルイス連銀ブラード総裁による「インフレ抑制を目的にさらに金利を引き上げる必要がある」「十分抑制的な政策金利は5ー7%レンジになる可能性がある」とのタカ派的な発言、(7)短期筋の大規模ショートカバーが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値140.74まで急伸しました。

引けにかけて反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/18午前4時45分現在)では、140.27前後で推移しております。尚、昨日発表された米経済指標は、米10月住宅着工件数(結果142.5万件、予想141.0万件、前回148.8万件)および、米10月建築許可件数(結果152.6万件、予想151.2万件、前回156.4万件)が市場予想を上回る一方、米11月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(結果▲19.4、予想▲6.0、前回▲8.7)が市場予想を大幅に下回るなど、強弱まちまちの結果となりました。

17日(木)のユーロドル相場は上昇後に急反落。(1)米金利低下に伴うドル売り圧力を背景に、欧州時間朝方にかけて、高値1.0407まで上値を伸ばすも、200日移動平均線をバックに伸び悩むと、(2)英ポンドの大幅下落(ハント英財務相が2023年の英国GDP予測を+1.8%から▲1.4%まで大幅下方修正→英ポンド急落→ユーロ連れ安)や、(3)セントルイス連銀ブラード総裁によるタカ派的な発言、(4)米金利上昇に伴うドル買い圧力、(5)欧米株の冴えない動きが重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0305まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、(6)欧米株の持ち直し(リスク回避のドル買い後退)や、(7)米長期金利の上昇一服が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間11/18午前4時45分現在)では、1.0363前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は11/15に記録した約2カ月半ぶり安値137.68をボトムに反発に転じると、昨日は一時140.74まで急伸するなど力強い動きが見られました。但しアップサイドに複数のレジスタンスポイント(一目均衡表転換線や基準線、90日移動平均線や21日移動平均線など)が控えていることや、強い売りシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転が成立目前となっていること(一目均衡表雲下限を終値ベースで下抜けできれば本日中にも三役逆転が点灯予定。一目均衡表雲下限は現在139.70前後に位置しており、来週月曜日には140.30前後まで引き上がる見通し)等を踏まえれば、テクニカル的に見て、リスクは依然ダウンサイドと判断できます(上値余地は限定的。一巡後の反落リスクに要警戒)。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、米利上げペースの鈍化期待(CPI及びPPI共に大幅鈍化→次回12月会合で利上げ幅を75bpから50bpへ縮小させ、その次の来年2月会合で50bpから25bpへもう一段縮小させるとの見方がコンセンサスに)や、上記を背景とした日米名目金利差縮小観測(円キャリートレード逆流への警戒感)など、ドル円相場の下落を連想させる材料が増えつつあります。一部の米当局者より依然としてタカ派的なコメントが発せられておりますが、足元の米経済環境に鑑みれば、早晩大半の米当局者がハト派色(利上げに慎重なスタンス)に転じると予想されます。

米中間選挙を経て米議会のねじれが濃厚となっていることも、バイデン米政権下で進められてきたドル高政策の終焉が意識されます。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米10月中古住宅販売件数、米10月景気先行指数以外に目立った経済イベントが予定されていないものの、先週木曜日の逆CPIショック以降、1日に2円以上もの値幅を伴うボラタイルな相場展開が日々繰り返されている為、本日も予想以上に振れを伴う乱高下に注意が必要でしょう。

本日の予想レンジ:139.00ー141.00

注:ポイント要約は編集部

ドル円、米当局者によるタカ派発言を背景に一時140円台後半まで急上昇

ドル円日足

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