ドル円、米CPI鈍化を背景に約1ヵ月半ぶり安値圏へ急落。米金利の急低下が重石(11/11朝)

10日(木)のドル円相場は大幅下落。

ドル円、米CPI鈍化を背景に約1ヵ月半ぶり安値圏へ急落。米金利の急低下が重石(11/11朝)

ドル円、米CPI鈍化を背景に約1ヵ月半ぶり安値圏へ急落。米金利の急低下が重石

〇ドル円、米10月CPIの予想以上の伸び率鈍化と米長期金利急低下に141.49まで急落
〇ユーロドル、ECB関係者のタカ派発言、米長期金利の急低下に1.0185まで急伸
〇ドル円、主要チャートポイント下抜け、10/27安値145.11も下方ブレイク、地合い悪化
〇ファンダメンタルズも米利上げペースの鈍化期待による米金利低下等が重石に
〇ドル円相場の短期的な見通しを、「ブル」から「ベア」へと変更
〇本日の予想レンジ:141.25ー142.75

海外時間のレビュー

10日(木)のドル円相場は大幅下落。アジア時間早朝に高値146.79まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、(1)黒田日銀総裁による「最近の急速な円安望ましくない」「投機による急速な円安への政府の適切な対処を評価している」「ドル独歩高が続くとの予想は必ずしも正しくないと思う」との円安牽制発言や、(2)豪中銀ブロック副総裁による「利上げを中断できる状況に近づきつつある」とのハト派的な発言(世界的な利上げペース鈍化期待を連想)、(3)米政治を巡る先行き不透明感(中間選挙の開票2日目を終えても尚勝敗が見通せず)、(4)米10月消費者物価指数(結果+7.7%、予想+7.9%、前回+8.2%)および、米10月消費者物価コア指数(結果+6.3%、予想+6.5%、前回+6.6%)の市場予想を下回る結果、(5)フィラデルフィア連銀ハーカー総裁による「来月の利上げペースの緩和を予想」「来年のどこかの時点で政策停止を予想」「利上げは4.50%で一時停止することを望む」とのハト派的な発言、

(6)ダラス連銀ローガン総裁による「利上げペースの減速が近く適切になる可能性」とのハト派的な発言、(7)ウォールストリート・ジャーナル紙のFEDウォッチャーであるニック・ティミラオス記者による「10月のインフレレポートはFRBが50ベーシスポイントの利上げに向けて順調に進んでいることを示している」とのハト派的な発言、(8)上記を背景とした米長期金利の急低下(米CPI鈍化+米当局者によるハト派的な発言→次回12月FOMCで利上げ幅が50bpへ縮小されるとの見方が浮上→米10年債利回りが4.11%から約1ヵ月ぶり低水準となる3.82%へ急低下)、(9)世界的な株高とそれに伴うリスク選好のドル売り再開が重石となり、米国時間午後にかけて、安値141.49(9/22以来、約1ヵ月半ぶり安値圏)へと急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間11/11午前3時10分現在)では、142.00前後で推移しております。

10日(木)のユーロドル相場は大幅上昇。米国時間朝方にかけて安値0.9936まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、(1)シュナーベルECB理事による「金融政策を停止する時間はない」とのタカ派的な発言や、(2)スロベニア中銀バスレ総裁による「来年から量的引き締めを始めるのが適切」「更なる利上げが必要。中立金利を超える必要も」とのタカ派的な発言、(3)米10月消費者物価指数および、米10月消費者物価コア指数の伸び率鈍化、(4)米FRB当局者によるハト派的な発言、(5)米金利低下に伴うドル売り圧力、(6)世界的な株高とそれに伴うリスク選好のドル売り再開が支援材料となり、米国時間午後にかけて、9/13以来、約2ヵ月ぶり高値となる1.0185まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間11/11午前3時10分現在)では、1.0150前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は10/21に記録した約32年ぶり高値151.95をトップに反落に転じると、昨日は一時141.49まで急落しました。この間、主要サポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、21日移動平均線や一目均衡表雲上限など)を軒並み下抜けした他、市場参加者に意識されていた10/27安値145.11も下方ブレイクするなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象づけるチャート形状となりつつあります(日通し高値から約5円の値幅の暴落劇)。ファンダメンタルズ的に見ても、(1)米利上げペースの鈍化期待(米10月消費者物価指数が予想を下回ったことで米利上げペース鈍化期待が再浮上→CMEが提供するFedWatch ツールで次回FOMCでの75bp利上げ確率が43.2%から14.6%へ急低下する一方、50bp利上げ確率が56.8%から85.4%へ急上昇)や、(2)それに伴う米長期金利の急低下と米ドル指数の大幅下落(米10年債利回りが10/7以来、約1ヵ月ぶり低水準となる3.82%まで急低下した他、ドル指数も9/13以来、約2ヵ月ぶり低水準となる108.03へ急落)、

(3)米政治を巡る先行き不透明感(政権と議会の多数派が異なる「ねじれ」発生を通じて、バイデン政権が進めるドル高容認政策が幾分和らぐとの期待)、(4)黒田日銀総裁によるタカ派転換の思惑(黒田総裁は11/2の衆院財務金融委員会での答弁の中で、「将来的に2%の物価安定目標の実現が見通せる状況になればその前段階でイールドカーブコントロールを柔軟化していくことは一つのオプションとしてあり得る」と発言)など、ドル売り・円買いを連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、ドル円相場の短期的な見通しを、「ブル」から「ベア」へと変更いたします(9/22に記録した安値140.35を下抜けることが出来れば、ミセスワタナベを中心としたキャリートレード勢のアンワインドを通じて、更なる大規模ロスカットが誘発される恐れあり)。尚、本日は米国時間(日本時間24時)に発表される米11月ミシガン大学消費者信頼感指数に注目が集まります。


本日の予想レンジ:141.25ー142.75

注:ポイント要約は編集部

ドル円、米CPI鈍化を背景に約1ヵ月半ぶり安値圏へ急落。米金利の急低下が重石

ドル円日足

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