ドル円見通し 米CPI上昇率鈍化でドル全面安、ドル円は凡そ6.40円規模の暴落(22/11/11)

ドル円はCPI発表前の146円台序盤から11日朝安値140.19円に暴落した。

ドル円見通し 米CPI上昇率鈍化でドル全面安、ドル円は凡そ6.40円規模の暴落(22/11/11)

ドル円見通し 米CPI上昇率鈍化でドル全面安、ドル円は凡そ6.40円規模の暴落

〇ドル円、米CPI上昇率鈍化でドル全面安、発表前の146円台序盤から11/11朝140.19へ凡そ6.40円の暴落
〇市場はFRBの利上げペース鈍化と受け止め、米長期債利回り急低下、ドル全面安、NYダウ急伸の展開
〇米10月CPI上昇率は予想を下回り、高進してきたインフレの峠を超えつつある印象強める
〇NYダウ・ナスダックは大幅上昇、米長期債利回りは急低下、ユーロドル・ポンドドルは高値をつける
〇143円以下での推移中は一段安警戒とし、140円割れからは139円、138円を順次試す下落を想定する
〇143円以上を維持して高値切り上げに入る場合は、144円前後への上昇を想定する

【概況】

11月10日夜の米消費者物価上昇率が市場予想を下回ったことで米FRBの利上げペースが鈍化すると受け止められて米長期債利回りが急低下し、為替市場はドル全面安、NYダウが急伸する展開となる中、ドル円はCPI発表前の146円台序盤から11日朝安値140.19円に暴落した。前日比としては昨年1月底以降で最大、1日の騰落規模としては24年ぶりの円買い介入が実施された9月22日の高値145.89円から安値140.34円までの5.55円に対して、11月10日は高値146.59円から11日早朝安値140.19円で凡そ6.40円規模の暴落となった。
10月21日の二度目の介入により下落に転じる前の高値151.94円からは11円を超える規模の円高ドル安となったが、140円割れをひとまず回避してから11日8時過ぎには142円をつけるところまでいったん戻したものの、当面は大波乱後の落ち着き処を探り、米CPIに対する過剰反応だったのか、10月21日高値を起点とした下落基調がさらに継続するのか見定めたいところだ。

【米10月CPI上昇率は予想を下回る】

11月10日夜に発表された10月の米消費者物価指数上昇率は全体の前月比が0.4%で9月と同じだったが市場予想の0.6%を下回り、前年同月比は7.7%で9月の8.2%から鈍化して市場予想の8.0%を下回った。コア指数の上昇率は前月比で0.3%となり9月の0.6%から鈍化して市場予想の0.5%を下回り、前年同月比は6.3%で9月の6.6%から鈍化して市場予想の6.5%を下回った。
全体の前年同月比が7%台へ大幅に低下したこと、エネルギーと食品等を除くコア指数も前月比と前年同月比が揃って低下したことにより、高進してきたインフレの峠を超えつつある印象を強めた。また11月1-2日の米FOMCにおいて12月FOMCでの利上げペース減速の検討が示唆されていたが、CPIの鈍化により12月の利上げ幅は11月までの4会合連続での0.75%利上げから0.50%利上げへと鈍化する可能性が高まった。また11月のCPIも伸びがさらに鈍化すれば年明け以降は0.25%の通常利上げペースへ落ち着く可能性も高まると市場は受け止めている。

利上げペースが鈍化するとはいえ、しばらくは利上げが続いて9月時点の想定よりも政策金利のピーク水準が上方修正される見通しは変わらないため、CPI発表後の米長期債利回りの急低下とドル円の暴落的な下げはやや過剰反応だったのではないかとの見方もできるが、超ハイペースでの利上げ継続を織り込んで米長期債利回り上昇と共にドル円が歴史的な大上昇を継続してきたため、当面の利上げ継続とドル高要因を織り込み済みとすれば、ドル円の大上昇もいったん仕切り直し的な下落へと転じても不思議ないところだ。

【NYダウは急上昇、米長期債利回りは急低下】

11月10日のNYダウは前日比1201.43ドルの大幅上昇、9日の前日比646.89ドル安の反落を解消して倍返しの上昇となり、10月13日安値28660.94ドル以降の高値を33727.73ドルへと更新した。ナスダック総合指数も前日比760.97ポイント高の大幅上昇となった。米FRBによる利上げペースの鈍化期待が膨らんだことで過度の景気後退懸念が後退し、リスクオン優勢で買われた。
株買い・債券売りにより米長期債利回りは大幅低下となった。指標の10年債利回りは前日比0.28%の大幅低下で3.82%となったが5週ぶりの低水準で1日の低下幅としては2009年3月以来の規模となった。30年債利回りは前日比0.22%低下の4.05%、2年債利回りは前日比0.25%低下の4.34%となり、一時は4.29%まで低下して1週ぶりの低水準とし、1日の低下幅としては2008年9月以来の規模となった。

独英等の長期債利回りも米長期債利回り低下を見て大幅に低下したが、為替市場は米長期債利回り低下によるドル安反応を優先し、ユーロドルは9月28日につけた20年ぶり安値0.9534ドル以降の高値を1.0220ドル台へ切り上げ、ポンドドルも9月26日の史上最安値以降の高値を更新した。
ドルストレートでのドル全面安よりも円高が勝ったことでユーロ円、ポンド円、豪ドル円等は総じて下落した。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は11月9日昼と夕刻に145.10円台へ下落したところから146円台後半へ戻したため、11月10日午前時点では11月9日昼安値を起点として上昇期に入ったとしたが、147円には届かずに勢いが鈍いとして146円割れからは下げ再開感が強まるとし、11月9日昼安値割れからは新たな下落期入りとみて14日の日中から16日の日中にかけての間への下落を想定するとした。
10日夜の暴落で140円を試してから下げ渋っているもののまだ波乱含みで一段安余地ありとし、強気転換には143円を超えからさらに続伸するような反騰が必要と思われる。

60分足の一目均衡表では、11月10日夜の急落で遅行スパンが悪化、先行スパンからも転落し、その後も両スパンそろっての悪化が続いているので、遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。先行スパンを下回るうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は10日夜の急落で10ポイント台まで大幅低下した。その後は20ポイント台へ戻しているもののまだ波乱含みとみて40ポイント以上へ戻せないうちは一段安余地ありとみる。ただし相場が一段安する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行が見られる場合は反騰注意とする。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、140.00円を下値支持線、143.00円を上値抵抗線とする。
(2)乱高下が続く可能性もあるところだが、143円以下での推移中は一段安警戒とし、140円割れからは139円、138円を順次試す下落を想定する。
(3)143円前後は戻り売りも出やすいとみるが、143円以上を維持して高値切り上げに入る場合は当面の底を付けてリバウンドを試す流れとみて144円前後への上昇を想定する。

【当面の主な予定】

11/11(金)
中国、インターネット通販「独身の日」バーゲン
休場、米国(ベテランズデーで為替、債券が休場、株式、商品は通常取引)、カナダ
16:00 (独) 10月 消費者物価指数(CPI)改定値 前月比 (速報 0.9%、予想 0.9%)
16:00 (独) 10月 消費者物価指数(CPI)改定値 前年同月比 (速報 10.4%、予想 10.4%)
16:00 (英) 7-9月期 GDP速報値 前期比 (4-6月 0.2%、予想 -0.5%)
16:00 (英) 7-9月期 GDP速報値 前年同期比 (4-6月 4.4%、予想 2.1%)
16:00 (英) 9月 月次GDP 前月比 (8月 -0.3%、予想 -0.4%)
16:00 (英) 9月 鉱工業生産 前月比 (8月 -1.8%、予想 -0.2%)
16:00 (英) 9月 鉱工業生産 前年同月比 (8月 -5.2%、予想 -4.3%)
16:00 (英) 9月 貿易収支・物品 (8月 -192.57億ポンド、予想 -187.50億ポンド)
16:00 (英) 9月 貿易収支・全体 (8月 -70.80億ポンド、予想 -70.00億ポンド)

21:00 (欧) パネッタECB理事、講演
21:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
22:10 (英) テンレイロ英中銀委員、講演
24:00 (米) 11月 ミシガン大学消費者信頼感指数速報値 (10月 59.9、予想 59.5)
25:00 (欧) レーンECB理事、講演



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