米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利の予想(22/11/2)

NY時間11月2日14時(水曜日)にFOMC会合の記者発表要旨が公表され、その後パウエルFRB議長の定例記者会見が予定(同14時半)されています。

米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利の予想(22/11/2)

米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利について

(東京時間では2022年11月3日木曜日未明)

NY時間11月2日14時(水曜日)にFOMC会合の記者発表要旨が公表され、その後パウエルFRB議長の定例記者会見が予定(同14時半)されています。今回の市場予想は以下の通りになっています。

( 1 )政策金利(11月2日 8時30分現在の予想)

現在のFFレート「3.00%〜3.25」⇒0.75%利上げし「3.75〜4.00%」
(レンジは下限3.25〜3.75%{上限3.50〜4.00%}で、一部では0.25〜0.50%の利上げに留まる、利上げ上限は0.75%までを予想)

エコノミスト予想は中央値で75ベーシスの利上げ予想になっています。注目点としては、
@ FOMCメンバーの意見(下記4)を見る限り、インフレ抑制⇒利上げの基本的考え方は全く変わっていませんが、今回は具体的に0.75%利上げを述べている委員がほとんどなく、これが前回と大きく変わっています。
A 下記(3)のCME Fedwatchでは、今回0.75%利上げが86.5%で、1.00%以上の利上げは無くなりました。来年3月時点では最大でも5.25〜5.50%への利上げですので、もし今回0.75%の利上げを実施すると、残り3回の会合で、1.50%利上げですので、毎回0.50%利上げ見込みとなります。FOMC会合内での議論がこの辺りと整合性が取れない場合、債券市場に影響がでそうです。

B かなり急激な利上げ実施で、そろそろ景気への配慮を行う時期に入ってきたと分析する見方が多くなり、12月以降の利上げ幅に関する議論がでる可能性が非常に高いと見ているようです。
C 米3Q・GDPは前期よりやや持ち直しているものの、製造業中心に先行きは非常に弱く、下記(4)では利上げを遅らせるとか来年以降は数年間は低成長との見方をしている委員が増えているようです。これまではインフレ抑制優先の議論でしたが、今回辺りから変化があるのかをみます。
以上が予想される項目と思われます。

( 2 )前回9月FOMC会合での議事要旨

10月12日公表分です。利上げ継続を確認した内容になっています。

FOMC議事要旨(一部抜粋)
(前略)
今後の会合で潜在的な政策行動を議論するにあたり、参加者はFFレートの目標レンジの継続的な引き上げが委員会の目標達成に適切であると予想した。参加者は、最大雇用と物価安定を促進するという委員会の立法上の使命を満たすため、委員会の制限的な政策スタンスに移行し、その後それを維持する必要があると判断した。多くの参加者は委員会目標の2%をはるかに越えるインフレがあり、これまでのところ軟化する兆しが見えず、経済の需給不均衡が続いていることで、委員会目標を達成するために必要とされるFFレートの道のりに関する評価を引き上げたことを確認した。参加者は政策金利引き上げのペースやその範囲が、経済活動の見通しに対し入手する情報の含みや見通しに対するリスクに依存していると判断した。

幾人かの参加者は、特に現在の世界経済や金融環境の極めて高い不確実性の中、経済見通しに著しい副作用リスクを軽減する目的として、更なる引き締め政策のペースを測定することが重要である確認した。参加者は金融政策スタンスが更に引き締まるにつれ、累積的政策調整が経済活動やインフレに与える効果を査定しながら、ある時点で政策金利引き上げペースを緩めることが適切であると認識した。多くの参加者は、一度政策金利が十分に制限的な水準までに達し、インフレが2%目標に回帰するコースに乗ったとする証拠が確実になるまで、暫くの間はその水準を維持することが適切であると指摘した。

(中略:バランスシート調整箇所とこれまでの引き締めの効果などの項目)

広範で容認できないこの高インフレ水準、会合毎に予想以上に上回るインフレに関するニュース、あるいはインフレ見通しの上昇リスクに鑑み、参加者は直近で、意図的な制限的政策スタンスへの動きはリスク管理で考慮すべき事柄と一致していると認めた。

多くの参加者は、インフレ引き下げに向けた行動があまりに少ない場合の代償は、あまりにもやり過ぎた場合の代償よりも大きいことを強調した。幾人かの参加者は必要な限り制限的スタンスを維持する必要があると強調した。これら参加者の内2・3名は、歴史的経験がインフレを引き下げるために設計された引き締め金融政策を早まって終わらせた危険性について説明していると強調した。
(以下略)
金融政策行動に対する賛成票:パウエル議長、ウィルアムズ副議長、マイケル・バー、ミシェル・ボウマン、ラエル・ブレイナード、ジェームス・ブラード、スーザン・コリンズ、リサ・クック、エスター・ジョージ、フィリップ・ジェファーソン、ロレッタ・メスター、クリストファー・ウォラー。
(以上)
(注)本文はあくまで英文の一部を訳したものですので、和訳はあくまで便宜的なものとしてご利用頂き、適宜、英語の原文をご参照して頂きます様お願いします。

( 3 )CME Fedwatch

CME Fedwatchは大分すっきりしてきました。今回の利上げ予想を見ると、5月会合で最大5.50〜5.75%までの利上げ予想で、6月会合以降も上限はここまでです。従い現状では5月会合で利上げ打ち止めの見方になっています。前回9月と比較して、0.25〜0.50%の利上げ幅が上昇となっています。今後のインフレ数値でどの様に変わっていくのかを注目します。

米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利について

(11月1日時点:今回)



尚、最新の予想数値等は
CMEgroupのホームページご参照ください

( 4 )最近のFRB関係者の主な発言(最近1・2週間分程度)

10月22日 エバンス・シカゴ連銀総裁 「更に利上げを実施し、その後は暫く金利を維持」「労働市場の異常な強さの一部が弱まっている兆候ある」
10月22日 デイリー・SF連銀総裁 「利上げペースを遅らせることが重要」「中立金利は3〜3.5%としたい」
10月21日 クックFRB理事「インフレは依然として容認できない程高い」
「インフレリスクは上向き」
10月21日 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁 「金利は年末までに4%を上回る」「FRBは来年利上げを停止し、政策の影響を評価する」
10月20日 ブラード・セントルイス連銀総裁 「2023年の引き締めを今年に前倒しにする選択肢もある」
10月20日 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁「コアインフレがピークに達した証拠は見当たらない」「総合インフレはピークに達した可能性がある」

10月19日 ボスティック・アトランタ連銀総裁 「インフレは高過ぎるので抑制する必要ある」         「雇用の最大成長には物価安定が必要」
10月14日 ジョージ・カンザスシティ連銀総裁「インフレ抑制で、利上げの最終水準は更に高くなる必要がある」
10月13日 ボウマン・FRB理事「インフレが減速しなければ、大幅利上げを検討すべき」「金利をどの位引き上げる必要あるかはまだ明確でない」
10月12日 メスター・クリーブランド連銀総裁「金融政策は制限的水準に移行する必要」「今後数年間は米国の低成長が予想される」
10月11日 ブレイナード・FRB副議長「インフレは全ての米国民にとり重大な課題」

下記はユーロドルの日足チャートです。6月9日高値からの抵抗線A(=0.9890)は10月25日に上抜け、短期的にややユーロが堅調地合いを見せています。9月28日底値からのサポートがB(=0.9760)にあり、下支えをしています。ここから平行に上げたC(=1.0195)で短期のユーロ高トレンドを形成しています。ここ数日は下押しでラインAに絡む動きなので、現状ではBまでの押しがあるのか、かつこのサポートを維持出来るかになっています。上値は直近高値のD(=1.0095)と、8月16日及び9月12日高値のE(=1.0200)があり、Eは丁度Cと交差しており、Dを越えた場合にトライすることになりそうです。
今日のFOMCで先行きの利上げ幅減速を確認した時の米金利動向が鍵を握りそうです。

米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利について 2枚目の画像

(2022年11月2日9:50、1ユーロ=0.9885ドル)

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