ドル円、日米金融政策格差を背景に節目150円の大台をついに突破(10/21朝)

20日(木)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、日米金融政策格差を背景に節目150円の大台をついに突破(10/21朝)

ドル円、日米金融政策格差を背景に節目150円の大台をついに突破

〇ドル円、昨日夕刻150円を上方ブレイク、買い一巡後は米国時間朝方にかけ149.55まで反落
〇売り一巡後は、FRB関係者のタカ派発言と米長期金利の再上昇に一時150.29まで急伸
〇ユーロドル、トラス英首相辞任表明等に0.9845まで急伸後、0.9782前後まで値を崩す動き
〇ドル円テクニカルの地合い極めて強く、12営業日連続で日足陽線が出現中
〇ファンダメンタルズも本邦輸入企業による実需の悲鳴買いも加わるなど、ドル高・円安材料揃う
〇政府・日銀による円安牽制、実弾介入の効果薄れ、円安トレンドを変える術が見当たらない状況
〇引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:149.50ー151.00

海外時間のレビュー

20日(木)のドル円相場は堅調な値動き。@米金利上昇に伴うドル買い圧力や、A上記@を背景としたキャリートレードの活発化(日米名目金利差に着目したドル買い・円売り)、B介入効果剥落に伴う失望感(政府・日銀による度重なる円安牽制や実弾介入を経ても尚「円売り地合い」が止まらないことに対する失望感)、C本邦輸入企業による実需のドル買い、D心理的節目150.00突破を目指した仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、日本時間16時30分頃に、節目150.00を上方ブレイクし、一時150.09まで急伸しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、E短期筋の利食い売り(150円到達に伴う達成感)や、F政府・日銀による円安牽制発言(鈴木財務相による「投機による急激な変動は容認できない」との発言や、神田財務官による「過度な変動があればこれまで以上にしっかり対応」「必要な行動が取れる体制は常にできている」「円買い介入の原資は無限にある」との発言)、G米金利低下に伴うドル売り圧力、H150.00に観測されていたRKO(リバースノックアウト)がトリガーヒットしたことに伴う150円付近のショートガンマ拡大(オプション勢によるストップSELL誘発)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値149.55まで反落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、Iフィラデルフィア連銀ハーカー総裁による「年末までに金利は4%を大きく上回る」とのタカ派的な発言や、JクックFRB理事による「インフレは依然として容認できないほど高い」とのタカ派的な発言、K米長期金利の再上昇(米10年債利回りは2008年6月以来、約14年ぶり高水準となる4.23%へ急上昇)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、1990年8月14日以来、約32年ぶり高値となる150.29まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/21午前5時10分現在)では、150.18前後で推移しております。尚、昨日発表された米経済指標は強弱まちまちの結果となりました(米新規失業保険申請件数や米9月中古住宅販売件数が良好な結果を示す一方、米10月フィラデルフィア連銀製造業景気指数や米9月景気先行指数は冴えない結果)。

20日(木)のユーロドル相場は上昇後に反落。アジア時間朝方にかけて、安値0.9755まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、@株式市場の持ち直し(リスクオンのドル売り圧力)や、A米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りが4.17%から4.11%へ低下)、Bトラス英首相による辞任表明(英ポンド上昇→ユーロ連れ高)、C短期筋のショートカバーが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値0.9845まで急伸しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、D米長期金利の急上昇(米10年債利回りが4.23%へ急上昇)や、E上記Dを背景とした米主要株価指数の冴えない動き(リスク回避のドル買い再開)、F欧州経済の先行き不透明感が重石となり、本稿執筆時点(日本時間10/20午前5時10分現在)では、0.9782前後まで値を崩す動きとなっております。

本日の見通し

ドル円は市場参加者に意識されていた節目150.00をついに突破し、1990年8月14日以来、約32年2ヵ月ぶり高値となる150.29まで急伸しました。強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転」「強気のパーフェクトオーダー」「強気のバンドウォーク」「ダウ理論の上昇トレンド」が継続的に成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます(12営業日連続で日足陽線が出現中)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(米当局者によるタカ派的な発言が相次ぐ中、次回11月FOMCでの75bp利上げを99.9%織り込むと共に、12月FOMCでの75bp利上げも76.5%織り込む動き→米10年債利回りが14年4ヵ月ぶり高水準を記録)や、A日銀による金融緩和の継続方針(黒田日銀総裁による金融緩和継続方針の度重なる強調)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に着目したキャリートレード活発化)、C本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力(双子の赤字転落への警戒感)、D米政府・米当局によるドル高容認スタンス(バイデン米大統領による「ドル高を懸念していない。米国経済は力強い」と発言→国際協調介入期待の剥落)、E本邦輸入企業による実需の悲鳴買い(十分な先物予約が取れていない買い遅れた輸入企業によるドル買い・円売り)など、ドル高・円安トレンドの継続を連想させる材料が揃っています。

政府・日銀による円安牽制(口先介入)や実弾介入(含む覆面介入)の効果が日に日に低減する中、唯一の希望であった協調介入の可能性も上記D(米政府・米当局によるドル高容認スタンス)を背景に期待感が剥落しており、現時点ではドル高・円安トレンドを変える術が全く見当たらない状況に陥っています(もしあるとすれば10/27ー10/28の日銀金融政策決定会合でのサプライズ引き締めとなるが蓋然性は極めて乏しい)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします(150円到達は単なる通過点でありドル高・円安トレンドは日銀が金融政策を変更するまで続く可能性あり)。尚、本日は日本時間08:30に発表される本邦9月全国消費者物価指数や、同22:10のニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁発言などに注目が集まります。

本日の予想レンジ:149.50ー151.00

注:ポイント要約は編集部

ドル円、日米金融政策格差を背景に節目150円の大台をついに突破

ドル円日足

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