ドル円、市場予想を上回る米CPIを受けて約32年2ヵ月ぶり高値圏へ急上昇(10/14朝)

13日(木)のドル円相場は急上昇。

ドル円、市場予想を上回る米CPIを受けて約32年2ヵ月ぶり高値圏へ急上昇(10/14朝)

ドル円、市場予想を上回る米CPIを受けて約32年2ヵ月ぶり高値圏へ急上昇

〇ドル円、米9月CPIの予想を上回る結果と米長期金利急上昇に一時147.67(←訂正×146.67)まで上昇
〇その後は介入警戒感から146.54まで急落する荒い値動き、米国時間終盤に147円台前半を回復
〇ユーロドル、米CPI発表後0.9634まで急落後、米金利低下と株価持ち直しに0.98台を回復
〇ドル円、1990年8月以来32年2か月ぶり高値を示現、テクニカルの地合い極めて強い
〇ファンダメンタルズも次回FOMCで一部1%の利上げの思惑が浮上する等ドル買い材料多い
〇一方、日銀の介入警戒感燻り、米CPIは予想を上回りつつも鈍化基調、短期の下落圧力も
〇本日の予想レンジ:146.25ー147.75

海外時間のレビュー

13日(木)のドル円相場は急上昇。@黒田日銀総裁による「2%の物価目標を持続的・安定的に達成するまで金融緩和を継続する必要がある」との前日のハト派発言や、A鈴木財務相による「水準ではなくボラティリティに注目」との円安容認とも受け止められる発言(急騰は認めないがボラティリティを伴わないじり高なら良いとの解釈が可能)、B米9月消費者物価指数(結果8.2%、予想8.1%、※前年比)および、C米9月消費者物価コア指数(結果6.6%。予想6.5%、※前年比)の市場予想を上回る結果、D上記BCを背景とした米FRBによるタカ派傾斜観測(11月FOMCでの75bp利上げを完全に織り込むと共に一部で100bp利上げ観測も浮上)、E米長期金利の急上昇(米10年債利回りは2008年10月以来、約14年ぶり高水準となる4.07%へ急上昇)、F上記Eを背景とした株式市場の大幅下落(資産現金化需要のドル買い圧力)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、1998年8月に記録した高値147.66を1ポイント上回る、約32年2ヵ月ぶり高値147.67(←訂正×146.67)(1990年8月以来の高値圏)まで急伸しました。

その後は、G政府・日銀による介入警戒感から僅か数分で146.54まで1円超の値幅で急落する場面も見られましたが、下がったところでは押し目買い意欲も根強く、すぐに147円台を回復すると、H米主要株価指数がマイナス圏からプラス圏へ浮上したことなども、クロス円の上昇を通じてドル円連れ高に波及し、本稿執筆時点(日本時間10/14午前5時05分現在)では、147.30前後で推移しております。

13日(木)のユーロドル相場は乱高下。@米金利低下に伴うドル売り圧力(英国債利回りの急低下に連れて米債利回りも低下→米ドル売り)や、A欧州株の堅調推移、B米メディアによる「トラス首相の減税案で方向転換を作業中」との一部報道、C上記Bを背景とした英ポンドの急上昇(ユーロドル連れ高)が支援材料となり、日本時間20時過ぎに、一時0.9753まで上昇しました。しかし、D注目された米9月消費者物価指数が市場予想を上回ると、E米金利上昇に伴うドル買い圧力や、F資産現金化需要のドル買い圧力(株安→市場心理悪化→リスクアセット下落→米ドル買い)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値0.9634まで急落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、G米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回りが4.07%から3.90%へ急低下)や、H株式市場の持ち直し(ドイツ株が急落後に急上昇)、I短期筋のショートカバーが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値0.9806まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間10/14午前5時05分現在)では、0.9775前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は政府・日銀が9/22にドル売り・円買い実弾介入に踏み切った神田ライン(145.90)の上抜けに成功すると、黒田日銀総裁によるハト派的な発言や、市場予想を上回る米CPIを背景に、約32年2ヵ月ぶり高値となる147.67(1990年8月以来の高値圏)まで急伸しました。ローソク足が全てのテクニカルポイントを上抜けしている他、上位足から下位足に至る全てのテナーで強い買いシグナルが点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。

また、ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(米9月雇用統計、米9月CPI共に強い結果を示したことで、次回11月FOMCでの75bp利上げ100%織り込まれると共に、一部では100bpの大幅利上げに踏み切るのではないかとの思惑も浮上)や、A日銀による金融緩和の継続方針(黒田日銀総裁は米ワシントンで開催された国際金融協会の年次会合で「2%の物価目標を持続的・安定的に達成するまで金融緩和を継続する必要がある」と発言)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)、C本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力、D米政府・当局によるドル高容認スタンスなど、ドル買い・円売りを連想させる材料が揃っています。

但し、政府・日銀による介入警戒感が燻っているため、ここからの更なる上昇は見込みづらく、また、米長期金利が上昇後に急低下するなど、ドル高の持続性にも懐疑的な見方が増えつつあるため(米CPIは市場予想を上回りつつも、6月9.1%をピークに、7月8.5%→8月8.3%→8.2%と鈍化基調を辿っている→米インフレピークアウト期待再開→米金利低下→米ドル売り)、ドル円には短期的に下落圧力が加わり易い地合いが到来すると考えられます。

本日は昨日のドル円急騰を受けた政府・日銀による発言の変化(前日と比べて少しでも踏み込んだ発言が見られれば介入警戒感が高まると予想)や、米長期金利の低下を背景に、147円台を割り込む展開をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は、米9月小売売上高や、米9月輸出入物価指数、米8月企業在庫、米10月ミシガン大学消費者信頼感指数、クックFRB理事発言に加えて、英中銀による緊急長期国債買い入れ措置の終了期限や、米主要金融機関決算(ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース、モルガン・スタンレー、シティグループ)など重要イベントが目白押しとなっているため、米国時間帯のボラティリティ拡大に注意が必要でしょう。

本日の予想レンジ:146.25ー147.75

注:ポイント要約は編集部

ドル円、市場予想を上回る米CPIを受けて約32年2ヵ月ぶり高値圏へ急上昇

ドル円日足

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