ドル円見通し 米長期債利回り連騰で145円台序盤へ戻す(22/10/7)

ドル円は10月5日午前に143.50円まで反落したところからの買い戻しを継続、7日早朝には145.14円まで戻した。

ドル円見通し 米長期債利回り連騰で145円台序盤へ戻す(22/10/7)

ドル円見通し 米長期債利回り連騰で145円台序盤へ戻す

〇ドル円、10/5午前に143.50まで反落したところからの買い戻し継続、10/7早朝には145.14まで戻す
〇米長期債利回り連騰、ユーロ・ポンドが続落するドル高反応により、ドル円押し上げられる
〇今晩の米雇用統計をきっかけにドル高円安へ進むのか、一旦仕切り直し下落期入りとなるか試される
〇NYダウ続落、FRB高官による相次ぐ利上げ支持発言に圧迫され失速、米長期債利回りは総じて続伸
〇144.50以上での推移中は上昇余地ありとし、145.20超えから145円台後半から146円を試す流れとみる
〇144.30割れからは、143円台後半への下落を想定する

【概況】

ドル円は10月5日午前に143.50円まで反落したところからの買い戻しを継続、7日早朝には145.14円まで戻した。9月22日の日銀市場介入による急落に対して凡そ8割強を解消する反騰となった後は143円台後半で買われつつ145円台序盤では戻り売りにつかまる持ち合いだが、昨晩は米週間新規失業保険申請件数が市場予想及び前週を上回ったものの7日夜の米雇用統計も控えていることで反応は薄く、それよりも米FRB理事や地区連銀総裁らによる大幅利上げ支持発言が相次いだことで米長期債利回りが前日から連騰となり、9月末から急反騰してきたユーロやポンドが続落するドル高反応となったためにドル円は押し上げられた。
10月7日午前序盤は145円を再び割り込むなど、145円台序盤に対する介入警戒感は継続しているが、今晩の米雇用統計をきっかけとして市場介入警戒感を超えたドル高円安へ進むのか、いったん仕切り直しとして9月22日夜からの反騰一巡による下落期入りとなるのか試されるところだ。

【米FRB高官や地区連銀総裁らのタカ派発言相次ぐ】

9月後半からのドル安は景気後退を意識して米国の大幅利上げ姿勢が鈍化するのではないかとの思惑が背景だったが、昨晩は米FRB理事や地区連銀総裁による積極的な利上げ姿勢を支持する発言が相次いだ。
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「インフレ率を2%の目標へ下げるにはやるべき事はまだ多い」、「基調的なインフレがピークに達している証拠はほとんどない」、「利上げの停止には程遠い」と述べた。
クックFRB理事は「インフレは依然として根強く受け入れがたい高さ」であり「物価安定には利上げ継続が必要」とし、前回の3会合連続となった0.75%利上げについても「前倒しの利上げを完全に支持している」と述べ、今後も「予防的アプローチが適切だ」とした。

シカゴ連銀のエバンズ総裁は「政策金利は来春までに年4.50〜4.75%へ引き上げることが視野」とし、次回のFOMCでは0.75%とするか0.50%とするか話し合われる」と述べた。
ウォラーFRB理事は「現行の政策金利水準はわずかに景気抑制的だが、インフレを相当かつ持続的に低下させるためには利上げがもっと必要だ」「来年初めにかけて追加利上げを予想している」と述べた。
今晩の米9月雇用統計では非農業部門就業者数が8月の31.5万人増から25.0万人増へと伸びが鈍化するとみられているが、予想に近いか予想を上回る場合は労働需給の引き締まりと利上げ継続感が強まりドル高へ反応しやすいと思われる。インフレ感としては平均時給の前月比と前年同月比も重要と思われる。

【NYダウは続落、米長期債利回りは連騰】

10月6日のNYダウは前日比346.93ドル安となり、5日の前日比42.45ドル安から続落した。9月30日安値で28715.85ドルをつけて1月5日の史上最高値36952.65ドル以降の安値を更新したところから10月3日に前日比765.38ドル高、4日に同825.43ドル高と大幅反騰したものの雇用統計前の調整とFRB高官による利上げ支持発言に圧迫されて失速している。
一方で米長期債利回りは総じて続伸した。指標の10年債利回りは前日比0.07%上昇の3.83%となり10月5日の0.12%上昇からの続伸となった。9月28日の4.02%から10月4日の3.56%まで急低下したところからの連騰で切り返している。30年債利回りは0.03%上昇の3.79%、2年債利回りは0.11%上昇の4.26%で9月26日の4.36%から10月4日に一時4.00%まで低下したところから切り返している。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

ドル円は10月5日午前に143.50円まで下げたところで目先の底を付けて戻しに入ったとして10月6日夜から10日夜にかけての間は高値切り上げを試しやすい時間帯と指摘した。7日早朝に145円台序盤へ乗せたところから再び145円を割り込んでいるが、144円台中盤までで確りできれば米雇用統計反応次第となり、米雇用統計を強気で通過なら週明けへ続伸しやすいと思われる。逆に米雇用統計から弱気反応になる場合は戻り一巡による下落期入りとみて来週前半にかけて安値試しを続けやすい状況になるのではないかと思われる。

60分足の一目均衡表では10月5日午前安値からの反発で遅行スパンが好転、先行スパンを上抜いたがその後も両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、遅行スパンが悪化するところからは下落期入りの可能性ありと注意して先行スパンの下限を試す流れとし、先行スパン転落からは下げ足が速まる可能性があると注意する。

60分足の相対力指数は10月7日早朝への上昇時に70ポイント台に到達してから60ポイント割れへ失速している。50ポイント以上での推移中は一段高余地ありとするが、相場が高値を切り上げる際に指数のピークが切り下がる弱気逆行が発生する場合には下落期入り警戒とし、50ポイント割れから続落に入る場合は30ポイント前後への低下を想定する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、144.30円を下値支持線、145.20円を上値抵抗線とする。
(2)144.50円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、145.20円超えからは145円台後半から146円を試す流れとみる。雇用統計反応次第では急伸の可能性と、それに対する市場介入の可能性もあるため乱調となりかねないことにも注意したいが、145円台を維持して週を終える場合は週明けへの続伸を想定する。
(3)144.30円割れからは143円台後半への下落を想定する。雇用統計を弱気反応の場合は143円前後試しへ下値目途を引き下げ、来週前半も続落しやすいとみる。

【当面の主な予定】

10/7(金)
休場、中国
14:00 (日) 8月 景気先行指数CI速報値 (7月 98.9)
15:00 (独) 8月 鉱工業生産 前月比 (7月 -0.3%、予想 -0.5%)
15:00 (独) 8月 鉱工業生産 前年同月比 (7月 -1.1%、予想 2.3%)
15:00 (独) 8月 輸入物価指数 前月比 (7月 1.4%、予想 2.0%)
15:00 (独) 8月 輸入物価指数 前年同月比 (7月 28.9%、予想 29.9%)
15:00 (独) 8月 小売売上高 前月比 (7月 1.9%、予想 -1.1%)
15:00 (独) 8月 小売売上高 前年同月比 (7月 -5.5%、予想 -4.3%)

21:30 (米) 9月 非農業部門就業者数 前月比 (8月 31.5万人、予想 25.0万人)
21:30 (米) 9月 失業率 (8月 3.7%、予想 3.7%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前月比 (8月 0.3%、予想 0.3%)
21:30 (米) 9月 平均時給 前年同月比 (8月 5.2%、予想 5.1%)
23:00 (米) 8月 卸売売上高 前月比 (7月 -1.4%、予想 0.4%)
23:00 (米) ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁、質疑応答


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