ドル円144円台前半で底堅い
29日午前の東京市場でドル円は、144円台前半で底堅く推移。昨晩米長期金利の急低下からドル円が下落した流れを受け、朝方、144.16レベルで取引の始まったドル円は、序盤に急速に値を戻し144.46の高値をつけました。しかし、その後は方向感を失って144円台前半でもみあい、東京時間正午現在は、144.33レベルで取引されています。
日経平均株価は、昨晩英中銀の緊急国債買い入れ策に主要国の長期金利が低下、米市場では主要株価指数が持ち直す動きを見せたことを受け、買いが先行。上げ幅は一時200円を超えましたが、次第に利食い売りに押され上げ幅を縮小、64円高で午前の取引を終了しています。
昨晩海外市場では、為替、株、債券のトリプル安に見舞われた英中銀が、長期英国債の無制限買い入れという奇策を打ち出したことから、英長期金利が下落、つられて欧州債、米国債も値を上げて、米10年債利回りは4%超えから一時3.7%割れまで急低下しました。これを受けてドル円も144円台後半から米国時間に一時143.90まで値を下げ、144円台前半で東京時間につないでいます。
テクニカルにはドル円は引き続き141.50-145.00レンジでの取引が継続、本日転換線と21日移動平均線が143.13レベルでクロスしつつあり、当面の下値目途となっています。
ドル円は予期せぬ英中銀の金融緩和再開からの影響で、一旦値を下げたものの、売り一巡後は再び144円台に乗せてきており、底堅さが感じられます。
英国の無謀ともいえる減税、景気刺激策は、財源の脆弱さを見透かした市場の攻撃を招く形となりました。これを鎮静化させるため英中銀は、インフレ対策の政策金利引き上げと、長期債無制限買入による金融緩和を同時に行うというあからさまな矛盾を抱え込むこととなりましたが、この状態が長く続けば、市場は必ずこの矛盾をついてきます。トラス政権に今のところ政策修正の計画はなさそうで、その場合、早晩英リスク資産からの資金逃避、ポンド売りドル買いが再び強まる恐れは強く、ドル買い、米金利の再上昇を通じてドル円も再び上値を試すこととなりそうです。しばらくは欧州市場での英国をめぐる動きに要注目です。
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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