ドル円、144円台後半へ急伸。但し、介入警戒感が燻る中、続伸余地は限定的か(9/27朝)

週明け26日(月)のドル円相場は堅調な値動き。

ドル円、144円台後半へ急伸。但し、介入警戒感が燻る中、続伸余地は限定的か(9/27朝)

ドル円、144円台後半へ急伸。但し、介入警戒感が燻る中、続伸余地は限定的か

〇ドル円、英ポンドの急落によるドル買い圧力、米長期金利上昇等に米国時間に144.79まで上昇
〇9/22の円買い為替介入の規模約3.6兆円との推測記事から、規模比効果の薄さへの失望感も
〇ユーロドル、ポンド急落につられ20年3ヶ月ぶり安値0.9569まで下落
〇独指標の不冴え、イタリアの右派政権誕生への警戒感も重石に
〇ドル円テクニカルには転換線上抜ける等地合い強い
〇日銀の為替再介入、ポンド急落再発、リスク回避のドル買いから円買いへの変化の有無に要注目
〇本日の予想レンジ:142.00ー145.50

海外時間のレビュー

週明け26日(月)のドル円相場は堅調な値動き。@対英ポンドでのドル買い圧力(トラス英政権による大型減税による国債増発懸念→債券安・株安・通貨安のトリプル安発生→英ポンドは1.0350まで急落し史上最安値を更新)や、A米長期金利の急上昇(米10年債利回りは2010年4月以来となる3.92%へ急上昇)、B上記Aを背景とした強烈なドル買い圧力(ドル指数は2002年5月以来の高値圏へ急上昇)、Cクリーブランド連銀メスター総裁による「追加利上げが必要になるだろう」とのタカ派的な発言、

D日本政府・日銀の介入効果への不信感(9/22に実施された円買い為替介入の規模が約3.6兆円だったとの推測記事→市場では3.6兆円も費やしたのにドル円の下落効果が僅か5.5円程度に過ぎなかったことに対する失望感→円売り再開)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値144.79まで上昇しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/27午前6時45分現在)では、144.69前後で推移しております。尚、昨日は黒田日銀総裁より「急速かつ一方的な動きは日本の経済にとってマイナス」との円安牽制発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。

週明け26日(月)のユーロドル相場は上値の重い展開。@対英ポンドでのドル買い圧力(トリプル安を背景に英ポンドは史上最安値を更新)や、A米金利上昇に伴うドル買い圧力、Bロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクが重石となり、アジア時間朝方にかけて、2002年6月以来、約20年3ヵ月ぶり安値となる0.9569まで急落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C急ピッチで下落した反動(自律反発)や、D英ポンドのショートカバー(BOEが緊急利上げに踏み切るとの思惑→英ポンド急上昇→ユーロドル連れ高)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値0.9701まで反発する場面も見られました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、Eドイツ9月IFO景況感指数(結果84.3、予想87.1、結果88.6)の冴えない結果や、Fイタリアの政局不透明感(9/25に投開票されたイタリア総選挙で右派勢力が上下両院で過半数の議席を獲得する見通し→EU離脱の流れに繋がる恐れ)、

GOECDによる2023年のユーロ圏成長率の下方修正(+1.6%から+0.3%へ下方修正)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間9/27午前6時45分現在)では、0.9610前後まで値を崩す展開となっております。尚、昨日はラガルドECB総裁より「今後複数回の理事会での追加利上げを見込む」とのタカ派的な発言が見られた他、ドイツ連銀ナーゲル総裁からも「インフレ期待が不安定になるリスクが高いため、断固とした利上げが必要」とのタカ派的な発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。

本日の見通し

ドル円は9/22(政府・日銀による円買い為替介入実施時)に記録した安値140.35をボトムに反発に転じると、昨日は一時144.79まで急伸しました(僅か2営業日で4.44円の急騰劇)。この間、一目均衡表転換線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転、強気のパーフェクトオーダー、ダウ理論の上昇トレンドも全て成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測や、A日銀による金融緩和の継続方針、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)、C本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力、D世界的なリスクオフ到来とそれに伴う資産現金化需要のドル買い圧力など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています(現時点でリスク回避の円買いの動きは一切見られず、リスク回避のドル買いの動きに終始)。

以上を踏まえ、当方では引き続き、中長期的なドル高・円安をメインシナリオとして予想いたします。但し、短期的には、政府・日銀による追加的な円買い為替介入が意識されるため、ここからの更なる上昇は容易では無いと考えられます(9/22に円買い介入が入った際も145.90をトップに振るい落とされる動きとなったため、145円台は介入実施判定のレッドゾーンとして警戒感が根強い)。事実、昨日は鈴木財務相や黒田日銀総裁、雨宮日銀副総裁より相次いで円安牽制発言が見られました。

本日は海外時間に米国の重要経済指標(米8月耐久財受注、米9月コンファレンスボード消費者信頼感指数、米8月新築住宅販売件数、シカゴ連銀エバンズ総裁発言など)が複数予定されているものの、本日に限っては、米経済指標よりも、「政府・日銀による追加為替介入が実施されるか否か」「英ポンドの急落が再度発生するか否か」「世界的なリスクオフがリスク回避のドル買いからリスク回避の円買いにシフトするか否か」の3点に注目したいと考えております(米フロリダ州への上陸が見込まれるハリケーン「イアン」に関する続報も米ドル高の巻き戻しに繋がる恐れあり)。

本日の予想レンジ:142.00ー145.50

注:ポイント要約は編集部

ドル円、144円台後半へ急伸。但し、介入警戒感が燻る中、続伸余地は限定的か

ドル円日足

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