ドル円見通し FOMC前で143円台中心の持ち合い
〇ドル円、9/20夜高値143.92まで上昇後144円には届かず、143円台中心の持ち合いが4営業日続く
〇米FOMC、今回0.75%利上げなら3.00〜3.25%、11月大幅利上げが続けば年明け4%超える可能性も
〇政策金利ピーク予想と時期、GDP予想でどの程度の景気減速を想定するかに注目
〇米10年債利回り11年ぶり、2年債は15年ぶりの高水準、NYダウ及びナスダックは景気後退懸念で下落
〇143.92超えからは144円台前半試し、FOMC後勢い付く場合は145円を試す可能性ありとみる
〇143円割れからはいったん下げに入るとみて142.50円台への下落を想定する
【概況】
ドル円は9月20日午前安値で142.93円まで下げたところを買われて夜高値143.92円まで上昇したが144円には届かず21日朝にかけてはやや失速気味の推移となっている。
9月13日夜の米8月CPI上昇率が上ブレしたことで直前安値141.83円から14日午前高値144.95円へ急伸し、日銀のレートチェックによる市場介入警戒感から14日夜安値142.54円まで急落したが、その後は介入警戒でのドル売り円買いが一服して143円割れを買われつつも144円には届かずに143円台を中心とした持ち合いでの推移が4営業日続いている。
22日未明に米FOMCがあり米長期債利回りは先週からの上昇が勢い付いている。明日昼頃には日銀金融政策決定会合があるが、22日夜の英中銀MPCのほかにもスイス、ノルウェー、トルコ、南ア等での政策金利発表が集中する。20日はスウェーデンが1%の大幅利上げを決定しており、日米金利差拡大による円安圧力のみならず金融緩和から脱却できない日銀の出遅れ感が顕著となりやすい局面だ。
【FOMC、政策金利のピーク水準と時期を見定めるところ】
今回のFOMCでは3会合連続での0.75%利上げが予想の中心となっているが、一部には1.00%利上げの可能性を指摘する声もある。またメンバーによる政策金利水準の先行き見通しも重要となるが、メンバーの予想中心値としては6月時点で2022年が年3.25〜3.50%、2023年が3.75〜4.00%へ引き上げられてから2024年は3.25〜3.50%に落ち着くとの想定だった。今回のFOMCで0.75%利上げが決定されれば3.00〜3.25%となり、さらに11月の大幅利上げが続けば年末から年明けには4%を超える可能性がある。
FOMC内でタカ派を主導してきたウォラー理事やクリーブランド連銀のメスター総裁等は来年序盤に4%を上回る水準へ引き上げてしばらくはその水準を維持するとの見通しを繰り返し示してきた。FOMCメンバー及び市場の政策金利ピーク予想がどの程度になるのかにより米2年債や10年債利回りの上昇がさらに勢い付くのかどうかも決まってくるのだろうと思われる。また「景気よりもインフレ抑制」として、GDP予想でどの程度の減速を想定し、「景気減速も仕方ない」として容認しているかも重要だ。
【米2年債利回りは15年ぶり、10年債利回りは11年ぶり高値水準に】
9月20日の米長期債利回りは総じて上昇。指標の10年債利回りは前日比0.08%上昇の3.57%で終了したが、一時は3.60%をつけて2011年4月以来11年ぶり高水準に達した。19日に0.04%の上昇で高値では3.51%をつけて6月14日の3.50%を超えていたがさらに勢い付いている。
30年債利回りは前日比0.05%上昇の3.57%となり8月2日の2.86%以降の最高値となり2014年4月以来の水準とした。
利上げに敏感な2年債利回りは前日比0.03%上昇の3.97%で15年ぶり高値を更新中だが、一時は3.99%まで上昇しており、4%台へ到達すると2007年10月以来となる。
2年債と10年債の利回り格差は一時-47.5bpまで拡大して8月10日につけた過去最大の-56.2bpに迫った。
一方でNYダウは前日比313.45ドル安と下落、一時は550ドル安を超える下落規模となり8月16日以降の安値を更新した。ナスダック総合指数も109.97ポイント安と下落した。大幅利上げ継続による景気後退懸念が優勢となっている。
米商務省による8月の住宅着工件数(年換算)は前月比12.2%増の157.5万戸となり7月の140.4万戸を上回り市場予想の144.5万戸も上回ったが、先行指標となる住宅着工許可件数は前月比10.0%減の151.7万戸となり7月の168.5万戸及び市場予想の160.4万戸を下回り2年ぶり低水準となった。強弱まちまちとして市場反応は限定的だったが、米FOMCでの大幅利上げ判断を阻害するものではなかった。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、9月13日夜からの急騰と14日深夜への急落による乱高下の後は概ね143円台を中心とした持ち合いでの推移のために方向感に欠けるところだが、9月19日午前安値で直近のサイクルボトムをつけたと思われる。サイクルトップ形成期は14日朝高値を基準とすれば21日午前までの間と想定されるのですでに反落注意期にあるため143円割れからは弱気サイクル入りの可能性を優先して22日未明から26日午前にかけての間への下落を想定する。ただし弱気サイクル入りした後のFOMCから下落反応となる場合は安値試し継続とするが、FOMCから急伸する場合は新たな強気サイクル入りとなり23日から27日夜にかけての間への上昇期に入る可能性がある。
60分足の一目均衡表では9月20日夜への上昇で先行スパンを上抜いて遅行スパンも好転しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、先行スパンから転落する場合はいったん下げに入るとみて遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は9月20日夜の上昇時に60ポイント台後半としたがその後は伸び悩みとなっている。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、65ポイント超えからは70ポイント台を目指し、FOMCから急騰の場合は80ポイント台へ向かう流れとみる。45ポイント割れからはいったん下げに入るとみて30ポイント台への低下を想定し、FOMCから下落反応の場合は20ポイント台への低下を想定する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、143円を下値支持線、9月20日夜高値143.92円を上値抵抗線とする。
(2)143円以上での推移中は一段高余地ありとし、143.92円超えからは144円台前半(144.00円から144.50円)試しとする。FOMC後に勢い付く場合は145円を試す可能性もあるとみる。
(3)143円割れからはいったん下げに入るとみて142.50円台への下落を想定する。142.50円以下は反騰注意とするが、FOMC後に急落反応となる場合は142円前後試しへ向かうとみる。
(4)FOMCが決め手に欠く場合は方向性を探りつ乱高下となる可能性もあるが、乱高下が落ち着いた後でFOMC前の水準を上回っての推移なら上向きとし、下回っての推移なら下向きと考える。当面するドル買い材料の出尽くしとなるのか、ドル買い加速ポイントとなるのか、しっかり見極めたい。
【当面の主な予定】
9/21(水)
英中銀金融政策委員会(MPC)初日
日銀金融政策決定会合初日
11:00 (豪) ブロック豪中銀副総裁、講演
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数・年率換算 (7月 481万件、予想 470万件)
23:00 (米) 8月 中古住宅販売件数 前月比 (7月 -5.9%、予想 -2.3%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)、政策金利 (現行 2.25-2.50%、予想 3.00-3.25%)
27:30 (米) パウエルFRB議長、会見
9/22(木)
休場、オーストラリア
政策金利発表集中日(ブラジル、フィリピン、インドネシア、スイス、ノルウェー、トルコ、南ア、台湾)
昼 頃 (日) 日銀金融政策決定会合、政策金利 (現行 -0.10%、予想 -0.10%)
07:45 (NZ) 8月 貿易収支 (7月 -10.92億NZドル)
15:30 (日) 黒田東彦日銀総裁、会見
20:00 (英) BOE・英中銀 政策金利 (現行 1.75%、予想 2.25%)
21:30 (米) 4-6月期 経常収支 (1-3月 -2914億ドル、予想 -2590億ドル)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 21.3万件、予想 21.8万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 140.3万人、予想 139.5万人)
23:00 (米) 8月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (7月 -0.4%、予想 0.0%)
23:00 (欧) 9月 消費者信頼感速報値 (8月 -24.9、予想 -25.5)
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動10年債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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