ドル円、米金利上昇でドル高再開。米FOMC通過後の一段高を想定
〇ドル円、アジア時間朝方142.96まで下落後、米8月住宅着工件数の好結果等を受け143.93まで急伸
〇その後はFOMC前の様子見モードが重石となり143.66前後で推移
〇ユーロドル、ECBの連続大幅利上げ観測等からアジア時間朝方1.0051まで上昇、その後は伸び悩む
〇欧州経済の不透明感、米金利上昇でのドル買い圧力等が重石、0.9956まで下落後0.9977前後で推移
〇ドル円極めて強い地合い、ダウンサイドに複数のサポートポイント控え、複数の買いシグナルも同時点灯
〇22日のFOMCやドットチャート、パウエルFRB議長会見に注目集まる
〇100bpの利上げやFRB議長のタカ派的見解等を想定、FOMC後のドル全面高をメインシナリオとして予想
〇状況次第で9/14高値144.96、9/7高値144.99、心理的節目145.00の上抜けも想定
〇本日の予想レンジ:142.00ー146.00
海外時間のレビュー
20日(火)のドル円相場は堅調な値動き。@米金利低下に伴うドル売り圧力が重石となる中、アジア時間朝方にかけて、安値142.96まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、A5・10日要因に伴う実需のドル買い(本邦祝日明け+5・10日の組み合わせ)や、A日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)、B本邦8月消費者物価指数(結果+3.0%、予想+2.8%、前回+2.6%)の伸び率上昇、C本邦8月消費者物価コア指数(結果+2.8%、予想+2.7%、前回+2.4%)の伸び率上昇、D上記BCを背景とした実質金利低下に伴う円売り圧力、E米8月住宅着工件数(結果157.5万件、予想145.5万件、前回140.4万件)の市場予想を上回る結果、F米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りが2011年4月以来となる3.60%へ急上昇)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値143.93まで急伸しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、G米FOMCを控えた様子見ムード(ポジション手仕舞い)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間9/21午前5時00分現在)では、143.66前後で推移しております。
20日(火)のユーロドル相場は上値の重い展開。@次回ECB理事会での連続大幅利上げ観測や、A米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、アジア時間朝方にかけて、高値1.0051まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、B欧州経済の先行き不透明感や、C米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りが3.47%から3.60%へ急上昇)、D対スウェーデンクローナでのユーロ売り圧力(スウェーデン中銀のリクスバンクが市場予想の75bp利上げを上回る100bpのサプライズ利上げを決定→EURSEK急落→ユーロドル連れ安)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値0.9956まで下落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、D米FOMCを控えたポジション調整主導で持ち直し、本稿執筆時点(日本時間9/21午前5時00分現在)では、0.9977前後で推移しております。尚、欧州時間朝方に発表されたドイツ8月生産者物価指数(結果+45.8%、予想+36.4%、前回+37.2%、※前年比)は統計開始以来最大の伸び率を記録しましたが、ユーロ買いでの反応は一時的なものに留まりました。
本日の見通し
ドル円は一目均衡表転換線に下支えされる形で「堅調さ」を維持しています。ダウンサイドに複数のサポートポイントを控えている点や、チャートフォーメーション的に複数の買いシグナル(一目均衡表三役好転や強気のパーフェクトオーダー、ダウ理論の上昇トレンド)が同時点灯している点などを踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。ここ数日間続いてきた142.50ー143.50のコアレンジも上方ブレイクし始めており、いよいよドル高・円安トレンドの再開が意識されます。
こうした中、本日は日本時間午前3時に予定されている米FOMCやドットチャート、同3時30分に予定されているパウエルFRB議長記者会見に注目が集まります。市場の関心は、@米FOMCでの利上げ幅(市場コンセンサスは75bpとなっているものの一部で100bpの大幅利上げを期待する向きも一部残存→CMEが提供するFedWatchでは75bp利上げ確率が82%、100bp利上げ確率が18%)、AFOMC参加者の政策金利予想分布図「ドットチャート」の配置(2022年末、2023年末、2024年末、2025年末のDotsがどこに配置されるか)、BパウエルFRB議長のタカ派ニュアンスに集まっています。
当方は引き続き、「@100bpのサプライズ利上げ実施、Aドットチャートにおける年内FF金利4%示唆+2023年末と2024年末の政策金利の概ね横ばい示唆+2025年の利下げ開始示唆、BパウエルFRB議長による景気よりインフレ抑制にコミットするとのタカ派的な見解」の組み合わせを想定しているため、FOMC通過後のドル全面高の流れ(米長期金利急上昇→米ドル全面高)をメインシナリオとして予想しております。状況次第では、9/14高値144.96や、9/7高値144.99、心理的節目145.00を一気に上抜けするシナリオも想定されるため、米国時間午後にかけてのドル高・円安に警戒が必要でしょう(FOMC通過後のボラティリティ高騰が予想されるため、予想外に大きな髭でストップアウトさせられないためにも、海外時間帯は極力ポジションをスクエアの状態で臨む方針)。
本日の予想レンジ:142.00ー146.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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