ドル円、三者会合への警戒感から一時急落するもすぐに持ち直す底堅い展開
〇ドル円、米長期金利低下と財務省・日銀・金融庁の3者会合への警戒感に143.32まで急落
〇売り一巡後は、米指標の好調とパウエル議長のタカ派発言に144円近辺まで持ち直す
〇ユーロドル、ECB理事会の0.75%利上げ受け1.0029まで急伸するも反落
〇パウエル発言による米金利再上昇等に0.9932まで下落するも、終盤持ち直しパリティ前後の推移
〇ドル円、上昇幅に比べ押し目浅く、テクニカルの地合いも極めて強い
〇ファンダメンタルズも日米政策差に加え、米国FRB関係者のドル高容認発言目立つ
〇引き続き、ドル高・円安トレンドの継続を、メインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:143.00ー145.00
海外時間のレビュー
8日(木)のドル円相場は下落後に持ち直す展開。アジア時間朝方にかけて、高値144.54まで上値を伸ばすも、一巡後に伸び悩むと、@急ピッチなドル高・円安に対する反動が見られたこと(心理的節目145.00トライに失敗したことで短期筋がロングポジションを一斉に手仕舞い)や、A米金利低下に伴うドル売り圧力、B財務省・日銀・金融庁の3者会合への警戒感(円買い為替介入への警戒感。神田財務官は「明らかに過度な変動と思われる」「米国を含めて各国当局とは緊密に連携を取っており確りと意思疎通はできている」「あらゆる選択肢を検討対象としている」と発言。但し声明文は公表されず)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値143.32まで急落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C米新規失業保険申請件数(結果22.2万件、予想23.5万件、前週23.2万件)の良好な結果や、DパウエルFRB議長による「早急な緩和のリスクを歴史が警告」「インフレを抑制することに強くコミット」「FRBは真っすぐに力強く行動する必要がある(We need to act now, forthrightly, strongly as we have been doing)」とのタカ派的な発言、Eシカゴ連銀エバンズ総裁による「「9月会合で75bp利上げを決める可能性は十分にある」とのタカ派的な発言、F米金利上昇に伴うドル買い圧力(米10年債利回りが3.21%から3.30%へ持ち直す展開)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間9/9午前4時45分現在)では、144.00前後まで持ち直す動きとなっております。
8日(木)のユーロドル相場は乱高下。@米金利低下に伴うドル売り圧力や、A独債利回り上昇に伴うユーロ買い圧力、BECB理事会での75bp利上げ決定(2022年から2024年までのインフレ見通しをいずれも上方修正)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.0029まで急伸しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと(sell the factの動きが活発化すると)、CラガルドECB総裁による「次回利上げは75bpである必要はない」「75bpは標準ではない」との慎重な発言(ECBによる連続大幅利上げ期待後退に伴うユーロ売り圧力)や、DパウエルFRB議長のタカ派的な発言、E米金利上昇に伴うドル買い圧力が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値0.9932まで急落しました。もっとも、その後は、F一部通信社による「10月会合でECBは75bpの利上げを排除していない」との観測報道が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間9/9午前4時45分現在)では、0.9995前後まで持ち直す動きとなっております。
本日の見通し
ドル円は急ピッチなドル高・円安の反動で一時143.32まで下げ幅を広げるも、すぐに144円絡みへ持ち直す底堅い動きとなりました(上昇時の値幅に対して押し目が浅い)。日足・週足・月足の全てで強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役逆転、強気のパーフェクトオーダー、ダウ理論の上昇トレンドが成立する中、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます(心理的節目145.00を早期に再トライするシナリオを想定)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(パウエルFRB議長はブラックアウト期間入り最後の講演でタカ派的なスタンスを強調。CMEが提供するFedWatchで9/21FOMC会合での75bp利上げ確率は86%へ上昇)や、A日本とその他先進国との金融政策格差(今週は豪中銀の50bp利上げに続いて、カナダ中銀およびECBが各々75bpの利上げを決定→日本とその他各国との金利差拡大)、B米政府・米当局によるドル高容認スタンス(米国はインフレ抑制に繋がり得るドル高を当面の間黙認する構え。事実、ブレイナードFRB副議長が9/7に「強いドルがインフレ鎮静化に影響する可能性がある」と発言した他、シカゴ連銀エバンズ総裁も9/8に「ドル高は投資家のFRBへの信頼を反映」と発言)、C本邦通貨当局による円買い為替介入のやりづらさ(上記Bへの配慮から為替介入に踏み切りづらい外部環境。日本は円売りに繋がる金融緩和政策を続けているため、それに相反する円買い為替介入の実施を世界に受け入れられにくい。
事実昨日は財務省・日銀・金融庁の3者会合へ期待が集まりましたが、為替介入への具体的な発言には踏み込めず期待外れ)、D本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力など、ドル円相場の上昇を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続を、メインシナリオとして予想いたします。尚、本日は米7月卸売在庫(23:00)、米7月卸売売上高(23:00)、シカゴ連銀エバンズ総裁発言(23:00)、ウォラーFRB理事講演(25:00)に注目が集まります。
本日の予想レンジ:143.00ー145.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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