ドル円、一時144.99まで急伸するも、145円トライ失敗でひとまず反落(9/8朝)

7日(水)のドル円相場は急伸後に急反落。

ドル円、一時144.99まで急伸するも、145円トライ失敗でひとまず反落(9/8朝)

ドル円、一時144.99まで急伸するも、145円トライ失敗でひとまず反落

〇ドル円、米国時間朝方にかけ約24年ぶり高値144.99まで急伸
〇本邦要人の期待外れの円安牽制発言、FRB関係者のタカ派発言、投機筋の仕掛け的ドル買い等が背景
〇その後143.75レベルに反落、急ピッチの上昇の反動、米長期金利の急落、ユーロ買い等が重石
〇ユーロドル、米国時間朝方0.9876まで下落後1.0010まで急伸
〇「ノルドストリーム1はタービンがあれば明日にも供給再開可能」とのプーチン発言等がサポート
〇ドル円、反落するも押し目浅く98年高値147.68が射程内、地合い極めて強い
〇ブレイナードFRB副議長は「強いドルがインフレ鎮静化に影響する可能性がある」とドル高容認発言
〇本日の予想レンジ:142.75ー145.75

海外時間のレビュー

7日(水)のドル円相場は急伸後に急反落。アジア時間朝方にかけて、安値142.73まで下げ幅を広げるも、一巡後に下げ渋ると、@日米金融政策格差を背景としたドル買い・円売り(米金利上昇に伴うドル買い圧力)や、A本邦政府・当局による期待外れの円安牽制発言(松野官房長官や鈴木財務相から一定の牽制が入るも為替介入観測を高めるには至らず。むしろ、松野官房長官からは「水際対策見直し、円安メリットを生かせると想定している」との円安容認発言あり)、Bリッチモンド連銀バーキン総裁による「インフレが収まりつつあると確信するまで高金利を維持する必要がある」とのタカ派的な発言、C心理的節目144.00突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売りが支援材料となり、米国時間朝方にかけて、1998年8月26日以来、約24年ぶり高値となる144.99まで急伸しました。

しかし、心理的節目145.00トライに失敗すると、D急ピッチで上昇したドル高・円安の反動が見られたこと(ロング勢のポジション手仕舞い)や、E米金利低下に伴うドル売り圧力(米10年債利回り3.36%から3.25%へ急低下)、F対ユーロでのドル売り圧力(ユーロドルがパリティを回復)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間9/8午前5時00分現在)では、143.75前後まで値を崩す展開となっております。尚、ブレイナードFRB副議長からは「強いドルがインフレ鎮静化に影響する可能性がある」とのドル高容認発言が出ましたが、市場の反応は限定的となりました。

7日(水)のユーロドル相場は急落後に急反発。@米金利上昇に伴うドル買い圧力や、A世界的なリスク回避ムード(資産現金化需要のドル買い圧力)、B欧州経済の先行き不透明感が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値0.9876まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、CECB理事会を控えた警戒感(9/8に予定されているECB理事会での大幅利上げ観測)や、D短期筋のショートカバー、Eプーチン露大統領による「ノルドストリームはタービンがあれば明日にでも供給再開が可能」との楽観発言(天然ガス価格急落→欧州エネルギー危機後退期待)、F米金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.0010まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間9/8午前5時00分現在)では、1.0005前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は一時144.99まで上昇するなど、1998年8月26日以来、約24年ぶり高値を記録しました。8/2に記録した安値130.40からわずか1ヵ月ちょっとで14円59銭も急騰した計算となり、1998年8月11日に記録した高値147.68を射程圏内に捉えつつあります。日足・週足・月足の全てで強い買いシグナル(一目均衡表三役逆転・パーフェクトオーダー・ダウ理論の上昇トレンド)が成立する中、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます(米国時間午後にかけてポジション調整主導で143円台後半へ反落するもこれまでの上昇幅を考えると押し目が浅い)。

ファンダメンタルズ的に見ても、@日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)や、A日本とその他先進国との金融政策格差(日米以外の主要先進国である欧州・英国・豪州・NZ・カナダ・スイスはいずれも大幅利上げを実施済み→日本とその他各国との金利差拡大→クロス円上昇→ドル円連れ高)、B米政府・米当局によるドル高容認スタンス(米インフレ抑制に繋がることから米国はドル高を当面の間黙認する構え。

事実、ブレイナードFRB副議長は昨日「強いドルがインフレ鎮静化に影響する可能性がある」と発言)、C上記Bを背景とした本邦通貨当局による円買い為替介入のやりにくさ(松野官房長官や鈴木財務相からの円安牽制は引き続きトーンが弱め)、D本邦貿易赤字拡大に伴う構造的な円売り圧力など、ドル高・円安トレンドの継続を連想させる材料が増えつつあります。世界的な金融引き締めを背景にグローバルなリスクオフが到来したとしても、リスク回避の円買いと、資産現金化需要のドル買いが相殺されることから、一部で期待されているような一方的な「円買い」も想定しづらく、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。

こうした中、本日は本邦4ー6月期GDP統計や、本邦7月国際収支統計に加えて、米新規失業保険申請件数や、パウエルFRB議長講演、シカゴ連銀エバンズ総裁講演などに注目が集まります。本邦GDP統計や国際収支統計が冴えない結果を示す場合や、ブラックアウト期間突入前最後となるパウエルFRB議長講演でタカ派的な見解が示される場合には、ジャパンSELLの円売りと、米金利上昇に伴うドル買いが組み合わさることから、ドル円が次のターゲットとして意識されている147.68に向けて急伸する恐れも警戒されます。本日も前日に続き、ドル円相場の大幅上昇リスクに注意が必要でしょう。尚、本日は上記以外にECB理事会やラガルド総裁記者会見にも注目が集まります。ECBが75bpの利上げに踏み切る場合や、ラガルド総裁よりタカ派的なコメントが出てくる場合には、直後はユーロ上昇で反応する可能性が高いものの、一巡後はスタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めは欧州経済にとって強い逆風との連想から、欧州株下落→ユーロ売りに繋がるリスクを孕んでいる点に警戒が必要でしょう。

本日の予想レンジ:142.75ー145.75

注:ポイント要約は編集部

ドル円、一時144.99まで急伸するも、145円トライ失敗でひとまず反落

ドル円日足

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