ドル円、約2ヵ月ぶり安値更新後に急反発。米当局者によるタカ派発言が支援材料
○ドル円、米経済のリセッション懸念などからアジア時間朝方にかけて安値130.43まで急落
○その後、米当局者による相次ぐタカ派発言を支援材料に、米国時間午後にかけて高値133.19まで急伸
○ユーロドル、米中対立激化懸念などが重石となり1.0164まで急落、上値の重い展開
○ドル円、心理的節目130.00を死守、テクニカル的に地合いは崩れていないと判断
○ファンダメンタルズ的、テクニカル的、ポジション的にも上がりやすくなっていると推測
○米長期金利などの動向を睨みながらも、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
○本日の予想レンジ:132.00ー134.50
海外時間のレビュー
2日(火)のドル円相場は急落後に急反発。@米経済のリセッション懸念(7/28に発表された米4ー6月期GDP速報値が2四半期連続のマイナス成長を記録)や、A上記@を背景とした米長期金利の急低下(米利上げペースの鈍化観測→米10年債利回りは4/5以来、約4ヵ月ぶり低水準となる2.52%へ急低下)、B中国経済の先行き不透明感(7/31に発表された中国7月製造業PMIと、8/1に発表された中国7月財新製造業PMIの不冴な結果)、Cペロシ米下院議長の台湾訪問に端を発した米中対立激化懸念(地政学的リスク台頭→市場心理悪化)、D上記@BCを背景とした世界的なリスク回避ムード(株式市場下落→リスク回避の円買い圧力)が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値130.43(6/6以来、約2ヵ月ぶり安値圏)まで急落しました。
しかし、売り一巡後に下げ渋ると、Eサンフランシスコ連銀デイリー総裁による「インフレ抑制を目的としたFRBの取り組みは達成にはまだ程遠い」「FRBは断固として完全に一致団結している」とのタカ派的な発言や、Fシカゴ連銀エバンス総裁による「インフレ状況が改善しなければ次回9月FOMCでの75bp利上げが視野に入ってくる」とのタカ派的な発言、Gクリーブランド連銀メスター総裁による「インフレがまだピークに達しておらずFRBはさらなる取り組みを行う必要がある」とのタカ派的な発言、H上記EFGを背景とした米長期金利の急上昇(米利上げペース鈍化観測後退→米10年債利回りが2.52%から2.77%へ急上昇)、Iペロシ米下院議長が無事台湾に到着したとの報道などが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値133.19まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間8/3午前6時35分現在)では、133.18前後で推移しております。
2日(火)のユーロドル相場は上値の重い展開。@米金利低下に伴うドル売り圧力を背景に、アジア時間朝方にかけて、高値1.0294まで上値を伸ばすも、買い一巡後に伸び悩むと(心理的節目1.0300をバックに戻り売り圧力が強まる)と、Aペロシ米下院議長の台湾訪問に端を発した米中対立激化懸念(リスク回避ムード台頭)や、B欧州経済の先行き不透明感(8/1に発表されたドイツ6月小売売上高が市場予想を大幅に下回る冴えない結果)、Cロシア産天然ガスを巡る供給削減懸念(欧州圏におけるエネルギー危機再燃リスク)、D米当局者によるタカ派的な発言、E上記Dを背景とした米長期金利の急上昇が重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.0164まで急落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間8/3午前6時35分現在)では、1.0165前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時130.43(6/6以来、約2ヵ月ぶり安値圏)まで急落するも、米国時間午後にかけて133.19まで反発する荒々しい値動きとなりました。@米経済を巡るリセッション懸念(米GDPの2四半期連続のマイナス成長→米ドル売り)や、A米FRBによる利上げペース鈍化観測(来年第1四半期に利下げに転じるとの見方も浮上→米長期金利急低下)、B米中対立激化懸念(株安→リスク回避の円買い)の組み合わせが、直近5カ月間に亘って蓄積されてきた円ショートの大規模ポジション調整を促したものの、C米FRBメンバーによる相次ぐタカ派的なコメントや、Dそれに伴う米長期金利急上昇を背景に、結局「全値戻し」の展開となりました。テクニカル的に見ても、心理的節目130.00を死守できたこと(130.00付近での押し目買い圧力の強さを再確認)や、一目均衡表雲上限を上抜けできたこと(一時的に強い売りシグナルを示唆する三役逆転が点灯するもわずか数時間で解消済み→一目均衡表雲下限割れの騙しが成立)等を踏まえると、地合いは崩れていない(下落トレンドに転じていない)と判断できます(5/24安値126.36を下回らない限りダウ理論の上昇トレンドが継続)。
本日はペロシ米下院議長と蔡英文総統の会談が予定されているため、中国政府による対抗措置など、米中を巡る緊張感の高まりが警戒されますが、地政学的リスクに端を発したリスク回避局面では、円のみならずドルも買われる傾向にあるため、米中対立激化が一方的にドル円を押し下げる可能性は低いと考えられます。また、昨晩は米長期金利が上昇に転じた他(米利上げペース鈍化観測が後退)、大規模ポジション調整を経て円ショートポジションの大幅減少(ポジションが軽くなった)も見込まれるため、ドル円は、ファンダメンタルズ的にも、テクニカル的にも、ポジション的にも上がりやすくなっていると考えられます。米長期金利や米主要株価指数の動向を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(尚、本日は米MBA住宅ローン申請指数、米7月総合PMI、米7月ISM非製造業景況指数、米6月製造業受注、米6月耐久財受注などに注目)。
本日の予想レンジ:132.00ー134.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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