ドル円、約1ヵ月半ぶり安値圏へ急落。2四半期連続マイナス成長で米経済はリセッション※入り(7/29朝)

28日(木)のドル円相場は大幅下落。

ドル円、約1ヵ月半ぶり安値圏へ急落。2四半期連続マイナス成長で米経済はリセッション※入り(7/29朝)

ドル円、約1ヵ月半ぶり安値圏へ急落。米経済はリセッション※入り

※多くの国でGDP2四半期連続マイナスはリセッションの定義とされていますが、米国では正式には全米経済研究所のBusiness Cycle Dating Committee が景気循環の日付を認定します。そのため今回はあくまで”テクニカル”リセッション。尚、日本ではGDPではなく内閣府景気動向指数をリセッション判定に使用(編集部)

〇ドル円、米2QGDPマイナス成長で米長期金利急低下、134.21まで急落
〇ユーロドル振れを伴いつつ1.0200中心の方向感に欠ける動き
〇ドル円、主要テクニカルポイント下抜け、転換線と基準線がデッドクロス、テクニカルの地合い悪化
〇一目均衡表雲上限132.82、6/16安値131.49がサポートするも下抜けの場合トレンド転換も
〇現在のドル円相場は年後半の方向性を見極める上で重要な岐路
〇本日の予想レンジ:133.50ー135.50

海外時間のレビュー

28日(木)のドル円相場は大幅下落。@パウエルFRB議長による「ある時点で利上げ速度を緩めることが適切であるだろう」とのハト派的な発言(利上げペース鈍化観測)や、A雨宮日銀副総裁による「出口戦略について全く考えていないという事ではない」「出口の具体的議論は時期尚早だが方法は常に考える必要がある」とのややタカ派的な発言、B米4ー6月GDP速報値(結果▲0.9%、予想+0.5%)の冴えない結果(2四半期連続のマイナス成長→テクニカルリセッション入り)、C上記@Bを背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは4/14以来となる2.65%へ急低下→日米金利差縮小に伴うドル売り・円買い)が重石となり、米国時間午後にかけて、約1ヵ月半ぶり安値となる134.21(6/17以来の安値圏)まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/29午前5時55分現在)では、134.23前後で推移しております。

28日(木)のユーロドル相場は振れを伴いつつも方向感を見出せず。@パウエルFRB議長によるハト派的な発言や、A上記@を背景とした米長期金利の急低下が支援材料となり、アジア時間午後にかけて、高値1.0235まで上昇しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、B欧州経済の先行き不透明感や、Cイタリアを巡る政局不透明感、Dロシア産天然ガスを巡る供給削減懸念(オランダTTF天然ガス先物価格の急上昇→欧州圏でのエネルギー危機発生の恐れ)、Eユーロ圏7月経済信頼感指数(結果99.0、予想102.0)の冴えない結果(2021年2月以来となる100割れ)、Fドイツ7月HICP(結果+0.8%、予想+0.4%)の伸び率昂進、G上記EFを背景としたスタグフレーション懸念再燃が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値1.0114まで反落しました。もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、H米4ー6月GDP速報値の冴えない結果や、I上記Hを背景とした米長期金利の一段の低下が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間7/29午前5時55分現在)では、1.0199前後まで持ち直す動きとなっております。

本日の見通し

ドル円は一時134.21まで急落するなど、6/17以来、約1ヵ月半ぶり安値圏へと急落しました。米FOMC後の記者会見でパウエルFRB議長が「ある時点で利上げ速度を緩めることが適切であるだろう」と利上げペース鈍化を示唆する発言を行ったことや、米4ー6月GDP速報値(結果▲0.9%、予想+0.5%)が2四半期連続のマイナス成長となったことでテクニカルリセッション入りが実現したことなどが、ドル売り・円買いの背景と考えられます。この間、ローソク足は主要サポートポイント(一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線)を下抜けした他、遅行線の26日前のローソク足下抜けおよび転換線と基準線のデッドクロスを通じて強い買いシグナルを示唆する三役好転も消失するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります。目先は一目均衡表雲上限が位置する132.82や、6/16安値131.49がサポートとして機能する可能性がありますが、万が一同水準を下抜ける場合には、上昇から下落へのトレンド転換の可能性も意識せざるを得なくなります。

当方は、「日米金融政策の方向性の違い」「米国のドル高容認スタンス」をコア材料に中長期的ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想してはおりますが、上記水準を下抜ける場合には、メインシナリオ自体を再考する必要性も出てきます。こうした点からも、現在のドル円相場は年後半の方向性を見極める上で重要な岐路に立たされつつあると言えそうです。尚、本日は米FRBが重要視している米6月PCEデフレーター(21:30)に加えて、米7月シカゴ購買部協会景気指数(22:45)や米7月ミシガン大学消費者信頼感指数(23:00)が予定されています。また、特殊フローが出易い月末ロンドンフィキシング(24:00)も控えているため、米国時間帯はボラティリティの更なる拡大に注意が必要でしょう。

本日の予想レンジ:133.50ー135.50

ドル円、約1ヵ月半ぶり安値圏へ急落。米経済はリセッション※入り

ドル円日足

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