ドル円、冴えない米経済指標を横目に急反落。米長期金利の急低下が重石(7/22朝)

21日(木)のドル円相場は上昇後に急反落。

ドル円、冴えない米経済指標を横目に急反落。米長期金利の急低下が重石(7/22朝)

ドル円、冴えない米経済指標を横目に急反落。米長期金利の急低下が重石

〇ドル円、日銀の現行政策維持、CPI見通し引き上げ、GDP見通し引下げ等に138.88まで急伸
〇その後米国時間の指標不冴えやバイデン大統領のコロナ陽性報道に137.35まで急落
〇ユーロドル、ECBの市場予想を上回る50bpの利上げ実施に1.0277まで急伸
〇買い一巡後はラガルド総裁の「最終的な金利水準は変えない」との発言等に1.0154まで急落
〇終盤にかけてはノルドストリーム1再開に伴う安堵感等から1.0225前後まで持ち直す
〇ドル円、テクニカル、ファンダメンタルズとも、ドル円相場の上昇を示唆、一巡後の反発リスクに要警戒
〇本日の予想レンジ:136.50ー138.00

海外時間のレビュー

21日(木)のドル円相場は上昇後に急反落。@日銀金融政策決定会合にて現行政策の現状維持が決定されたことや、A展望レポートにてCPI見通し(1.9%→2.3%)が引き上げられる一方、GDP見通し(2.9%→2.4%)が引き下げられたこと、B黒田日銀総裁による「金利を引き上げるつもりは全くない」「プラスマイナス0.25%程度としているイールドカーブコントロールのレンジを変更するつもりは全くない」「必要あれば躊躇なく追加緩和を講じる」とのハト派的な発言、C上記@ABを背景とした日米金融政策の方向性の違い、D日経平均株価の堅調推移が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値138.88まで急伸しました。

しかし、買い一巡後に伸び悩むと、E米新規失業保険申請件数(結果25.1万件、予想23.9万件、前回24.4万件)の冴えない結果や、F米7月フィラデルフィア連銀景況指数(結果▲12.3、予想1.7、前回▲3.3)の冴えない結果、G米6月景気先行指数(結果▲0.8%、予想▲0.5%、前回▲0.6%)の冴えない結果、H上記EFGを背景とした米長期金利の急低下(米10年債利回りは3.07%から2.88%へ急低下)、Iバイデン米大統領のコロナ陽性報道などが重石となり、米国時間午後にかけて、安値137.35まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間7/22午前5時50分現在)では、137.37前後で推移しております。

21日(木)のユーロドル相場は乱高下。@注目されたECB理事会にて市場予想を上回る50bpの利上げが実施されたこと(マイナス金利脱却)や、A上記@を背景とした欧州債利回りの急上昇、B米経済指標(米新規失業保険申請件数や米フィラデルフィア連銀景況指数)の冴えない結果が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0277(7/6以来の高値圏)まで急伸しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと(一目均衡表基準線や21日移動平均線に続伸を阻まれると)、CラガルドECB総裁による「最終的な金利水準は変えない」との発言や、D株式市場の軟調推移、Eロング勢のロスカットが重石となり、一転して1.0154まで急落する場面も見られました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、F米金利低下に伴うドル売り圧力や、Gノルドストリーム1再開に伴う安堵感が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間7/22午前5時50分現在)では、1.0225前後まで持ち直す動きとなっております。尚、昨日のECB理事会では、50bpの政策金利引き上げに加えて(リファイナンス金利0.50%、中銀預金金利0.00%、限界貸出金利0.75%)、分断化阻止を目的とした債券買い入れ措置であるTPI(Transmission Protection Instrument)の発表がなされました。

本日の見通し

ドル円は米金利低下を背景に一時137.35(7/19安値137.38を下回る水準)まで急落しましたが、@ダウンサイドに複数のサポートポイントを控えていること、A日足・週足・月足の全てで強い買いシグナル(一目均衡表三役好転、強気のパーフェクトオーダー、ダウ理論の上昇トレンド)が点灯していること、B日米金融政策の方向性の違いが明確であること(日銀は金融緩和の継続方針を強調し、利上げやイールドカーブコントロール柔軟化の選択肢を完全否定。一方、米国は来週のFOMCで75bpの利上げに踏み切る予定)や、C日本とその他各国との金融政策格差が顕著となりつつあること(昨日はECBや南アフリカ中銀が市場予想を上回る利上げを実施→円全面安に繋がる恐れ)、D米政府・米当局によるドル高容認姿勢を強めていること(米国は当面の間インフレ抑制に繋がり得るドル高を容認する構え→日銀が為替介入に踏み込めない理由の一つ)などを踏まえると、ここからの更なる下落は容易では無いと考えられます(テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、ドル円相場の上昇を示唆→一巡後の反発リスクに要警戒)。

こうした中、本日は、欧州各国の7月製造業・非製造業PMI速報値や、米国の7月製造業・非製造業PMI速報値に注目が集まります。これらの数字が軒並み市場予想を下回る場合には、世界経済を巡る先行き不透明感を材料に、一時的にリスク回避の円買いが強まる恐れがありますが、リスク回避局面では、円買いのみならず、ドル買いも強まる傾向にあることから、ドル円相場への影響は限定的となりそうです(一方、米国のPMIが市場予想を上回る場合には、リスク選好の円売りと米金利上昇に伴うドル買いが組み合わさるため、ドル高・円安に進む可能性あり)。

本日の予想レンジ:136.50ー138.00

注:ポイント要約は編集部

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ドル円日足

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