ドル円見通し 米長期債利回り上昇で135円台中盤へ戻す(22/6/28)

ドル円の戻りも上昇再開感を強めるほどの勢いを見せていない印象だ。

ドル円見通し 米長期債利回り上昇で135円台中盤へ戻す(22/6/28)

ドル円見通し 米長期債利回り上昇で135円台中盤へ戻す

〇ドル円、6/27は米国債大量入札の低調による利回り上昇と、良好な経済指標がドル円を押し上げる
〇連休や重要指標の発表を控え、ドル円の戻りも上昇再開感を強めるほどの勢いはない
〇NYダウは3連騰とはならず急反騰一服、昨日発表の経済指標は良好な結果
〇米長期債利回りは上昇、上昇再開感強まればドル円が一段高へ向かうきっかけとなりやすいか
〇135円以上での推移か一時的に割り込んでも切り返す場合は、上昇継続とみて136円を試すとみる
〇134.50を割り込むところからは下落再開とし、134.25割れからは133円前後試しへ向かうとみる

【概況】

ドル円は6月22日朝高値で136.71円をつけて1998年10月以来の高値水準となったところから23日夜に134.25円まで下落したが、その後は下げ渋りからややジリ高での持ち直しを続けている。6月22日から23日にかけての下落はパウエル米連銀議長が米上下院での半期議会証言でリセッションへの懸念に言及したことがきっかけとなり米長期債利回り上昇が一服したことを反映したものだったが、米長期債利回りは6月24日から27日へ連騰で戻しており、ドル円も134円割れを回避して持ち直している。
6月27日夜は米国債大量入札が低調だったことで債券売り・利回り上昇となったことに加え、米耐久財受注や中古住宅販売が予想を上回ったこともドル円を押し上げたが、6月30日の米個人消費支出統計の発表を見たいというところと、7月4日にかけての連休、その後の米雇用統計へ向けた重要指標の発表が続く前段階のため、ドル円の戻りも上昇再開感を強めるほどの勢いを見せていない印象だ。

【NYダウは先週末への急反騰一服】

6月27日のNYダウは前日比62.42ドル安と下落。1月5日の史上最高値3万6952.65ドルから6月17日安値2万9653.29ドルまで大幅下落が続いてきたが、3万ドル割れに対する突っ込み警戒感から6月23日に前日比194.23ドル高、24日に同823.32ドル高と2日間で千ドル強の反騰となったが、金融引き締めによる景気鈍化への懸念も根強く3連騰とはならず、1月5日以降の下降トレンドの範囲にある。
6月27日に発表された5月の米耐久財受注は前月比0.7%増となり4月の0.4%増から伸びて市場予想の0.2%増を上回った。輸送機を除いても前月比0.7%増で4月の0.2%及び市場予想の0.4%を上回った。
5月の中古住宅販売仮契約指数は前月比0.7%増となり市場予想の3.8%減に反して4月の4.0%減から改善した。前年同月比は12.0%減で4月の11.5%減とさほど変わらずに低調な数字が続いた。

【米長期債利回りは上昇、米国債大量入札低調が利回り上昇促す】

6月27日の米長期債利回りは総じて上昇した。指標の10年債利回りは前日比0.06%上昇の3.20%。6月14日に3.50%を付けて昨年来の最高値としたところから低下に転じて6月23日には一時3.00%をつけたが、24日から反騰入りしている。5月9日の3.20%から5月26日の2.70%まで0.50%の低下となる調整安が入ったところから一段高しており、今回も0.50%の調整的な低下を消化して上昇再開に入ってきた印象がある。

米連銀は金融引き締めに入り3月に0.25%利上げ、5月に0.50%の大幅利上げ、6月には0.75%の超大幅利上げを決定して7月も0.50%ないし0.75%の大幅利上げを行い年末にかけての利上げが続く見通しとなっており、今後の利回り上昇を踏まえて最寄りの米国債入札は低調となりやすいところだが、6月27日は2年及び5年債の入札が低調だったことも利回り上昇を促した。今後も同様の展開になりやすいのではないかと思われるが、米10年債利回りの上昇再開感が強まればドル円にとっても調整を消化して一段高へ向かうきっかけとなりやすいと思われる。6月27日の米30年債利回りは前日比0.06%上昇の3.32%、2年債利回りは0.05%上昇の3.12%だった。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては6月22日朝高値を前回のサイクルトップとして下落したが、6月16日深夜安値から5日目となる6月23日深夜安値で直近のサイクルボトムを付けて強気サイクル入りしている。高値形成期は27日朝から29日朝にかけての間と想定されるのですでに反落注意期にあるが、6月23日深夜安値の後は24日、27日と底上げをして戻り高値を切り上げているので6月27日午前安値134.50円を割り込まないうちは一段高余地ありとし、6月27日午前安値割れからは弱気サイクル入りとして28日夜から30日深夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月27日夜への上昇で遅行スパンが好転し、28日未明には先行スパンを上抜けてきているため、遅行スパン好転中は高値試し優先とする。ただし先行スパンから転落する場合は23日深夜以降のジリ高基調が崩れるとみて遅行スパン悪化中の安値試しへ切り替える。

60分足の相対力指数は6月23日夜に20ポイント台まで低下したところから底上げをしつつ戻り高値も切り上げているためまだ上昇余地ありとみるが、50ポイント以下での推移が続き始める場合は弱気転換注意とし、45ポイント割れからは下落再開とみて30ポイント割れを試す流れとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月27日午前安値134.50円を下値支持線、136.00円を上値抵抗線とする。
(2)135円以上での推移か一時的に割り込んでも134円台後半から切り返す場合は上昇継続とみて136円を試すとみる。136円到達では戻り売りも出やすいと注意して直前高値から1円以上の反落が発生する場合は下げ再開とみるが、1円未満の下げで6月27日午前安値割れを回避するうちは29日の日中も高値試しへ向かう可能性が残るとみる。
(3)134.50円を割り込むところからは6月23日深夜からの戻り一巡による下落再開とし、23日深夜安値134.25円割れからは133円前後試しへ向かうとみる。133円以下は反発注意とするが、23日深夜安値を割り込むところからは6月22日朝高値からの下落も二段目に入るため29日にかけても安値試しを続けやすくなるとみる。

【当面の主な予定】

6/28(火)
G7首脳会議(最終日)
15:00 (独) 7月 GFK消費者信頼感 (6月 -26.0、予想 -27.3)
17:00 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、講演
17:30 (欧) レーンECB理事、講演
18:30 (欧) エルダーソンECB理事、講演
19:00 (英) カンリフ英中銀副総裁、講演
21:30 (米) 5月 卸売在庫 前月比 (4月 2.2%)
22:00 (米) 4月 米連邦住宅金融局住宅価格指数 前月比 (3月 1.5%、予想 1.5%)
22:00 (米) 4月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (3月 21.2%、予想 21.0%)
23:00 (米) 6月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (5月 106.4、予想 100.4)
23:00 (米) 6月 リッチモンド連銀製造業指数 (5月 -9、予想 -5)
25:30 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、インタビュー応答
26:00 (米) 財務省7年債入札

6/29(水)
NATO首脳会議(6/30まで、マドリード)
08:50 (日) 5月 小売業販売額 前年同月比 (4月 2.9%、予想 4.0%)
10:30 (豪) 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.9%、予想 0.4%)
14:00 (日) 6月 消費者態度指数・一般世帯 (5月 34.1、予想 34.8)
17:00 (欧) デギンドスECB副総裁、講演
18:00 (欧) 6月 経済信頼感 (5月 105.0、予想 103.0)
18:00 (欧) 6月 消費者信頼感確定値 (速報 -23.6)
19:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演
20:00 (米) MBA住宅ローン申請指数 前週比 (前週 4.2%)
21:00 (独) 6月 消費者物価指数速報値 前月比 (5月 0.9%、予想 0.4%)
21:00 (独) 6月 消費者物価指数速報値 前年同月比 (5月 7.9%、、予想 7.9%)

21:30 (米) 1-3月期 GDP確定値 前期比年率 (改定値 -1.5%、予想 -1.5%)
21:30 (米) 1-3月期 GDP個人消費確定値 前期比年率 (改定値 3.1%、予想 3.1%)
21:30 (米) 1-3月期 コアPCE確定値 前期比年率 (改定値 5.1%、予想 5.1%)
21:30 (英) ベイリー英中銀総裁、講演
22:30 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、パウエル米連銀議長、ベイリー英中銀総裁らパネル討論会
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
24:30 (米) メスター・クリーブランド連銀総裁、パネル討論会
26:05 (米) ブラード・セントルイス連銀総裁、オンラインイベント


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