来週の為替相場見通し:『日米金融政策イベント終了後もドル高・円安トレンド変わらず』(6/18朝)

来週の為替相場見通し:『日米金融政策イベント終了後もドル高・円安トレンド変わらず』(6/18朝)

来週の為替相場見通し:『日米金融政策イベント終了後もドル高・円安トレンド変わらず』(6/18朝)

『日米金融政策イベント終了後もドル高・円安トレンド変わらず』

〇ドル円荒い値動き、週央135.60まで上昇後、一旦131.49まで急落、更に135.41まで急騰
〇FOMC大幅利上げ後のパウエル議長のハト派的発言、日銀黒田総裁のスタンス継続等に乱高下
〇FOMCはスタグフレーション懸念燻るなかでインフレ抑制重視、利上げ継続方針を示す
〇ユーロドルFOMC受け1.0359まで急落後、米長期金利低下等に一時1.0602まで急伸
〇ドル円、テクニカルの地合い極めて強く、ファンダメンタルズもドル円続伸材料増える
〇ドル円上昇をメインシナリオとして予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):133.00ー137.00、(EURUSD):1.0250−1.0650

今週のレビュー(6/13−6/17)

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初134.43で寄り付いた後、@米インフレ懸念の高まりを背景とした米FRBによるタカ派傾斜観測(6/10に発表された米5月CPIが約40年5ヵ月ぶり高水準を記録→インフレがピークアウトするとの期待感後退→米長期金利急上昇→米ドル買い)や、A心理的節目135.00突破に伴う仕掛け的なドル買い・円売り(135.00に観測されていたリバース・ノックアウト・オプションがトリガーヒットしたことに伴うオプション勢のデルタ買戻し)、B日銀による臨時国債買い入れオペ増額発表(日銀による長期金利抑制方針を再確認)が支援材料となり、週央にかけて、約23年8ヵ月ぶり高値となる135.60まで急伸しました。しかし、買い一巡後に伸び悩むと、CパウエルFRB議長による「0.75%の利上げが一般的になるとは予想せず」「7月会合では0.50%か0.75%の利上げが選択肢となる可能性あり」との慎重な発言(過度なタカ派観測後退→米長期金利急低下→米ドル売り)や、

D世界的な金融引き締めを背景とした過剰流動性相場の逆流懸念(米国による75bp利上げに続いて、英中銀が25bp、スイス中銀が50bpの利上げを決定→スタグフレーション懸念が燻る中での利上げ実施で株式市場が大暴落→リスク回避の円買い圧力)、E米経済指標の冴えない結果(米5月住宅着工件数、5月建設許可件数、米6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米新規失業保険申請件数などが軒並み不冴な結果)、F日銀に対する緩和修正期待(世界的な金融引き締めを背景に日銀金融政策決定会合や黒田日銀総裁記者会見で政策修正や出口議論に関する決定・発言が出てくるとの思惑)が重石となり、週後半にかけて、週間安値131.49(6/6以来の安値圏)まで急落しました。

もっとも、売り一巡後に下げ渋ると、G日銀金融政策決定会合で現行政策の維持が決定されたことや、黒田日銀総裁より「金融緩和政策の継続」が強調されたこと(上記Fの市場の催促に対して日銀はゼロ回答→円売り再開)が支援材料となり、週末にかけて、一時135.41まで反発する荒々しい値動きとなりました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6/18午前5時00分現在)では、134.95前後で推移しております。

尚、注目された米FOMCでは、FF金利誘導目標の75bp引き上げに加えて、声明文で「委員会はインフレ率を目標の2%に戻すことに強くコミットしている(The Committee is strongly committed to returning inflation to its 2 percent objective)」とのタカ派スタンスが強調されました。また同時に発表された経済見通し・政策金利見通しでは、GDP見通しの下方修正(2022年末時点のGDP見通しは前回3月時点の2.8%から1.7%へ下方修正)と、物価見通しの上方修正(2022年末時点のPCE見通しは前回3月時点の4.3%から5.2%へ上方修正)、政策金利見通しの上方修正(2022年末時点のFF金利予測・中央値は前回3月時点の1.9%から3.4%へ上方修正)が示されるなど、スタグフレーション懸念が燻る中でも、インフレ抑制を重視し、利上げ方針を継続する方向性が示されました。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.0513で寄り付いた後、@欧州経済の先行き不透明感(スタグフレーション懸念が燻る中でのECBによる金融引き締め開始→欧州経済に強い逆風)や、A米インフレ加速を背景とした米長期金利の急上昇、B世界的な金融引き締めを背景とした過剰流動性相場の逆流懸念(株式市場をはじめリスクアセットが大暴落→資産現金化需要のドル買い圧力)、Cドイツ6月ZEW景況感指数(結果▲28.0、予想▲27.5)の冴えない結果、Dリントナー独財務相による「スタグフレーションはあり得るシナリオ」との悲観的な発言、E米FOMCのタカ派的な結果(政策金利が75bp引き上げられると共にドットチャートも上方修正)が重石となり、週央にかけて、週間安値1.0359(5/13以来、約1カ月ぶり安値圏)まで急落しました。

しかし、5/13に記録した約5年4カ月ぶり安値1.0350(2017年1月以来の安値圏)をバックに下げ渋ると、FパウエルFRB議長による「0.75%の利上げが一般的になるとは予想せず」「7月会合では0.50%か0.75%の利上げが選択肢となる可能性あり」との慎重な発言や、G上記Fを背景とした米長期金利の急低下、HECB臨時会合でのユーロ圏利回り格差緩和策の提示、Iフランス中銀ビルロワドガロー総裁による「ECBは漸進的かつ持続的に利上げを行う」とのタカ派的な発言、J米経済指標の不冴な結果、K対ポンドや対スイスフランでのドル売り圧力(英中銀やスイス中銀が利上げ決定→英ポンドやスイスフラン上昇→ユーロ連れ高)、L短期筋のショートカバーが支援材料となり、週後半にかけて、週間高値1.0602まで急伸しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、M欧米金融政策格差に着目したユーロ売り・ドル買い圧力が重石となり、本稿執筆時点(日本時間6/18午前5時00分現在)では、1.0495前後で推移しております。

来週の見通し(6/20−6/24)

<ドル円相場>
ドル円は5/24に記録した直近安値126.36をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて、約23年8ヵ月ぶり高値となる135.60まで急伸しました(わずか3週間強で9円24銭の暴騰劇)。この間、主要レジスタンスポイントを軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する「一目均衡表三役好転、強気のパーフェクトオーダー、ダウ理論の上昇トレンド」も成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによる金融引き締めスタンスの明確化(米FOMCで政策金利が75bp引き上げられると共にドットチャートも上方修正)や、A日銀による金融緩和の長期化姿勢(市場の緩和修正催促にも係わらず、日銀・黒田総裁はゼロ回答→金融緩和の継続スタンス再強調)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差拡大に伴うドル買い・円売り)、

C資源価格上昇に伴う本邦貿易赤字の拡大懸念(経常収支悪化に伴う構造的な円売り圧力)、D世界的な円売り圧力(米国のみならず、英国・カナダ・ニュージーランド・オーストラリア・南アフリカ・メキシコ・チリ・ポーランド・マレーシア・ペルー・フィリピン・ハンガリー・韓国・ユーロ圏・スイスなども金融引き締めに転換→日本と世界の金融政策格差拡大→名目金利差拡大→クロス円上昇→ドル円連れ高)など、ドル円相場の続伸を連想させる材料が揃っています。

以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。尚、来週は米5月中古住宅販売件数や米5月新築住宅販売件数などの米住宅関連指標に加えて、ブラックアウト期間明けの米当局者発言(セントルイス連銀ブラード総裁、クリーブランド連銀メスター総裁、リッチモンド連銀バーキン総裁、パウエルFRB議長議会証言、シカゴ連銀エバンス総裁、フィラデルフィア連銀ハーカー総裁、リッチモンド連銀バーキン総裁、サンフランシスコ連銀デイリー総裁講演)に注目が集まります。特にパウエルFRB議長による半期に一度の議会証言への注目度が高く、市場の焦点は今後の引き締めペースになりそうです。

米当局者より次回FOMCでの100bp利上げの可能性が示される場合などには、米タカ派傾斜観測再燃→米長期金利急上昇の経路で、ドル円には強い上昇圧力が加わるものと推察されます。来週は四半期末に向けてのリバランスフローに留意しつつも、ドル円が今週記録した約23年8ヵ月ぶり高値135.60を突破し、136.00円台や137.00円台に向けて大きく続伸する展開を想定いたします(※市場では黒田総裁による「最近の急激な円安は経済にとってマイナス」との発言を受けて「135円台が新たな黒田シーリング」と警戒する声が増えつつあるが、先般米財務省が公表した為替報告書の中で日銀による為替介入が牽制されていることもあり、135円台を防衛する手段に乏しく、日銀は更なる円安を許容せざるを得ない状況と整理)。

来週の予想レンジ(USDJPY):133.00ー137.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は5/30に記録した高値1.0788をトップに反落に転じると、今週半ばにかけて、一時1.0359まで急落しました。この間、主要サポートライン(一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線)を軒並み下抜けした他、強い売りシグナルを示唆する弱気のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いの悪化を印象付けるチャート形状となりつつあります(上方から垂れ下がってくる一目均衡表の雲もユーロの重石)。ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシアを巡る地政学的リスクの長期化懸念(資源価格再上昇への警戒感)や、A欧州経済の先行き不透明感(ECB理事会が先週発表した2022年のインフレ見通しは前回3月時点の5.1%から6.8%に上方修正。

一方、2022年のGDP見通しは前回3月時点の3.7%から2.8%へ下方修正。欧州経済にスタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めとなるため、欧州経済に強い逆風が吹き荒れる恐れあり)、B米FRBによるタカ派傾斜(米欧名目金利差拡大に伴うユーロ売り・ドル買い圧力)など、ユーロドル相場の続落を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。

尚、来週はユーロ圏6月製造業PMIやユーロ圏サービス業PMI、ドイツ6月IFO景況指数などに加えて、欧州当局者発言(エストニア中銀ミュラー総裁、ラガルドECB総裁議会証言、レーンECB専務理事、フィンランド中銀レーン総裁)に注目が集まります。欧州経済指標が不冴な結果となる場合や、欧州当局者よりタカ派的な発言が相次ぐ場合(スタグフレーション懸念が燻る中での金融引き締めは欧州経済の逆風)には、欧州株の下落を通じて、ユーロドルにもう一段下押し圧力が加わる恐れがあるため、来週は週を通してユーロドルの下落リスクに注意が必要でしょう(目先は5/13に記録した約5年4カ月ぶり安値1.0350を試すシナリオを想定)。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.0250−1.0650

注:ポイント要約は編集部

『日米金融政策イベント終了後もドル高・円安トレンド変わらず』

ドル円日足

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