ドル円見通し ドル全面高、米長期債利回り大幅続伸で2002年1月天井を超える(22/6/14)

米長期債利回りの大上昇と日米金利差拡大による円安基調は継続している。

ドル円見通し ドル全面高、米長期債利回り大幅続伸で2002年1月天井を超える(22/6/14)

ドル円見通し ドル全面高、米長期債利回り大幅続伸で2002年1月天井を超える

〇ドル円、ドル全面高に押し上げられ6/13午後135.17をつけ、2002年1/31高値135.15をわずかに超える
〇夜にかけ円の買い戻しに影響され一旦133.58まで反落したが、深夜以降は134円台前半を回復
〇米長期債利回りは大幅続伸、一時的に2年債利回りが10年債利回りを上回る長短金利逆転が発生
〇NYダウ・ナスダックともに大幅下落、いずれも4営業日続落
〇本日5月の米PPI発表、市場予想を上回る場合、米長期債利回り上昇や株安ドル高を助長しかねない
〇134円以上での推移中は上昇基調の継続とし、135.17超えからは140円を目指すとみる
〇133.58割れからは一段安警戒とし、6/9夜安値133.17割れからは132円前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は6月13日午後高値で135.17円をつけて2021年1月6日安値102.57円以降の最高値を更新、2002年1月31日につけた高値135.15円をわずかに超えて1998年8月11日天井147.63円から下落に転じたところの1998年10月以来の高値水準に達した。
インフレ進行に対する米連銀による金融引き締め強化が懸念される中で米長期債利回りが一段と上昇、為替市場はドル全面高となり、ドル円は当初をドル全面高による押し上げで高値更新へ進んだが、13日夜にかけてはユーロやポンド、豪ドル等の大幅下落によりクロス円全般が大幅下落したことによる円の買い戻しに影響されていったん133.58円まで反落した。6月9日夜安値133.17円から10日夕安値133.35円へと底上げしてきた下値支持線は維持し、深夜以降は再びドル全面高に押し上げられる展開で134円台前半を回復した。

6月10日の日銀・財務省・金融庁の三者会合と円安けん制の共同声明発表等も踏まえて高値警戒感を持ちつつも、米連銀による大幅利上げが継続するとみての米長期債利回りの大上昇と日米金利差拡大による円安基調は継続している。
今晩は米5月PPIの発表があり14-15日の日程でFOMCも始まる。これらをきっかけにドル全面高が勢いを増してドル円が140円を目指す上昇へ進むのか、いったんドル高が一巡して調整に入るのか、重要局面へ向かう。

【米2年債と10年債の利回りが一時逆転】

6月13日の米債券市場では2年債利回りが10年債利回りを上回る長短金利逆転が一時的に発生した。今年4月に続いて二度目であり、景気後退のサインともされるが、米長期債利回りの上昇を嫌ってNYダウは一時千ドル安を超える下落となり前日比は876.05ドル安で6月8日から4営業日続落、10日の880ドル安に続いて2日連続の800ドル安を超える規模での下落で5月20日安値を割り込み1月5日の史上最高値以降の安値を更新した。ナスダック総合指数も4営業日続落だが、6月9日の前日比332.04ポイント安から10日の414.21ポイント安、さらに13日は530.79ポイント安と下げが加速して昨年11月22日の史上最高値以降の安値を更新した。

米10年債利回りは前日比0.21%上昇の3.37%で一時は3.38%をつけて5月9日の3.20%及び2018年10月の3.26%を超えて2011年4月以来の高水準に達した。30年債利回りは0.14%上昇の3.35%をつけて2018年11月以来の高水準となった。利上げに敏感な2年債利回りは0.29%上昇の3.36%だったが、一時は3.39%をつけて10年債利回りを超える長短金利逆転となった。

今晩は5月の米PPI発表があり、全体の前年同月比は4月の11.0%から10.9%へと若干の鈍化が見込まれている。6月10日に発表された5月消費者物価指数が前年同月比8.6%上昇となり、市場予想及び4月の8.3%を上回って1981年12月以来40年5か月振りの高水準に達したことで米連銀による大幅利上げが9月以降も継続する可能性や、6月14-15日開催のFOMCにおいては0.75%利上げの可能性も一部で取り沙汰される状況となっており、今晩のPPIが市場予想を上回るようだと米長期債利回り上昇や株安ドル高を助長しかねないところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、6月2日夜安値から5日目となる6月9日夜安値を直近のサイクルボトムとして強気サイクル入りしていると思われる。6月9日午前高値を基準として高値形成期は14日午前から16日午前にかけての間と想定されるが、13日夜の反落でも10日夕安値を割り込まずに戻している為、まだ一段高の可能性ありとみる。
6月13日夜安値を割り込む場合は弱気転換注意として9日夜安値試しとし、9日夜安値割れからは弱気サイクル入りとして14日夜から16日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では6月13日夜の下落時に遅行スパンが悪化して先行スパンをわずかに割り込んだもののその後は持ち直している為、13日夜安値割れを回避するうちは遅行スパン好転からの一段高を想定するが、13日夜安値を割り込むところからは遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は6月13日夜の下落時に30ポイント台へ低下したところから50ポイント台へいったん戻し、その後も40ポイント以上を維持しているため55ポイント超えからは上昇継続とみるが、40ポイントを再び割り込む場合はもう一段安へ進む流れとみて30ポイント割れを試すとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、6月13日夜安値133.58円を下値支持線、6月13日午後高値135.17円を上値抵抗線とする。
(2)134円以上での推移中か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇基調の継続とし、135.17円超えからは140円を目指すとみる。
(3)133.58円割れからは一段安警戒とし、6月9日夜安値133.17円割れからは132円前後への下落を想定する。132円台前半は反騰警戒圏とみるが、133.58円以下での推移が続く場合は15日の日中も安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

6/14(火)
米連邦公開市場委員会(FOMC)初日
米中間選挙予備選(メーン、ノースダコタ、ネバダ、サウスカロライナ)
OPEC月報
10:30 (豪) 5月 NAB企業景況感指数 (4月 20)
13:30 (日) 4月 鉱工業生産確報値 前月比 (速報 -1.3%)
13:30 (日) 4月 鉱工業生産確報値 前年同月比 (速報 -4.8%)
13:30 (日) 4月 設備稼働率 前月比 (3月 -1.6%)
15:00 (独) 5月 消費者物価指数改定値 前月比 (4月 0.9%、予想 0.9%)
15:00 (独) 5月 消費者物価指数改定値 前年同月比 (4月 7.9%、予想 7.9%)
15:00 (英) 5月 失業保険申請件数 (4月 -5.69万件)
15:00 (英) 4月 失業率・ILO方式 (3月 3.7%、予想 3.6%)

18:00 (独) 6月 ZEW景況感 (5月 -34.3、予想 -27.5)
18:00 (欧) 6月 ZEW景況感 (5月 -29.5)
21:30 (米) 5月 生産者物価指数 前月比 (4月 0.5%、予想 0.8%)
21:30 (米) 5月 生産者物価指数 前年同月比 (4月 11.0%、予想 10.9%)
21:30 (米) 5月 生産者物価コア指数 前月比 (4月 0.4%、予想 0.6%)
21:30 (米) 5月 生産者物価コア指数 前年同月比 (4月 8.8%、予想 8.6%)
26:00 (欧) シュナーベルECB理事、講演

6/15(水)
07:45 (NZ) 1-3月期 経常収支 (10-12月 -72.61億NZドル、予想 -59.63億NZドル)
08:50 (日) 4月 機械受注 前月比 (3月 7.1%、予想 -1.3%)
08:50 (日) 4月 機械受注 前年同月比 (3月 7.6%、予想 5.2%)
09:30 (豪) 6月 ウエストパック消費者信頼感指数 (5月 90.4)
11:00 (中) 5月 小売売上高 前年同月比 (4月 -11.1%、予想 -7.1%)
11:00 (中) 5月 鉱工業生産 前年同月比 (4月 -2.9%、予想 -1.0%)
13:30 (日) 4月 第三次産業活動指数 前月比 (3月 1.3%、予想 0.8%)
18:00 (欧) 4月 鉱工業生産 前月比 (3月 -1.8%、予想 0.5%)
18:00 (欧) 4月 鉱工業生産 前年同月比 (3月 -0.8%、予想 -1.1%)
18:00 (欧) 4月 貿易収支・季調済 (3月 -176億ユーロ、予想 -145億ユーロ)
18:00 (欧) 4月 貿易収支・季調前 (3月 -164億ユーロ)

20:00 (米) MBA住宅ローン申請指数 前週比 (前週 -6.5%)
21:30 (米) 5月 小売売上高 前月比 (4月 0.9%、予想 0.2%)
21:30 (米) 5月 小売売上高・除自動車 前月比 (4月 0.6%、予想 0.7%)
21:30 (米) 6月 ニューヨーク連銀製造業景況指数 (5月 -11.6、予想 4.5)
21:30 (米) 5月 輸入物価指数 前月比 (4月 0.0%、予想 1.2%)
21:30 (米) 5月 輸出物価指数 前月比 (4月 0.6%、予想 1.3%)
23:00 (米) 4月 企業在庫 前月比 (3月 2.0%、予想 1.2%)
23:00 (米) 6月 NAHB住宅市場指数 (5月 69、予想 68)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
25:00 (欧) ラガルドECB総裁、講演
27:00 (米) 米連銀(FOMC) 政策金利 (現行 0.75-1.00%、予想 1.25-1.50%)
27:30 (米) パウエル米連銀議長、記者会見


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