ドルは目先の上下ともチャレンジし失敗か
〇ドル円、130.35レベルで寄り付き129.80レベルまで下落するも130円半ばまで戻す、行って来いの展開
〇流れは依然としてドル高・円安方向だが上値トライは失敗に終わった感、目先は再び時間調整の様相
〇130円割れを試すも底割れも失敗、しばらく129.80-131.35といった1.5円ほどのレンジ取引をたどるか
〇本日欧米時間のドル円予想レンジは129.70-130.90、130.55-60が最初の抵抗
〇ドル安・円高方向は、本日東京安値129.80レベルの攻防にまずは注目
<< 東京市場の動き >>
10日の東京市場は「行って来い」。株価の動きなどをにらみつつ、一度ドル安に振れ130円を割り込むも続かなかった。
ドル/円は130.35円レベルで寄り付いたのち、しばらく揉み合い。しかし底割れすると、日中安値の129.80円レベルまで続落となった。ただ、同じく円高が進行したユーロ/円やポンド/円などのクロスが反発に転じると、ドル/円も再びドル買い・円売りが優勢に。130円台を回復し、130円半ばまで一時値を戻すなど、まさに「行って来い」。16時現在では、130.45-50円で推移し、欧米市場を迎えている。
一方、材料的に注視されていたものは、「ロシア情勢」と「円安けん制発言」について。
前者は、対独戦勝記念日の9日、プーチン氏が演説を行い、そのなかで今回の戦闘を正当化。しかし、多くが予想していた「勝利宣言」などは聞かれず、やや肩透かしに終わった感を否めない。なお、そんなプーチン演説について、米国防総省のカービー報道官は「相変わらずの威勢の良さと数々の虚言を耳にしただけ」と痛烈に批判していた。一方、ロシア軍によるウクライナのマリウポリの製鉄所をめぐる攻撃が再開されたようで、一部からは「11日にロシア軍が化学兵器を使った攻撃に出る」といった観測も伝えられている。
対して後者は、昨日ドル/円が一時131円台を示現し、年初来高値を更新したこともあってか、本日は本邦要人からの円安けん制発言が複数観測されていた。たとえば、鈴木財務相は「急速な円安の進行は望ましくない」、「米国などと緊密な意思疎通を図りつつ、政府として適切に対応していく」、内田日銀理事も「最近の為替変動、不確実性を高め望ましくない」とコメントしていた。また、内田氏はそれと別に、「長期金利の誘導目標を変更することは考えていない」とも述べていたようだ。
<< 欧米市場の見通し >>
ドル/円相場は、昨日夕方131.35円を示現し年初来高値を更新したものの、そのレベルが高値となり、その後はやや冴えない値動きをたどっている。本日東京時間には一時129円台も。いずれにしろ、大きな流れは依然としてドル高・円安方向にバイアスがかかるも、前記したようにドルの上値ファーストトライは失敗に終わった感もあり、目先は再び時間調整の様相を呈するといった見方をする声もあるようだ。130円挟みで、次の動意待ちといった展開をたどる可能性もある。
先週利上げに踏み切った米英に対し、日本は前述した内田発言が「事実上の利上げ否定」と捉えられているなど、金利差だけを考えれば円を積極的には買い進められる状況ではない。むしろ、対ドルだけでなくポンドやユーロなどを含め、円全面安が進行する可能性すらある。そうした意味では、ドル/円が再度131円台乗せへと向かう動きにも一応要注意。ただ、依然としてNYダウをはじめとする米株が不安定な動きをたどっていることが不安要因で、場合によってはさらなるリスク回避志向が強まりかねない。
テクニカルに見た場合、ドル/円はまだ断定できないがドルの上値トライを失敗か。一時131.35円まで値を上げ、年初来高値を10ポイントほど更新したものの、形成レンジを拡大させただけにとどまったのかもしれない。
ただ、その一方、本日東京で130円割れを試すも、こちらも定着までは至らず、底割れも失敗か。だとすると、いましばらくは129.80-131.35円といった1.5円ほどのレンジ取引をたどる公算も大きいようだ。
材料的に見た場合、中長期的には、上海市と北京市が、新型コロナ感染抑制に向けた規制を一段と強化したと伝えられたことが物議を醸す「中国情勢」。金総書記がロシア戦勝記念日にプーチン大統領へ祝電を送ったとされ、密な関係が取り沙汰されている「北朝鮮情勢」、「新型コロナ・オミクロン株蔓延問題」−−などに注目。
一方、本日は米経済指標として、レッドブック週間小売売上高などが発表されるものの、市場の関心は高くなく基本ノーインパクトか。しかし、米地区連銀総裁による講演など発言機会が数多く、まずはそれらコメントに注意を払いたい。また、別途バイデン米大統領による「インフレ対策発言」にも一応要注意。
そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは129.70-130.90円。ドル高・円安方向は本日東京高値の130.55-60円が最初の抵抗で、抜ければ131台乗せを目指す展開か。
対するドル安・円高方向は、時間足など短期ベースで本日東京安値の129.80円レベルの攻防にまずは注目。ただ、割り込んでも底堅そう。目先大崩れは予想しにくいようだ。
ドル円日足
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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