ドル円、一時129.40まで急伸するもポジション調整主導で急反落(4/21朝)

20日(水)のドル円相場は急伸後に急反落。

ドル円、一時129.40まで急伸するもポジション調整主導で急反落(4/21朝)

ドル円、一時129.40まで急伸するもポジション調整主導で急反落

〇ドル円、米国時間朝方にかけて安値127.47まで急落後127.80前後で推移
〇日本の当局者の円安けん制発言、米長期金利低下、G20への警戒感が重石
〇ユーロドル、独CPI上昇、ECB当局者のタカ派発言等に一時高値1.0867まで急伸
〇ドル円、テクニカルの地合い強く、ファンダメンタルズともにドル円上昇材料多い
〇引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想
〇本日パウエルFRB議長とラガルドECB総裁のパネル討論、日米財務相会談に注目
〇本日の予想レンジ:127.00ー129.00

海外時間のレビュー

20日(水)のドル円相場は急伸後に急反落。@米金利上昇に伴うドル高圧力(日米金融政策格差→ドル高・円安)や、Aロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの長期化懸念(有事のドル買い)、B国内輸入企業による実需のドル買い圧力(5・10日公表相場のドル不足観測)、Cオプション勢によるショートガンマ操作(スポットが上がれば上がるほどオプション勢によるストップBUYが活発化)が支援材料となり、日本時間朝方にかけて、2002年5月以来、約20年ぶり高値となる129.40まで急伸しました。しかし、心理的節目130.00をバックに伸び悩むと、D磯崎官房副長官による「為替の急速な変動は望ましくない」との円安牽制発言や、

E岸田首相による「急激な円安には懸念を持ちながら政府としてしっかり対応する」との円安牽制発言、F木原官房副長官による「為替の安定が望ましい」との円安牽制発言、G米長期金利低下に伴うドル売り圧力(短期間で上昇した反動)、H20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議を控えた警戒感が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値127.47まで急落しました。引けにかけて反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間4/21午前5時30分現在)では、127.80前後で推移しております。尚、昨日はサンフランシスコ連銀デイリー総裁より「5月にバランスシート縮小を発表することも可能」とのタカ派的な発言が見られましたが、市場の反応は限定的となりました。

20日(水)のユーロドル相場は安値圏から持ち直す展開。@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクの高まりや、A欧州経済の先行き不透明感、B米金利上昇に伴うドル高圧力が重石となり、アジア時間朝方にかけて、安値1.0784まで下落しました。しかし、4/14に記録した約2年ぶり安値1.0757や、4/19に記録した安値1.0761をバックに下げ渋ると、C短期筋のショートカバーや、D米金利低下に伴うドル売り圧力、Eドイツ3月生産者物価指数(結果30.9%、予想28.2%、前回25.9%、※前年比)の伸び率昂進(1949年の統計開始以来、最大の上昇率)、F上記Eを背景としたECBによる追加緩和観測、G20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議を控えた警戒感、Hラトビア中銀カザークス総裁やドイツ連銀ナーゲル総裁によるタカ派的な発言(7ー9月の利上げを示唆する発言)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.0867まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間4/21午前5時30分現在)では、1.0850前後で推移しております。

本日の見通し

ドル円は心理的節目129.00を突破すると、一時129.40(約20年ぶり高値圏)まで急伸しましたが、市場参加者に注目される130.00の大台をバックに急反落に転じる結果となりました。但し、日足・週足・月足で強い買いシグナルを示唆する一目均衡表三役好転や移動平均線のパーフェクトオーダーが継続していることや、ダウ理論の上昇トレンドが成立していることなどを踏まえれば、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます(昨日の下落は急ピッチな上昇に伴う一時的なポジション調整。一巡後に再び上昇トレンドに戻ると想定)。ファンダメンタルズ的に見ても、@米FRBによるタカ派傾斜観測(インフレ抑制を目的に5月FOMC、6月FOMC、7月FOMCで50bpの連続利上げに踏み切る可能性。サンフランシスコ連銀デイリー総裁は5月FOMCでのバランスシート縮小発表の可能性について言及)や、A日銀による金融緩和の長期化方針(本邦当局者による口先介入効果は限定的)、B上記@Aを背景とした日米金融政策の方向性の違い(日米名目金利差急拡大→ドル買い・円売り)、C資源価格上昇に伴う貿易赤字の拡大懸念(構造的な円売り圧力)、

D国内輸入企業による実需のドル買いなど、ドル円相場の反発を連想させる材料が揃っています。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル高・円安トレンドの継続をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日はパウエルFRB議長およびラガルドECB総裁のパネル討論(国際通貨基金)の他、鈴木財務相とイエレン米財務長官による日米財務相会談に注目が集まります。特に後者については、鈴木財務相が4/19に「米通貨当局と緊密な意思疎通を図り、適切に対応しなければならない」と発言した経緯があるため、米国側からドル高牽制発言が出てくるのではないか?との見方が市場で燻っています(昨日のポジション調整誘発の一因)。但し、米国はインフレ圧力を弱める効果を持つドル高に対して容認的・黙認的なスタンスを続けると見られることから、市場で警戒されているようなドル高牽制発言が出てくる可能性は乏しいと判断できます。日米財務相会談後のドル円反発を予想いたします(ドル高牽制が出てこない場合、ドル円ロングにもう一段安心感が生まれる可能性あり)。

本日の予想レンジ:127.00ー129.00

注:ポイント要約は編集部

ドル円、一時129.40まで急伸するもポジション調整主導で急反落

ドル円日足

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