ドル円見通し 127円台到達、日銀の円安容認、米長期債利回り上昇基調変わらず(22/4/19)

ドル円は4月19日早朝に127円台に到達した。4月1日から18日まで日足の終値ベースでは前日比変わらずを含めて12連騰であり、19日も続伸での開始となっている。

ドル円見通し 127円台到達、日銀の円安容認、米長期債利回り上昇基調変わらず(22/4/19)

ドル円見通し 127円台到達、日銀の円安容認、米長期債利回り上昇基調変わらず

〇ドル円、4/19早朝127円台に到達、4/1から4/18まで日足の終値ベースで12連騰、4/19も続伸での開始
〇4/18は126.78へ高値を切り上げた後、日銀総裁の発言受け126.23まで下げたが、深夜に一段高へ
〇日銀の円安容認姿勢変わらず、日銀が円安けん制へ動かなければ市場は新たな円安容認水準を試すか
〇米長期債利回りは引き続き上昇基調、米株価は下落、NY原油は上昇再開に入ってきた印象
〇126.70以上での推移中は上向きとし、127.50超えからは128円台への上昇を想定する
〇126.70割れから続落の場合は、126.20前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は4月19日早朝に127円台に到達した。4月1日から18日まで日足の終値ベースでは前日比変わらずを含めて12連騰であり、19日も続伸での開始となっている。3月28日に125.10円へ上昇したところから3月31日深夜安値121.26円まで3.84円の円高ドル安となったが、その後は連日の上昇に入り、4月13日には126.31円をつけて2015年6月5日天井125.84円を超え、125円台序盤へ下げたところから一段高に入り4月15日には126.68円へ続伸、週明けの18日は取引開始直後から高値更新に入り、9時台高値で126.78円へ高値を切り上げた。
日銀の黒田総裁は衆院決算行政監視委員会で円安容認の従来姿勢を繰り返したものの、「急速な円安はマイナスが大きくなる」と発言したことが伝わると126.23円まで下げたが、日銀の円安容認姿勢は変わらないとして買われ、深夜に一段高へ入ると19日早朝には127円に到達した。

【日銀の円安容認姿勢変わらず、けん制も弱い】

日銀の黒田総裁は18日の衆院決算行政監視委員会で「為替が短期に変動すれば先行きの不確実性高める、変動の経済・物価への影響を十分注視する」「短期に急激に動くと企業の事業計画の策定難しくなる」「円安のマイナス面も考慮しないといけない」等と発言したことが当初は円安へのけん制姿勢と受け止められたが、総裁は「円安の影響は業種より不均一」だが「円安は全体的にプラスとの評価を変えていない」、「円安で輸出企業の輸出採算が改善して収益が拡大する」と述べて円高よりも円安が有益であるとの従来からの認識に変わりないとした。黒田総裁は4月19日から23日まで米国へ出張、G20財務相・中銀総裁会議に出席し22日にはコロンビア大で講演する。

日銀は3月28日に「指し値オペ(公開市場操作により指値で無限に国債を買い入れて利回り上昇を抑える)を午前と午後に実施、「連続指値オペ」を3月29日から31日までの3日間で実施すると通告して長期金利上昇抑制を強烈にアピールした。
黒田総裁は4月5日の衆院財務金融委員会で「今回の為替変動はやや急だ」としつつも「円安輸出企業の収益を押し上げるメリットもあり全体としてプラス」、「今、金融引き締めをすれば大きなマイナスの影響が出る」、「急激な金利上昇には指値オペを使って0.25%の範囲内で推移させる」とし、さらに4月13日の信託大会における講演でも「現在の強力な金融緩和を粘り強く続ける」と述べたことで126円台到達のきっかけを作った。
日銀が相当に強烈な円安けん制へ動かなければ、市場は新たな円安容認水準の限界を試す動きを続けやすい。

【米10年債利回りは昨年来高値を更新】

連休明けとなった4月18日の米10年債利回りは前日比0.03%上昇の2.86%、2020年3月のパンデミック発生直後の大規模金融緩和により0.311%まで下げたところ以降の高値を更新、2018年12月以来の高値水準に達して一時は2.88%を付けた。30年債利回りも0.02%上昇の2.94%、2年債利回りは0.01%低下の2.45%だったが4月6日に2.60%へ上昇した後も高止まりの様相だ。
一方でNYダウは長期債利回り上昇やウクライナ情勢の泥沼化、中国のロックダウン長期化などへの懸念で上値が重く前日比39.54ドル安、ナスダック総合指数も同18.72ポイント安と小幅下落した。
NY原油期近は18日に前日比1.26ドル高と上昇したが、4月11日に92.93ドルまで下げたところから4連騰となり高値を109.81ドルへ伸ばしている。3月序盤のウクライナ戦争勃発によるパニック買い、90ドル台序盤の水準だったところから3月7日高値130.50ドルへ暴騰し、過剰反応への修正で下げていたが、先行き不透明感は一層強まっているとして上昇再開に入ってきた印象であり、昨年来のインフレ進行がさらに進む可能性を高めている。

市場は米連銀が5月FOMCでの0.50%利上げを想定し、連銀高官の発言も0.50%利上げを支持する発言が相次いでいるが、6月のFOMCではさらに0.75%の利上げがあるのではないかとの見方も出てきている。
米セントルイス連銀のブラード総裁は18日に「政策金利を年末までに3.5%まで引き上げる必要がある」とし、「インフレがあまりに高すぎる、政策金利を極めて速やかに中立水準にするべきだ」と述べている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては3月31日深夜安値を起点とした上昇基調を継続しているが、4月13日に126円台序盤へ上昇したところからいったん125円を試すところへ下落し、先週末に一段高しているため、現状は4月14日夕安値を起点とした強気サイクルの上昇局面と思われる。4月13日夕高値を基準として高値形成期は18日夕から20日夕にかけての間と想定されるのですでに反落注意期に入っているが、126円中盤で確りするうちは高値追及を続けやすいと思われる。ただし、126.20円を割り込む場合及び直前高値から1円を超える下落が発生する場合は弱気サイクル入りとして19日夕から21日夕にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では4月14日夜の上昇で遅行スパンが好転、先行スパンから一時転落したところからも上抜き返し、その後は両スパンそろっての好転を維持しているので遅行スパン好転中の高値試し優先とする。遅行スパンが悪化するところからはいったん下げに入るとみるが、先行スパンからの転落を回避して遅行スパンが再び好転するところからは新たな上昇期入りと考える。

60分足の相対力指数は70ポイント台へ到達してからやや下げているものの、50ポイント以上を維持するうちは80ポイント台への上昇余地ありとみる。50ポイント割れからはいったん下げに入るとみて40ポイント割れを試すとみるが、30ポイント台では再び買われやすいとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、126.70円を下値支持線、127.50円を上値抵抗線とする。
(2)126.70円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上向きとし、127.50円超えからは128円台への上昇を想定する。128円到達ではいったん売られやすいとみるが、126.70円以上での推移が続く場合及び直前高値から1円を超える下落とならないうちは上昇継続性ありとみる。
(3)126.70円割れから続落の場合は126.20円前後への下落を想定する。126.20円前後は買われやすいと見てその後に126.70円を超えるところからは上昇再開とするが、126.50円以下での推移が続くようだと20日は安値試しへ向かいやすくなると注意する。

【当面の主な予定】

4/19(火)
休場、マレーシア
IMF世界経済見通し
10:30 (豪) 豪中銀、金融政策会合議事要旨
13:30 (日) 2月 鉱工業生産・確報値 前月比 (速報 0.1%)
13:30 (日) 2月 鉱工業生産・確報値 前年同月比 (速報 0.2%)
13:30 (日) 2月 設備稼働率 前月比 (1月 -3.2%)
21:30 (米) 3月 住宅着工件数・年率換算件数 (2月 176.9万件、予想 175.0万件)
21:30 (米) 3月 住宅着工件数 前月比 (2月 6.8%、予想 -0.9%)
21:30 (米) 3月 建設許可件数・年率換算件数 (2月 185.9万件、予想 183.0万件)
21:30 (米) 3月 建設許可件数 前月比 (2月 -1.9%、予想 -1.9%)
25:05 (米) エバンズ・シカゴ連銀総裁、講演

4/20(水)

G20財務相・中央銀行総裁会議(ワシントン)
08:50 (日) 3月 通関貿易収支・季調前 (2月 -6683億円、予想 -48億円)
08:50 (日) 3月 通関貿易収支・季調済 (2月 -1兆314億円、予想 -4951億円)
15:00 (独) 3月 生産者物価指数 前月比 (2月 1.4%、予想 2.7%)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産 前月比 (1月 0.0%、予想 0.7%)
18:00 (欧) 2月 鉱工業生産 前年同月比 (1月 -1.3%、予想 1.4%)
18:00 (欧) 2月 貿易収支・季調済 (1月 -77億ユーロ)
18:00 (欧) 2月 貿易収支・季調前 (1月 -272億ユーロ)

21:30 (欧) ナーゲル独連銀総裁、講演
23:00 (米) 3月 中古住宅販売件数・年率換算件数 (2月 602万件、予想 575万件)
23:00 (米) 3月 中古住宅販売件数 前月比 (2月 -7.2%、予想 -4.5%)
23:30 (米) エネルギー省週間石油在庫統計
23:30 (米) デイリー・サンフランシスコ連銀総裁、講演
24:30 (米) エバンズ・シカゴ連銀総裁、講演
26:00 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、講演
26:00 (米) 財務省20年債入札
27:00 (米) 米地区連銀経済報告(ベージュブック)


注:ポイント要約は編集部

オーダー/ポジション状況

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る