ドル円、タカ派な米FOMCを受けて約6年1ヵ月ぶり高値圏へ急上昇
〇ドル円118円台後半、FOMCのタカ派姿勢傾斜と米長期金利上昇に一時119.11まで急伸
〇FOMC、0.25%の利上げ決定、ドットチャートでは年内7回の利上げ実施示唆
〇ユーロドルFOMC後に一時1.0951まで下落するも持ち直し、1.10台前半まで反発
〇ドル円約6年1ヵ月ぶり高値(2016年2月3日以来)を記録、地合い強い
〇ファンダメンタルズも地政学的リスクに一服感みられリスク選好が回復
〇ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:118.30ー119.30
海外時間のレビュー
16日(水)のドル円相場は急伸後に反落。注目された米FOMC(連邦公開市場委員会)では、@予想通り25bpの利上げ(2018年12月以来、約3年3カ月ぶりの利上げ)が決定されると共に、A声明文でセントルイス連銀ブラード総裁が50bpの利上げを主張したことや、Bドットチャート(政策金利見通し)で2022年に計7回の利上げ実施が示唆されたこと(2022年末時点の中央値が1.9%となり、前回12月公表時と比べて3回分の利上げが上方修正)、Cバランスシート縮小を今後の会合で開始するとの発表がなされたこと、D上記@ABCを背景に米10年債利回りが2019年5月30日以来、約2年10ヵ月ぶり高水準となる2.24%まで急上昇したこと(米FRBによるタカ派傾斜観測→米金利上昇→米ドル高)などが支援材料となり、米国時間午後にかけて、2016年2月3日以来、約6年1ヵ月ぶり高値となる119.11まで急伸しました。
もっとも、引けにかけては、急ピッチで上昇した反動から伸び悩む展開となり、本稿執筆時点(日本時間3/17午前5時35分現在)では118.73近辺で推移しております。尚、パウエルFRB議長は会合後の記者会見で、「行動加速が適切となれば行動するだろう」「バランスシート縮小政策の発表は早ければ5月になるだろう」とタカ派的な発言を繰り返しました。
16日(水)のユーロドル相場は堅調な値動き。@タカ派な米FOMCや、A上記@を背景とした米長期金利の急上昇が重石となり、FOMC直後に一時1.0951まで下落しました。しかし、急ピッチで上昇した米ドルが戻り売りに押されると、Bロシア・ウクライナを巡る停戦への進展期待や、C欧米株の堅調推移(リスクオン)、D欧州経済の先行き不透明感の後退(エネルギー価格下落→欧州経済に対する過度な悲観論の後退)、E欧州債利回りの急上昇(ドイツ10年債利回りは2018年11月15日以来となる0.40%へ急上昇)などが支援材料となり、米国時間午後にかけて、高値1.1047まで反発しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間3/17午前5時35分現在)においても、1.1031前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時119.11まで急伸するなど、約6年1ヵ月ぶり高値(2016年2月3日以来)を記録しました。主要テクニカルポイントを軒並み上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転、強気のパーフェクトオーダー、強気のバンドウォークの全てが成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは「極めて強い」と判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、@ロシア・ウクライナを巡る地政学的リスクに一服感で見られていること(市場心理の回復期待→リスク選好の円売り)や、A米FRBのタカ派傾斜(年内残り6回の利上げと早期バランスシート圧縮開始を示唆)、B日銀による金融緩和の長期化観測、C上記ABを背景とした日米金融政策の方向性の違い(キャリートレードの再開期待)など、ドル高・円安トレンドの継続を意識させる材料が揃っています。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日はロシア・ウクライナを巡るヘッドラインに加えて、米国経済指標(米2月住宅着工件数や、米3月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米2月鉱工業生産など)の結果に注目が集まります。ロシア・ウクライナの停戦期待が高まる場合や、米経済指標が力強い結果を示す場合などには、米株高を通じたリスク選好の円売りと、米金利上昇を通じた米ドル高が組み合わさることから、ドル円がもう一段上げ幅を拡大する恐れもあり、本日海外時間はドル円のアップサイドリスクに特に注意が必要でしょう(タカ派な米FOMCを受けても米株が然程崩れなかったことが市場心理の回復に繋がる可能性あり)。
本日の予想レンジ:118.30ー119.30
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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