ドル円見通し ドル安続き、1月24日からの上昇幅の3分の2を削る
〇ドル円、2/2夜114.14まで下落、全般的なドル安に押される展開
〇2/3夜英中銀MPC、政策金利引き上げが市場予想、ECB理事会ではタカ派的スタンス示されるか
〇NYダウ前日比224.09ドル高で4連騰、米長期債利回りは高止まり
〇ADP民間雇用者数、予想に反して急減、2/4米労働省雇用統計もマイナスの可能性
〇115.50以下での推移中は一段安余地ありとし、114.14割れからは113円台後半を試すとみる
〇114.50超えを強気転換注意とし、114.65超えからは反騰入りとみて115.00前後を目指す上昇期とみる
【概況】
ドル円は2月2日夜に114.14円まで下落して1月28日夕高値115.68円からの下げ幅は1.54円に拡大した。深夜以降は下げ渋るも114.50円に届かずに安値圏にとどまっている。
1月27日早朝の米連銀FOMC直後には米連銀による3月利上げが0.25%の小幅ではなく0.50%の引き上げになるのではないかとの見方や、利上げ回数も5回から6回へ増えるのではないかとの予想が広がったためにドル全面高の様相となったが、先週末から週明けにかけての米連銀高官による0.50%引き上げへの否定的な発言等からドル安へと風向きが変わり、ドル円も全般的なドル安に押される展開となっている。
1月24日夜安値から1月28日夕高値までの上昇幅に対する半値押しが114.57円、3分の2押しが114.20円だったが既に割り込んでいる。
【今晩、英中銀MPC、ECB理事会】
2月2日夜にはユーロドルが1.360ドルに迫るところまで続伸したが、既にユーロとポンドは1月27日早朝のFOMC前の水準を超える反騰となっており、FOMCによる引き締め姿勢を織り込んでさらに騰勢を強める動きとなっている。
2月3日夜には英中銀MPC(金融政策委員会)があり、政策金利は12月に続く連続利上げで現行の0.25%から0.50%へ引き上げられると予想されている。
3日夜にはECB理事会もあり、政策金利は据え置き予想となっているが、インフレ進行へのスタンスが従来よりもタカ派的になるのではないかとの見方もある。2月2日夜に発表された1月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)は前年同月比で5.1%上昇となり市場予想の4.4%への低下に反して12月の5.0%を上回った。コア指数でも2.3%上昇となり予想の1.9%への低下に反して12月の2.6%から若干の低下にとどまっており2%を超える水準が維持されている。2月3日にはユーロ圏生産者物価の発表もあるが前年同月比では11月の23.7%から12月は26.1%への上昇が予想されている。
【NYダウは4連騰、米長期債利回りは高止まり】
2月2日のNYダウは前日比224.09ドル高と上昇した。1月28日の564.69ドル高、31日の406.39ドル高、2月1日の273.38ドル高に続く4連騰であり、1月24日安値からの反騰継続により1月5日の史上最高値からの調整を消化して上昇再開に入ってきた印象だ。ナスダック総合指数も2月2日に71.55ポイント高となり1月28日から4連騰となった。
米10年債利回りは前日比0.01%低下の1.78%、30年債利回りは前日比変わらずの2.11%、2年債利回りは前日比0.01%低下の1.16%で終了しており、いずれも高水準を維持しつつ上昇一服となり為替市場のドル安感を阻害しない動きとなっている。
【ADP民間雇用がマイナス、4日の米労働省雇用統計も悪化の可能性】
2月2日夜にはADP民間雇用報告があり、1月の非農業部門民間就業者数は前月比30万1000人減少となり2020年12月以来1年ぶりのマイナスとなり、市場予想の20万7000人増に反する結果となったが、オミクロン株感染急増による一時的な影響として株式市場の反応は限定的だった。12月分は速報の80万7000人増から77万6000人増へ下方修正された。
2月4日夜には米労働省による1月雇用統計の発表があり、非農業部門就業者数に対する市場予想は12月の19万9000人増に対して17万人増から15万人増へと減速すると見込んでいるが、ADP発表を踏まえればマイナスとなる可能性も考えられるところだ。しかし若干の景気減速程度ならインフレ抑制へ立ち向かう米連銀にとっても過剰な利上げペースの加速を助長しないことで株式市場及び為替市場にとってはリスクオン優先で進みやすくなると思われる。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、1月14日夜安値と1月24日夜安値をダブルボトムとした上昇が1月28日夕高値でピークとなり調整安に入ったが、1月28日深夜安値からいったん戻して一段安となり2月1日夜へ続落したために2月2日午前時点では1月28日深夜安値を直近のサイクルボトムとし、底割れから弱気サイクル入りしているとみてボトム形成期を2日夜から4日深夜にかけての間と想定した。
2月2日夜へ続落した後も安値圏にとどまっているのでまだ一段安余地ありとみるが、114.65円を超える反騰からは強気サイクル入りと仮定して3日午後から7日午前にかけての間への上昇を想定する。
60分足の一目均衡表では1月31日夜の下落で遅行スパンが悪化し、2月1日には先行スパンからも転落したが、その後も両スパン揃っての悪化が続いているので遅行スパン悪化中は安値試し優先とする。114.50円以上での推移に入れば遅行スパンは好転しやすくなるが、先行スパンを上抜き返せないうちは遅行スパンが一時的に好転してもその後に悪化するところからは下げ再開とし、強気転換は先行スパンを上抜き返すところからとする。
60分足の相対力指数は2月2日夜に20ポイントまで低下したが、相場が安値を更新する際に指数のボトムが切り上がる強気逆行はまだ見られないのでもう一段安余地があるとみる。2月2日夜安値を割り込む際に指数のボトムが切りあがるようなら強気逆行の可能性ありとし、55ポイントを超えてその後も50ポイント以上での推移を続ければ反騰入りと考える。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、114.14円を下値支持線、115.65円を上値抵抗線とする。
(2)115.50円以下での推移か一時的に超えても維持できないうちはもう一段安余地ありとし、114.14円割れからは113円台後半(113.90円から113.50円)を試すとみる。113.70円以下は反発注意とするが、直前安値から0.50円以上の反騰へ進めないうちは4日の日中も安値試しを続けやすいとみる。
(3)114.50円超えを強気転換注意とし、114.65円超えからは反騰入りとみて115.00円前後を目指す上昇期に入るとみる。114.65円を超えた後も114.50円以上での推移なら4日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
2/3(木)
休場、中国、香港、台湾、ベトナム
中ロ外相会談(北京)
17:55 (独) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 52.2、予想 52.2)
18:00 (欧) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 51.2、予想 51.2)
18:30 (英) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 53.3、予想 53.3)
19:00 (欧) 12月 生産者物価指数 前月比 (11月 1.8%、予想 2.8%)
19:00 (欧) 12月 生産者物価指数 前年同月比 (11月 23.7%、予想 26.1%)
21:00 (英) 英中銀 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.50%)
21:30 (英) ベイリー英中銀総裁、会見
21:45 (欧) 欧州中銀 政策金利 (現行 0.00%、予想 0.00%)
22:30 (欧) ラガルド欧州中銀総裁、会見
22:30 (米) 10-12月期 非農業部門労働生産性速報値 前期比 (7−9月 -5.2%、予想 3.2%)
22:30 (米) 10-12月期 単位労働コスト速報値 前期比年率 (7−9月 9.6%、予想 1.5%)
22:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 26.0万件、予想 24.5万件)
22:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 167.5万人、予想 162.0万人)
23:45 (米) 1月 サービス業PMI改定値 (速報 50.9、予想 50.9)
24:00 (米) 1月 ISM非製造業景況指数 (12月 62.0、予想 59.5)
24:00 (米) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 1.6%、予想 -0.2%)
24:00 (米) 上院銀行委員会、米連銀銀行監督担当副議長ら指名承認公聴会
2/4(金)
休場、中国、台湾、ベトナム
冬季五輪北京大会(2/20まで)、ロシア大統領開会式出席
06:45 (NZ) 12月 住宅建設許可件数 前月比 (11月 0.6%)
09:30 (豪) 豪中銀、四半期金融政策報告
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前月比 (11月 3.7%、予想 0.0%)
16:00 (独) 12月 製造業新規受注 前年同月比 (11月 1.3%、予想 3.0%)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前月比 (11月 1.0%、予想 -0.6%)
19:00 (欧) 12月 小売売上高 前年同月比 (11月 7.8%、予想 5.0%)
21:15 (英) 英中銀のブロードベント副総裁、ピル理事が講演
22:30 (米) 1月 非農業部門就業者数 前月比 (12月 19.9万人、予想 17.0万人)
22:30 (米) 1月 失業率 (12月 3.9%、予想 3.9%)
22:30 (米) 1月 平均時給 前月比 (12月 0.6%、予想 0.5%)
22:30 (米) 1月 平均時給 前年同月比 (12月 4.7%、予想 5.2%)
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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