ドル円、米ADP雇用統計のネガティブサプライズを受けて約1週間ぶり安値圏へ
〇ドル円、ADP雇用統計の悪化に米国時間にかけて114.17まで下落
〇その後は株式市場の堅調推移等で114.40前後まで戻す
〇ユーロドル1月CPIの過去最大の伸び等を背景に1.1330まで急伸
〇ドル円FOMC後の上げを全値戻しし、テクニカルの地合い弱い
〇本日ECB理事会の結果発表に注目
〇本日の予想レンジ:114.00ー115.00
海外時間のレビュー
2日(水)のドル円相場は上値の重い展開。@米FRBによるタカ派スタンスの後退(米当局者による火消しを目的とした相次ぐハト派発言→市場参加者による過度な織り込みの後退→米金利低下→米ドル売り)や、A対ユーロでのドル売り圧力(欧州圏のインフレ加速→ECBによるタカ派傾斜観測→ユーロドル急伸)、B週末の米雇用統計を控えた警戒感(昨日発表された米1月ADP雇用統計は予想+18.0万人に対して結果▲30.1万人のネガティブサプライズ)が重石となり、米国時間朝方にかけて、安値114.17(1/26以来、約1週間ぶり安値圏)まで下落しました。しかし、売り一巡後に下げ渋ると、C株式市場の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)や、D日米金融政策格差に着目した押し目買い圧力が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間2/3午前5時15分現在)では、114.40前後で推移しております。
2日(水)のユーロドル相場は堅調な値動き。欧州時間朝方にかけて安値1.1266まで軟化するも、一巡後に下げ渋ると、@米FRBによるタカ派スタンスの後退(米金利先高観の後退→米ドル売り)や、AECBによるタカ派傾斜観測(1/31に発表されたドイツ1月消費者物価指数に続き、昨日発表されたユーロ圏1月消費者物価指数も市場予想を大幅に上回る結果。前年比上昇率が5.1%を記録するなど、過去最大の伸びを更新)、B2/3に予定されているECB理事会に向けてのポジション調整(ECBによるタカ派傾斜を織り込む動き)が支援材料となり、米国時間朝方にかけて、高値1.1330(1/25以来、約1週間ぶり高値圏)まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間2/3午前5時15分現在)では、1.1315前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時114.17まで下落するなど、FOMC後の上げ幅の全値戻しを達成しました(1/26以来、約1週間ぶり安値圏)。この間、一目均衡表転換線や基準線、ボリンジャーミッドバンドや21日移動平均線を下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さ(上値の重さ)を印象付けるチャート形状となっております。但し、ダウンサイドには一目均衡表雲上下限が控えているため、ここからの更なる下落は容易ではないと考えられます(足元のドル円下落は、対ユーロでのドル売りがドライバー。ユーロドルの上昇基調が和らげば、ドル円も再び持ち直すと予想)。
こうした中、本日は日本時間21時45分に発表されるECB理事会と、同22時30分のラガルド総裁記者会見に注目が集まります。今週発表されたドイツ1月CPIや、ユーロ圏1月HICPが共に市場予想を上回る結果となったことから、市場では、ECBがインフレに関する文言を強めると共に、記者会見で利上げの可能性について言及してくるのではないかとの見方が増えつつあります。とは言え、ECBはこれまで「FRBの動きに追随しない」「ECBは年内利上げの可能性を排除する」との明確なスタンスを示してきており、足元のインフレ指標だけを以て、金融政策スタンスを変えてくる可能性は乏しいと考えられます。このため、本日はECBによるタカ派傾斜観測後退→ユーロドル下落(buy the rumor, sell the fact)→米ドルのショートカバー誘発→ドル円上昇の波及経路をメインシナリオとして予想いたします。
本日の予想レンジ:114.00ー115.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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