前週の主要レート(週間レンジ)
始値 高値 安値 終値
ドル円 100.56 101.94 99.94 101.82
ユーロ円 113.61 114.13 112.79 113.98
ユーロドル 1.1298 1.1355 1.1180 1.1195
日経平均 16599.26 16663.64 16320.43 16360.71
(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。
前週の概況
8月22日(月)
週明けの為替市場は、フィッシャーFRB副議長が週末に年内利上げを示唆していると取れる発言を行ったことから、ギャップアップして始まりました。金曜のジャクソンホールでイエレン議長講演もあり、NY連銀総裁、フィッシャー副議長に続いて、タカ派寄りの発言が出るのではないかとの思惑からドル買いが継続、東京後場には一時100.93レベルの高値を付けました。しかし、直近のところで何度も100円の大台割れを試していたことから戻り売りも強く、NYの朝方には行って来いの展開となり100.21レベルの安値を付け、その後は動意の無いまま100円台前半の狭いレンジでの取引に終始していました。
8月23日(火)
イエレンFRB議長講演まで動きにくいと考える参加者が多く、NY市場まではドルの上値が重たい地合いではあったものの値幅は限定的かつ方向感のはっきりとしない展開が続きました。ドル円は何度か100円の大台割れをトライしたものの、99円台を積極的に売り込む材料も無く、強めの米国経済指標と米株の動きを見ながら100円台前半に戻しての引け。ユーロドルも1.1355レベルまで買われたものの、1.1300近くに戻しての引けとなりました。
8月24日(水)
東京市場では株価上昇とともに円売りが先行、仲値のドル買いオーダーも手伝って朝方に100.52レベルまで水準を切り上げました。しかしその後は株価とともに失速し100.10レベルの安値圏で欧州市場入り。欧州市場では主役がユーロに移り、前日のクーレECB理事による追加緩和発言が蒸し返される中、週初の安値を割り込むとストップオーダーも出てNY市場の昼頃には1.1245レベルの安値を付けました。ドル円もユーロドルの動きに引っ張られ東京高値を上抜け100.61レベルの高値を示現後、やや押してのクローズとなりました。
8月25日(木)
動意薄の一日となりました。ドル円はわずかに底堅い印象はあるものの100円台前半で終日30銭程度の値幅での小動き、ユーロドルも1.12台後半の狭いレンジの中で若干買いが優勢な動きとなりました。ジャクソンホールのシンポジウムが始まり、地区連銀総裁の発言も入り始めたものの、イエレン議長の講演を前に動きにくい一日でした。
8月26日(金)
イエレンFRB議長の講演を控えてNY市場までは様子見の状態が続きました。イエレン議長は緩やかな利上げの方向は示したものの、トーンがそれほど強く無かったことからドルは上昇後すぐに下押しし、ドル円が100.06レベル、ユーロドルも1.1341レベルまでドルが水準を下げました。しかし、直後にフィッシャーFRB副議長が今週末の雇用統計が影響を及ぼす、議長発言は9月利上げの可能性と整合的である、と早期利上げを仄めかす発言を行ったことでドルが急騰。ドル円は101.94レベル、ユーロドルも1.1180レベルとそれぞれ高値を付け、そのまま高値圏での週末クローズとなりました。
今週の予定(時刻表示のあるものは日本時間)
今週注目される経済指標と予定をあげてあります。FRB地区連銀総裁講演の内、2016年FOMCメンバー(ニューヨーク、ボストン、クリーブランド、セントルイス、カンザスシティ)ではない地区連銀はカッコ付で示しました。わかりやすさ優先で、あえて正式呼称で表記していない場合もあります。
8月29日(月)
**:** LDN市場休場
18:00 ギリシャ4〜6月期GDP確報値
21:30 米国7月個人所得・消費支出
23:30 米国8月ダラス連銀製造業活動指数
8月30日(火)
08:30 本邦7月失業率、有効求人倍率
18:00 ユーロ圏8月消費者信頼感確報値
21:00 ドイツ8月CPI速報値
23:00 米国8月消費者信頼感指数
23:00 米国6月ケースシラー住宅価格指数
8月31日(水)
08:05 英国8月GFK消費者信頼感
10:00 NZ8月ANZ企業信頼感
16:15 ボストン連銀総裁講演
16:55 ドイツ8月失業率
18:00 ユーロ圏7月失業率
18:00 ユーロ圏8月CPI速報値
21:00 南ア7月貿易収支
21:00 (ミネアポリス連銀総裁講演)
21:15 米国8月ADP全国雇用者数
21:45 フランス中銀総裁講演
22:45 米国8月シカゴ購買部協会景気指数
23:00 米国7月中古住宅販売保留件数指数
23:30 米国週間原油在庫発表
9月1日(木)
10:00 中国8月製造業・非製造業PMI
10:45 中国8月MarkIt製造業PMI
16:50 フランス8月製造業PMI確報値
16:55 ドイツ8月製造業PMI確報値
17:00 ユーロ圏8月製造業PMI確報値
17:30 英国8月製造業PMI
20:30 米国8月チャレンジャー人員削減予定数
21:30 米国新規失業保険申請件数
21:30 米国4〜6月期単位労働攻スト確報値
22:45 米国8月MarkIt製造業PMI速報値
23:00 米国8月ISM製造業景況指数
25:00 オーストリア中銀総裁講演
25:25 クリーブランド連銀総裁講演
9月2日(金)
17:00 イタリア4〜6月期GDP確報値
17:30 英国8月建設業PMI
18:00 ユーロ圏7月PPI
21:30 米国8月雇用統計
21:30 米国7月貿易収支
26:00 (リッチモンド連銀総裁講演)
9月4日(日)
**:** G20首脳会議(〜5日)
今週の週間見通し
フィッシャーFRB副議長発言でドルは大幅高
金曜のジャクソンホールにおけるイエレンFRB議長講演を前に、先週は安値99.94、高値100.93と1円に満たないレンジの中でイエレン議長の講演を迎えました。議長講演自体は緩やかな利上げには触れたものの、具体的な時期を示すような発言が無かったため、講演直後こそドル買いで反応したものの、すぐにドル売りへと転じる動きとなりました。
しかし、本当の動きはそこからで、フィッシャーFRB副議長が今週末の雇用統計が9月20・21日のFOMCの判断に影響を及ぼす、イエレン議長の発言は9月利上げの可能性と整合的である、前週末に続いて早期利上げを仄めかす発言を行ったことからドルは大幅高となって週末クローズを迎えました。
これまでにも市場参加者、特にエコノミスト、ストラテジストと呼ばれる人たちが短期的な材料で早期利上げだ、利上げ思惑後退だと意見に振れが見られるのに対して、FOMCメンバーは比較的しっかりとした流れを見据えていて考え方にブレが無いということは、ここのレポートにおいても繰り返し述べてきましたが、今回も同じことを繰り返したと言えそうです。市場参加者の利上げ思惑が遠のき過ぎていることに懸念を示し、9月以降のFOMCではどの回においても同様に利上げの可能性があることを市場参加者に考え直させる発言を行ったと言えるでしょう。
2016年のFOMCメンバーのスタンス
特に直近のところでは、ダドリーNY連銀総裁(地区連銀では唯一常任)、フィッシャーFRB副議長とFOMCメンバーの中でも高官にあたる二人が早期利上げの可能性を示唆していること、そしてジャクソンホールでフィッシャー副議長が発言した通り、今週の雇用統計さえ良ければ9月利上げの可能性は高くなったと判断せざるを得ません。今一度2016年のFOMCメンバーのスタンスを見ておきましょう。
イエレン議長 ハト派 → 中立〜タカ派
フィッシャー副議長 中立 → タカ派
タルーロ理事 ハト派
ブレイナード理事 ハト派
パウエル理事 中立
ダドリーNY連銀総裁 ハト派 → タカ派
ブラードセントルイス連銀総裁 タカ派
ジョージカンザスシティ連銀総裁 タカ派
メスタークリーブランド連銀総裁 タカ派
ローゼングレンボストン連銀総裁 ハト派 → 中立〜タカ派
左側に書いてある上から6人が常任のFOMCメンバー、残り4名が2016年の持ち回りでFOMCでの投票権を持つメンバーです。右側には元々の金融政策に対するスタンスと、ここ数か月における発言から現状どういうスタンスであるのか、について矢印(→)の右に記してあります。変化が見られないメンバーについてはそのままです。
こうしてみると、現状では利上げに積極的と見られるタカ派と中立を含めると8人に達していて、利上げに消極的なFOMCメンバーは2人へと激減してきていることがわかります。もともとハト派が多かったFOMCメンバーのスタンスの変化は要注意で、フィッシャー副議長の発言通り、今週2日の米国雇用統計次第で20・21日のFOMCで利上げが行われる可能性は50%以上あると考えるべきです。そして、仮に数字が悪かったとしても年内(12月)利上げの可能性は間違いないというところに来ているというのが、現在の米国の金融政策に対する見方と言ってよいでしょう。
そうした意味で先週に続き今週も重要な週となるわけですが、イベントを前にしてドルが底堅い地合いは続くものと考えられます。今週のレンジとしては、101.50レベルをサポートに、103.00レベルをレジスタンスとする流れとしておきます。
ドル円(日足)チャート
このチャートは、ローソク足の足型をそのままに陰陽の着色のみ平均足と同様とすることで、短期的な方向性(緑=上昇、赤=下降)を見やすく加工した当週報独自のチャートとなっています。また、国内外で人気の高い一目均衡表を併せて表示することで上下のチャートポイントもわかりやすく示しました。トレンドラインは週初の段階で過去一定期間から自動的に表示される自動トレンドライン(無い場合もあります)となっています。
ディスクレーマー
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オーダー/ポジション状況
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