ドル円見通し 116円台到達後の三角持ち合いで米雇用統計へ向かう(22/1/7)

ドル円は1月6日深夜に115.61円まで下落したものの5日夜安値115.60円割れを回避してやや持ち直して終えた。

ドル円見通し 116円台到達後の三角持ち合いで米雇用統計へ向かう(22/1/7)

ドル円見通し 116円台到達後の三角持ち合いで米雇用統計へ向かう

〇ドル円、1/6深夜に115.61まで下落したが、1/5夜安値115.60割れを回避、やや持ち直して終える
〇米10年債利回りの連騰に支えられつつも、米株価下落や感染拡大によるリスク回避感から上値が重い
〇1/4夜以降三角持ち合いの様相、米雇用統計前後してに上放れに入るか、下放れに入るか試される
〇NYダウは前日比170.64ドル安、1/5からの続落で年初2日分の上昇を超える反落となる
〇本日の米雇用統計通過後に株高基調が再確認されれば、金融市場全般の楽観的な動き継続か
〇116.18を超えないうちは、115.60割れから115円前後への下落を想定する
〇116.18超えからは1/4夜高値116.34試しとし、高値更新からは117円を目指す上昇期に入るとみる

【概況】

ドル円は1月6日深夜に115.61円まで下落したものの5日夜安値115.60円割れを回避してやや持ち直して終えた。年初からの米10年債利回り急上昇を背景に1月4日夜に116.34円へ急伸して11月30日安値112.52円以降の高値を更新、2017年1月以来の116円台到達となったが、その後はFOMC議事録で示された米連銀のタカ派姿勢による米10年債利回りの連騰に支えられつつも、ドルストレートでのドル高がクロス円の下落を招いていることやNYダウの大幅下落及び感染拡大問題でのリスク回避感から上値が重くなっている。
115.60円前後をほぼフラットな下値支持線とし、高値ラインは1月4日夜高値116.34円から6日早朝高値116.18円へと切り下がっており、60分足レベルでは三角持ち合いの様相だ。
1月7日夜の米雇用統計を前後して持ち合い上放れに入るか、下放れに入るのか試されるところだ。

【NYダウ続落、米10年債利回りは4連騰】

1月6日のNYダウは前日比170.64ドル安と下落。年明けの1月3日に246.76ドル高、4日に214.59ドル高と連騰したが、6日早朝の米FOMC議事録を反映した5日は392.54ドル安と反落し、6日も続落したことで年初2日分の上昇を超える反落となった。ナスダック総合指数も19.31ポイント安と小幅ながら1月4日の210.08ポイント安、5日の522.55ポイント安から3日間の続落となっている。
感染拡大が進んでもリセッション入りには至らず景気回復は続くとの楽観が1月5日にNYダウが史上最高値更新まで高値を伸ばした背景だったが、FOMC議事録が想定よりも早いペースでの利上げや米連銀の総資産縮小へ着手するような引き締め姿勢を強調し始めたことが株式市場の楽観的な強気にブレーキを掛けた印象だ。しかし最高値更新後の調整安を消化しつつさらに最高値更新を繰り返してきた流れの範囲にあり、7日夜の米雇用統計通過後に株高基調が再確認されれば金融市場全般の楽観的な動きも継続しうると思われる。

1月6日の米10年債利回りは前日比0.02%上昇の1.73%となったが、一時は1.75%まで上昇して12月3日の1.33%以降の高値を更新、1月3日からは4連騰の上昇で昨年10月のピークを超えて昨年3月のパンデミック後の高値である1.77%に迫っている。1.78%を超えてくるようだと10年債利回りの上昇がさらに勢い付く可能性があり、ドル円の一段高を後押しする可能性があるが、長期債利回り上昇=金融引き締め感を嫌って株安が深まるようだと、クロス円全般の下落によりリスク回避的な円高へと揺れ返す可能性もあるところと注意したい。

【1月6日の米経済指標はやや低調、7日の雇用統計で当面の流れも決まるか】

米商務省による昨年11月の米貿易収支では、物品の貿易赤字が前月比18.0%増の989億9100万ドルへ拡大した。単月の赤字幅としては過去最大で、輸入は5.1%増だったが輸出は1.8%減と低調だった。
米労働省による新規失業保険申請は前週比7000件増の20万7000件となり市場予想の19万7000件を上回った。失業保険受給者総数は175万4000人で前週から3万6000人増となり市場予想の168万8000人を上回った。
米サプライ管理協会(ISM)による12月のサービス業景況指数は62.0で11月から7.1ポイント低下して市場予想の66.9を下回った。

【米連銀高官、引き締め姿勢を強調】

米セントルイス連銀のブラード総裁は1月6日の講演において米連銀は3月にも利上げを開始する可能性があるとし、利上げペースについては「インフレ動向次第で前倒しも後ずれもありえる」と述べた。また「適切なペースで金融緩和から脱却するためにバランスシート縮小を選択する公算が大きい」とした。量的緩和で購入した保有債券の償還分を再投資せずに総資産を緩やかに圧縮していく姿勢と思われる。
米サンフランシスコ連銀のデイリー総裁も6日に「2022年は複数回の利上げが必要」とし、「政策金利の正常化(利上げ)を始めた後に総資産の縮小を始める」との見通しを示した。
米連銀は2014年にテーパリング(量的金融緩和縮小)を開始した後の3年間はバランスシートを維持していたが、今回はインフレ抑制のために縮小を急ぐ姿勢のようだ。こうした判断が1月7日夜の米雇用統計からさらに強まるのか、やや後退するのか試されることとなると思われる。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、1月4日夜高値でサイクルトップを付けて反落したものの5日夜安値からV字反騰しているため、6日午前時点では5日夜安値を直近のサイクルボトムとして既に強気サイクル入りしているとしたが、6日夜の反落により4日夜以降は三角持ち合いの様相となっているため、現状はまだ4日夜高値を起点とした弱気サイクルの範囲にあると改める。
1月6日早朝高値116.18円を超えれば三角持ち合い上放れに入るため6日深夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとして7日夜から11日夜にかけての間への上昇を想定するが、6日早朝高値を超えないうちは持ち合い下放れにより7日夜から10日夜にかけての間への下落継続となる可能性が残るとみる。

60分足の一目均衡表では1月4日夜高値以降の三角持ち合い推移により方向感に欠ける。1月6日早朝高値超えからは持ち合い上放れに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とするが、5日夜安値115.60円割れからは下放れに入るため遅行スパン悪化中の安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は40ポイント割れを買い戻されつつ60ポイント前後には抵抗感も見られる。米雇用統計後に上昇なら70ポイント超えへ進む流れとみるが、下落反応の場合は30ポイント割れを試す可能性があると注意する。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、1月5日夜安値115.60円を下値支持線、6日早朝高値116.18円を上値抵抗線とする。
(2)116.18円を超えないうちは115.60円割れから115円前後への下落を想定する。115円以下は買い戻しも入りやすいとみるが、115.60円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)116.18円超えからは4日夜高値116.34円試しとし、高値更新からは117円を目指す上昇期に入るとみる。116.70円以上ではいったん売られやすいと注意するが、116.18円を超えた後も116円台を維持しての推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

1/7(金)
16:00 (独) 11月 鉱工業生産 前月比 (10月 2.8%、予想 1.0%)
16:00 (独) 11月 鉱工業生産 前年同月比 (10月 -0.6%、予想 -0.8%)
16:00 (独) 11月 貿易収支 (10月 128億ユーロ、予想 128億ユーロ)
16:00 (独) 11月 経常収支 (10月 154億ユーロ、予想 170億ユーロ)
19:00 (欧) 12月 消費者信頼感確定値 (速報 -8.3、予想 -8.3)
19:00 (欧) 12月 経済信頼感 (11月 117.5、予想 116.0)
19:00 (欧) 11月 小売売上高 前月比 (10月 0.2%、予想 -0.5%)
19:00 (欧) 11月 小売売上高 前年同月比 (10月 1.4%、予想 5.6%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価指数 前年同月比 (11月 4.9%、予想 4.7%)
19:00 (欧) 12月 消費者物価コア指数 前年同月比 (11月 2.6%、予想 2.6%)

22:30 (米) 12月 非農業部門就業者数 前月比 (11月 21.0万人、予想 40.0万人)
22:30 (米) 12月 失業率 (11月 4.2%、予想 4.1%)
22:30 (米) 12月 平均時給 前月比 (11月 0.3%、予想 0.4%)
22:30 (米) 12月 平均時給 前年同月比 (11月 4.8%、予想 4.2%)
24:00 (米) デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、パネル討論会
26:00 (米) バーキン・リッチモンド連銀総裁、、パネル討論会
26:15 (米) ボスティック・アトランタ連銀総裁、米経済学会年次会合参加
29:00 (米) 11月 消費者信用残高 前月比 (10月 169.0億ドル、予想 195.0億ドル)



注:ポイント要約は編集部

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