ドル円、約2年10ヵ月ぶり高値圏へ急伸。心理的節目113.00も一気に突破
○ドル円米国時間午後にかけて、2018年12月以来の高値113.42まで急伸
○岸田首相が金融所得課税の強化を当面撤回、投資家心理の改善ムードなどが支援材料
○ユーロドル欧米の金融政策格差を背景に、米国時間午後にかけて安値1.1549まで反落
○ドル円注目の112.50や113.00を一気に上抜け、三役好転の成立などテクニカル的にも極めて強い地合い
○ファンダメンタルズも、日米金融政策の格差や米債務上限の懸念後退などドル高・円安の連想材料が増加
○本日の予想レンジ:113.00ー114.00
海外時間のレビュー
週明け11日(月)のドル円相場は急上昇。@岸田首相が週末に金融所得課税について「当面触ることは考えていない」と発言したことや、A上記@を背景とした投資家心理の改善ムード(リスク回避ムード後退→日経平均株価急伸→リスク選好の円売り再開)、B米早期利上げ観測を背景とした米金利の上昇圧力(先週末に発表された無難な米雇用統計を経て米金利先物市場では来年12月末時点の利上げ再開を100%織り込む展開)、Cテクニカル的な地合いの強さ(複数の買いシグナル点灯→心理的節目113.00突破→短期筋のショートカバー誘発)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、2018年12月17日以来、約2年10ヵ月ぶり高値となる113.42まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間5時45分現在)では、113.31近辺で推移しております(米国はコロンブスデーで祝日。米債市場休場)。
週明け11日(月)のユーロドル相場は上値の重い展開。@日経平均株価の急伸(リスク選好のドル売り・円売り)を背景に、欧州時間朝方にかけて、高値1.1588まで上値を伸ばすも、買い一巡後に伸び悩むと、A欧米金融政策格差を背景としたユーロ売り・ドル買い圧力(金融緩和の継続が見込まれるECBと、早期利上げが織り込まれるFRBとの金融政策格差)や、Bドイツを巡る政局不透明感の継続、CレーンECB専務理事によるハト派的な発言(足元のインフレ高進は金融政策を変更するきっかけにはならない)、Dギリシャ中銀ストゥルナラス総裁によるハト派的な発言(欧州の金利上昇を予測する人は性急)、Eテクニカル的な地合いの弱さが重石となり、米国時間午後にかけて、安値1.1549まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間午前5時45分現在)では、1.1554前後で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時113.42まで上値を伸ばし、約2年10ヵ月ぶり高値圏へと急伸しました(1日の値幅が1円24銭の大陽線を記録)。市場参加者に注目されていたチャートポイントである112.50や113.00を一気に上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転や移動平均線のパーフェクトオーダー、強気のバンドウォークも成立するなど、テクニカル的に見て、地合いは極めて強いと判断できます。
ファンダメンタルズ的に見ても、日米金融政策の方向性の違い(早期利上げが織り込まれるFRBと、金融緩和の長期化が予測されるBOJとの金融政策格差)や、米債務上限を巡る懸念の後退、本邦の金融所得課税に端を発したリスク回避ムードの後退、世界的なインフレ懸念(原油先物価格の急上昇)など、ドル高・円安を連想させる材料が増えつつあります。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続伸をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日はアトランタ連銀ボスティック総裁講演や、米3年債及び10年債入札などが予定されておりますが、市場参加者の関心は翌日に控える米9月消費者物価指数や、米FOMC議事要旨に移っている為、余程大きなサプライズが見られない限り、資源価格上昇→インフレ懸念→米利上げ観測→ドル高・円安の流れが継続すると予想いたします(ボラティリティの更なる拡大に要注意。コロンブスデー明けの米債市場に注目)。
本日の予想レンジ:113.00ー114.00
※ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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