ドル円、米長期金利を睨みながらの神経質な展開。米当局者発言に注目
○ドル円、本邦の新政権樹立への期待感などを支援材料に8日アジア時間午後にかけて110.45まで上昇
○その後、経済回復ペース鈍化などを背景とした米長期金利急低下が重石となり110.25近辺まで反落
○ユーロドル、1.1852まで上値を伸ばすも欧州株の軟調推移などで安値1.1802まで反落
○タカ派的な発言かハト派的なスタンスか、本日は相次ぐ米当局者の発言内容に注意
○ECB理事会も開催、パンデミック緊急購入プログラムの買い入れ縮小に踏み切るかどうかに注目
○本日の予想レンジ:109.90ー110.50
海外時間のレビュー
8日(水)のドル円相場は方向感に欠ける展開。@本邦解散総選挙を控えた期待感(新政権樹立への期待感→追加緩和圧力)や、A日経平均株価の堅調推移(リスク選好の円売り圧力)が支援材料となり、アジア時間午後にかけて、約4週間ぶり高値となる110.45まで上昇しました。しかし、8/13に記録した直近高値110.46をバックに伸び悩むと、B米10年債入札の好調な結果や、Cベージュブックの弱気な内容(新型コロナウイルス・デルタ株の感染再拡大で経済回復ペースが鈍化)、D上記BCを背景とした米長期金利の急低下が重石となり、本稿執筆時点(日本時間午前5時10分現在)では、110.25近辺まで反落する動きとなっております。
8日(水)のユーロドル相場は下落。アジア時間朝方にかけて高値1.1852まで上値を伸ばすも、@ECB理事会を控えたポジション調整に続伸を阻まれると、A欧州株の軟調推移や、B欧州経済の先行き不透明感(前日に発表された不冴なドイツ9月ZEW景況感調査が尾を引く形)が重石となり、米国時間にかけて安値1.1802まで反落しました。もっとも、売り一巡後は、米金利低下に伴うドル売りが支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間午前5時10分現在)では、1.1818近辺で推移しております。
本日の見通し
米金融政策を巡る不確実性が残存する中、上下共、ポジションを取りづらい時間帯が続いております(テクニカル主導ではなくファンダメンタルズ主導の相場展開)。こうした中、本日は、米新規失業保険申請件数や、米当局発言(シカゴ連銀エバンズ総裁、サンフランシスコ連銀デーリー総裁、ボウマンFRB理事、ニューヨーク連銀ウィリアムズ総裁、ダラス連銀カプラン総裁、ミネアポリス連銀カシュカリ総裁、ボストン連銀ローゼングレン総裁)、米30年債入札に注目が集まります。失業保険の上乗せ給付失効を背景に、米新規失業保険申請件数が改善を示す場合(職場復帰者の増加を後押しする場合)や、米当局者よりタカ派的な発言が見られる場合には、米早期テーパリング・米早期利上げ観測再燃→米長期金利上昇→米ドル高の経路でドル円に強い上昇圧力が加わると予想されます。
一方、米新規失業保険申請件数が予想外に悪化を示す場合や、先週の不冴な米雇用統計の結果を反映して米当局者よりハト派的なスタンスが示される場合には、失望感からドル円が再び110.00の大台を割り込むシナリオも想定されます。本日も引き続き、米長期金利を睨みながらの神経質な値動きが続きそうです。
尚、本日はECB理事会にも注目が集まります。市場の関心は、ECBがパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の買い入れペース減額(第4四半期以降)に踏み切るか否かに集中しており、買い入れ額縮小やテーパリングの終了時期が具体的に示されれば、欧州金利上昇→ユーロ高の経路でユーロドルに上昇圧力が加わると予想されます(足元のインフレ高進や欧州当局者によるタカ派的な発言を踏まえれば、何かしらのアナウンスが発される可能性は高い)。
本日の予想レンジ:109.90ー110.50
ドル円日足
※ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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