ドル円見通し 109円割れ回避から持ち直す、ドル全面高の様相(21/8/18)

ドル円はクロス円での円高よりもドルストレートでのドル高感が勝る形で反発した。

ドル円見通し 109円割れ回避から持ち直す、ドル全面高の様相(21/8/18)

ドル円見通し 109円割れ回避から持ち直す、ドル全面高の様相

〇ドル円、109円割れ回避から持ち直し、8/17深夜にかけてドル全面高の様相の中109.65まで戻す
〇米小売売上高の悪化、NYダウ下落、デルタ株感染拡大への懸念強まる中、ドル高感強まる
〇米10年債利回りは下げ止まり、上昇再開へと向かうか
〇独・豪をはじめ欧州主要国の長期債利回り低下が目立つ、ユーロ・豪ドルが対ドルで年初来安値更新
〇109.30以上での推移中は上向きとし、109.65超えからは110円手前を目指すとみる
〇109.30割れからは下向きとし、8/16夜安値109.10割れからは108.50前後を目指す下落を想定する

【概況】

ドル円は8月16日夜に109.10円まで安値を切り下げたものの109円割れをひとまず回避して17日の日中も夕刻の下落場面で新たな安値更新を回避、深夜にかけてはドル全面高の様相となる中で109.65円まで戻した。
米経済指標の強弱を見ながら米連銀による量的緩和政策縮小開始時期を思惑しつつ、米長期債利回り動向を見ながらの展開が続いているが、8月17日は米小売売上高が2か月振りに前月比マイナスに転落、5連騰で史上最高値を更新していたNYダウが6日ぶりに反落、デルタ株の感染拡大への懸念を背景としたリスク回避感が強まる中でユーロ、ポンド、豪ドルなどが総じて下落してドル高感が強まり、ドル円はクロス円での円高よりもドルストレートでのドル高感が勝る形で反発した。
8月11日高値110.79円から16日夜安値109.10円までの下げ幅は1.69円だったが、17日深夜高値109.65円まで0.55円の戻りで3分の1戻しに迫るところとなっている。

【NYダウは6日ぶり反落、米小売統計が悪化】

NYダウは前日比282.12ドル安と6日ぶりに下落、一時は500ドルを超える下落幅となった。ナスダック総合指数も137.58ポイント安と下落。
米連銀による7月の米鉱工業生産指数は前月比0.9%上昇して市場予想の0.5%上昇を上回った。設備稼働率は76.1%で前月の75.4%及び市場予想の75.7%を上回った。
米商務省による7月の小売売上高は前月比1.1%減となり2か月振りのマイナスで市場予想の0.3%減を下回回る悪化だった。自動車・同部品ディーラーを除くと0.4%減で予想の0.1%増を下回った。ガソリンを除くと1.4%減、自動車・同部品とガソリンを除くと0.7%減だった。
米連銀のパウエル議長は17日に講演したが、デルタ株による景気への影響はいまだにはっきりしないとし、雇用に関しては「数百万人が失業したままだ」と述べたが、金融政策の変更姿勢に関しては特に言及しなかった。

【米長期債利回りは下げ止まり、ユーロと豪ドルが年初来安値更新】

8月17日の米10年債利回りは前日比変わらずの1.27%で終了したが、一時は1.22%まで低下して8月12日の1.379%以降の安値を切り下げたものの終盤へ戻した。16日も1.22%台まで下げたところから戻しており、利回りの日足チャートは2日連続で長い下ヒゲを付けて底固さを見せた。7月20日と8月4日に1.12%台まで低下してピークであった3月31日の1.77%以降の最低水準としたものの両安値をダブル底として戻し、8月12日からは反落していたが、押し目形成から上昇再開を伺う姿となってきている。
利上げ時期や量的緩和縮小開始時期に敏感な米2年債利回りは0.01%上昇の0.22%で16日と17日に0.19%まで下げたところからはいずれも反騰して終値ベースでは2連騰となっているので10年債利回りよりも上昇再開感が先行する姿となっている。

ドル円は8月4日の米ADP民間雇用が低調だったところで108.71円を付けて底打ちし、4日夜のISMサービス業景況指数の改善、6日の米雇用統計の改善をきっかけに大幅上昇したが、8月11日の米7月コアCPIの伸びが鈍化したことで110.79円を目先の天井として下落に転じた。13日夜のミシガン大消費者信頼感指数と16日のNY連銀製造業景況指数が予想以上に悪化したことで続落して16日夜安値109.10円まで下げるという展開であった。17日は米小売が弱かったものの、鉱工業生産が堅調、NYダウが一時500ドルを超える反落となったが安値から持ち直したことで債券売り・利回り上昇となってドル円が押し上げられた。

【ユーロと豪ドルが年初来最安値を更新】

長期債利回り動向としては独10年債が一時ECB金利のマイナス0.50%を割り込む局面がみられたが、米長期債利回りが低下する局面では欧州主要国の長期債利回りも低下し、かえって欧州主要国の利回り低下が目立つことでユーロやポンドへの売り圧力も強まる傾向がある。豪10年債利回りの低下も顕著であり、17日のドル高加速要因となっている。
ユーロドルは8月17日安値で1.1700ドルを付けて3月31日安値1.1702ドルを割り込み1月6日と5月25日のダブル天井以降の安値を割り込んでいる。1.1700ドル割れは昨年9月と11月に上昇再開のきっかけになっているが、今回はダブル天井型からの下落のため下落期がさらに長引く可能性がある。豪ドル米ドルも0.7241ドルへ下落して7月1日安値を割り込み5月10日の戻り高値以降の安値及び2月25日天井以降の最安値を更新している。ドル全面高の様相が徐々に進行してきていることでドル円も再浮上のきっかけを得ている可能性がある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、8月11日夕高値110.79円を起点として下落サイクルに入っていたが、16日夜安値で目先の底を付けて戻しに入っている印象だ。高値形成期は16日夜から18日夜の間と継続されるので既に反落警戒期にあるので16日夜安値割れ回避のうちは上昇余地ありとみるが、109.25円割れからは下向きとして16日夜安値109.10円試しとし、底割れからは新たな下落期入りとして19日夜から23日夜にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では17日夜の反騰で遅行スパンが好転、先行スパンへ潜り込んでいるので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。先行スパン上限が抵抗となりやすいが、先行スパン突破から勢い付く可能性もあると注意する。ただし先行スパンから転落して遅行スパンも悪化するところからは戻り一巡による下げ再開を疑い安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は週末から週明けへの安値更新に際して指数のボトムが切り上がる強気逆行を見せてからの上昇で60ポイント台へ到達した。50ポイント以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとするが、40ポイント割れからは下げ再開とみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、8月16日夜安値109.10円を下値支持線、17日深夜高値109.65円を上値抵抗線とする。
(2)109.30円以上での推移中は上向きとし、109.65円超えからは110円手前を目指すとみる。110円手前は反落警戒とするが、109.50円以上での推移なら19日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)109.30円割れからは下向きとし、16日夜安値109.10円割れからは一段安入りとして108.50円前後を目指す下落を想定する。109.10円を割り込んだ後も109.20円以下での推移なら19日も安値試しへ向かいやすいとみる。
※ 米長期債利回り上昇とユーロや豪ドル等の下落でドル高感が強まる場合はドル円も上昇しやすくなるが、リスク回避的な手仕舞い売りが強まる場合、クロス円全般の下落からの円高感がドル高に勝ってドル円が下落するというケースにも注意が必要。

【当面の主な予定】

8/18(水)
10:30 (豪) 4-6月期賃金コスト指数 前期比 (1-3月 1.5%)
11:00 (NZ) ニュージーランド中銀 政策金利 (現行 0.25%、予想 0.50%)
15:00 (英) 7月 消費者物価指数 前月比 (6月 0.5%、予想 0.3%)
15:00 (英) 7月 消費者物価指数 前年同月比 (6月 2.5%、予想 2.3%)
15:00 (英) 7月 消費者物価コア指数 前年同月比 (6月 2.3%、予想 2.2%)
15:00 (英) 7月 小売物価指数 前月比 (6月 0.7%、予想 0.3%)
15:00 (英) 7月 小売物価指数 前年同月比 (6月 3.9%、予想 3.6%)

18:00 (欧) 6月 建設支出 前月比 (5月 0.9%)
18:00 (欧) 6月 建設支出 前年同月比 (5月 13.6%)
18:00 (欧) 7月 消費者物価指数 改定値 前年同月比 (速報 2.2%、予想 2.2%)
18:00 (欧) 7月 消費者物価コア指数 改定値 前年同月比 (速報 0.7%、予想 0.7%)
21:30 (米) 7月 住宅着工件数・年率換算件数 (6月 164.3万件、予想 161.0万件)
21:30 (米) 7月 住宅着工件数 前月比 (6月 6.3%、予想 -2.6%)
21:30 (米) 7月 建設許可件数・年率換算件数 (6月 159.8万件、予想 161.0万件)
21:30 (米) 7月 建設許可件数 前月比 (6月 -5.1%、予想 1.0%)
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省20債入札
27:00 (米) 米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨

8/19(木)
休場 インド(イスラム教新年)
10:30 (豪) 7月 新規雇用者数 (6月 2.91万人、予想 -5.00万人)
10:30 (豪) 7月 失業率 (6月 4.9%、予想 5.0%)
17:00 (欧) 6月 経常収支・季調済 (5月 117億ユーロ)
17:00 (欧) 6月 経常収支・季調前 (5月 43億ユーロ)
21:30 (米) 新規失業保険申請件数 (前週 37.5万件、予想 36.0万件)
21:30 (米) 失業保険継続受給者数 (前週 286.6万人、予想 280.0万人)
21:30 (米) 8月 フィラデルフィア連銀製造業景況指数 (7月 21.9、予想 24.0)
23:00 (米) 7月 コンファレンスボード景気先行指数 前月比 (6月 0.7%、予想 0.7%)
26:00 (米) 財務省インフレ指数連動30年債入札


※ポイント要約は編集部

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