トルコリラ円見通し トルコ中銀の金利据え置き後はややジリ高の推移
〇昨日のトルコリラ円、高値13円台に到達、終値も12.98で13円に近い水準で終了
〇対ドル、8/16終値8.45から8/17終値8.42へとリラ高ドル安を継続、日足は4日連続の陽線
〇8/17は為替市場全般でドル高が進んだものの、ドル/トルコリラではドル安リラ高継続
〇トルコ長期債利回りが高水準を維持していることが、トルコリラの支えとなっている印象
〇トルコ外相、アフガニスタンを制圧したイスラム主義組織タリバンに対し融和姿勢示す
〇12.90以上での推移中は上向きとし、13.00超えからは13.05から13.10を目指すとみる
〇12.90割れからは下向きとして、8/17夕安値12.85試しとする
【概況】
トルコリラ円の8月17日は13.03円から12.85円の取引レンジ。週明けの16日は先週末13日の取引レンジ内にとどまっての小動きで12.94円まで上昇したものの13円には届かずに様子見の動きだったが、17日は為替市場全般でドル高が進んだもののドル/トルコリラではドル安リラ高が継続、ドル円も16日夜に109.10円まで下げたところから持ち直しに入ったことでトルコリラ円としては対ドルでのリラ高と円安が重なる形で買われて高値で13円台に到達、18日早朝の終値も12.98円で13円に近い水準で終了している。
8月3日のトルコ7月消費者物価上昇率が前年比18.95%へ上昇して政策金利の週間レポレート19.00%へ迫ったことで実質マイナス金利化を懸念してのリラ売りで8月9日安値12.67円まで下げていたが、8月12日のトルコ中銀金融政策決定会合で政策金利は据え置かれ、インフレ率を下回る政策金利にはしないと声明で示されたことで市場もやや安堵してややリラ買い優勢の動きとなっている。
終値ベースでの12.98円は、8月2日の13.06円以降での最高値であり、8月3日高値13.15円超えに挑戦する可能性も出てきている印象だ。
【ドル全面高の中でもドル安リラ高傾向】
ドル/トルコリラの8月17日は8.48リラから8.36リラの取引レンジ、16日終値8.45リラから17日終値8.42リラへとリラ高ドル安を継続した。日足は4日連続の陽線(ドル安リラ高)での上昇。
8月3日8.27リラから8月11日8.67リラへ下落したものの6月25日に付けた史上最安値8.79リラには届かずにリラ売りも一巡してリラ買い優勢の流れとなってきた。
8月17日はユーロドルが1.1700ドルまで下げて3月31日安値1.1702ドルを割り込み年初来安値を更新した。ユーロドルは1月6日高値1.2349ドルと5月25日高値1.2266ドルがダブル天井型となって失速してきたが、ダブル天井完成目安となる谷間にあった3月31日安値を割り込んでおり、7月末への小反発一巡から一段安に入っている。また豪ドル米ドルも7月21日安値から下げ渋りの持ち合いで推移していたが8月17日に持ち合い下放れで一段安に入っており2月25日高値以降の安値を更新した。
為替市場全般がドル高基調に入っていることは、デルタ株の感染拡大による景気回復の腰折れを警戒したもので、ユーロドルは独10年債利回りの低下、豪ドルも豪10年債利回りの低下を背景としており、リスク回避的に長期債が買われて利回りが低下して通貨安という連鎖が発生している。そうした中でも最近のトルコリラは対ドルでも確りしているのは、トルコの物価上昇率が政策金利に迫る中でトルコ10年債利回りも17%台で高水準を維持していることが支えとなっている印象もある、また物価上昇率についても、最近はNY及びロンドンの原油相場が下落しており、資源エネルギーの相場高騰がトルコの物価上昇を跳ね上げてきたことを踏まえればトルコ物価上昇率を落ち着かせるものとしてトルコリラにはプラス要因といえる。
【アフガン情勢】
トルコのチャブシオール外相は8月17日にアフガニスタンを制圧したイスラム主義組織タリバンについて「国際社会への前向きなメッセージが発せられ、歓迎する」と述べて融和姿勢を示した。トルコはNATO加盟国として米軍撤退後にカブールの空港管理を引き継ぐ予定でいたが、予想以上の速さでタリバンが首都カブールを制圧したこととガニ政権が国外逃亡したことによる混乱で調整がとん挫しており、トルコとしてはカブール空港の管理駐留をタリバン指導部に打診したもののタリバン側には拒否されているようだ。数百人規模でトルコ軍が駐留しているため、今後はタリバン新政権との協議で撤退へ進むのか協力関係を築くのか注目される。
今のところはトルコリラ相場への影響は見られない。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、8月11日朝高値を前回のサイクルトップ、11日夜安値を同サイクルボトムとして上昇期に入ったとして高値形成期を14日早朝から18日午後にかけての間と想定してきた。17日夜へ高値を更新し、その後も高値圏を維持しているので引き続きサイクルトップ形成中とみるが、16日午後安値ないしは17日夕安値を直近のサイクルボトムとして17日夜の一段高からすでに新たな強気サイクル入りしている可能性もあるため、12.90円以上での推移中は一段高余地ありとし、12.90円割れを弱気転換注意、17日夕安値12.85円割れからは弱気サイクル入りとして19日午後から23日午後にかけての間への下落を想定する。
60分足の一目均衡表では8月16日午後からの持ち直しで遅行スパンが好転、先行スパンからも上抜けてきたが、その後も両スパン揃っての好転を維持しているので遅行スパン好転中は高値試し優先とする。高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすくなるが、先行スパンからの転落を回避するうちは遅行スパンが一時的に悪化してもその後に好転するところからは上昇再開とし、先行スパン転落からは下落期入りとして遅行スパン悪化中の安値試し優先へ切り替える。
60分足の相対力指数は17日夜の上昇で70ポイント台に到達している。相場が高値をさらに切り上げるところで指数のピークが切り下がる弱気逆行がみられる場合は下げ再開を疑い、50ポイント割れからは下げ再開とする。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、12.00円を下値支持線、13.03円を上値抵抗線とする。
(2)12.90円以上での推移中は上向きとし、13.0円超えからは13.00円台後半(13.05円から13.10円)を目指すとみる。13.07円以上は反落警戒とするが、12.95円以上での推移なら19日も高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)12.90円割れからは下向きとして17日夕安値12.85円試しとする。12.85円前後は買い戻しも入りやすいとみるが、12.85円割れから続落に入る場合は12.75円前後へ下値目途を引き下げる。また17日夕安値を割り込んでの推移なら19日も安値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
8月19日
20:00 トルコ中銀金融政策決定会合議事要旨
20:30 週次外貨準備高(グロス) 8/13時点 (8/6時点 677.4億ドル)
8月20日
23:30 7月 中央政府債務残高 (6月 202.7億リラ)
8月23日
16:00 8月 消費者信頼感指数 (7月 79.5)
17:00 7月 観光客数 前年同月比 (6月 853.4%)
8月24日
19:00 7月 自動車生産台数 前年同月比 (6月 3.8%)
8月25日
16:00 8月 製造業景況感 (7月 114.8)
16:00 8月 設備稼働率 (7月 76.7%)
※ポイント要約は編集部
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