ドル円、約2ヵ月半ぶり高値更新後に急反落。年初来高値には一歩届かず
〇ドル円株安からのリスク回避の円買い、米長期金利急低下、米指標悪化に米国時間に110.17まで反落
〇ユーロドルFOMC後のドル買い圧力、ECB関係者のハト派発言に1.1892まで大幅続落
〇ドル円年初来安値高値に一歩届かず反落するもテクニカルの地合い強く下値余地は乏しい
〇ファンダメンタルズも日米記入政策格差広がりと過剰流動性逆流リスク等ドル円上昇の材料増える
〇ドル円上昇がメインシナリオ、本日の予想レンジ:109.90ー110.70
海外時間のレビュー
17日(木)のドル円相場は上昇後に急反落。@予想以上にタカ派な米FOMC(※ドットチャートで2023年までに計2回の利上げが示唆)を受けて、米長期金利が上昇する中、ドル円はアジア時間朝方にかけて、4/1以来、約2ヵ月半ぶり高値となる110.82まで急伸しました。しかし、3/31に記録した年初来高値110.97をバックに戻り売りが強まると、A過剰流動性相場・逆流を意識したリスク回避の円買い圧力(米早期テーパリング観測→株安・商品安→クロス円下落→ドル円連れ安)や、B米長期金利の急低下(昨日の上昇分を吐き出す展開)、C米経済指標の冴えない結果(米6月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米新規失業保険申請件数、米5月景気先行指数が軒並み悪化)が重石となり、米国時間にかけて、安値110.17まで反落しました。引けにかけて持ち直すも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間午前5時25分現在)では110.28近辺で推移しております。尚、日本政府は昨日、緊急事態宣言発令中の10都道府県のうち、沖縄県を除く9都道府県について6/20付けで解除することを決定しましたが、相場への影響は限定的となりました。
17日(木)のユーロドル相場は大幅続落。@タカ派な米FOMCを背景としたドル買い圧力や、AレーンECB専務理事による「9/9のECB理事会までにパンデミック緊急購入プログラムの縮小を議論するための十分な情報を得ることはできないかもしれない」とのハト派な発言、B上記Aを背景としたECBによる早期テーパリング観測の後退(欧州債利回り低下)が重石となり、米国時間にかけて、4/13以来、約2ヵ月ぶり安値となる1.1892まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間午前5時25分現在)では1.1904近辺で推移しております。
本日の見通し
ドル円はタカ派な米FOMCを受けて一時110.82まで急伸するも、年初来高値110.97に一歩届かず反落に転じました。しかし、心理的節目110.00を死守できていること、強い買いシグナルを示唆する三役好転やパーフェクトオーダー、ダウ理論における上昇トレンドが継続していることなどを踏まえると、テクニカル的に見て、下値余地は乏しい(上昇トレンドの途中で見られる一時的な押し目)と判断できます。ファンダメンタルズ的に見ても、日米金融政策格差の観点(※大規模金融緩和からの脱却の糸口が見えない日本と、早期テーパリングの可能性が高まりつつある米国との金融政策格差)や、過剰流動性相場の逆流リスク(※米テーパリングをトリガーとした株価や商品市況の下落→資産現金化需要のドル買いを引き起こす恐れ。但し、昨日のよう対主要通貨でのドル買い圧力がクロス円の下落を通じて一時的にドル円を下押しする展開には留意)など、ドル円相場の上昇を意識させる材料が増えつつあります。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(本日は日銀金融政策決定会合が予定されておりますが、金融政策の変更は見込まれておらず、無風通過が予想されます。また、米国経済指標の発表も予定されておらず、ドル円は米長期金利や米主要株価指数、商品市況などを睨みながらの神経質な展開となりそうです)。
本日の予想レンジ:109.90ー110.70
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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