ドル円、タカ派な米FOMCを受けて急上昇。約2ヵ月半ぶり高値圏へ
〇ドル円タカ派のFOMCを受け約2か月半ぶり高値110.72まで急伸
〇声明文のコロナ関連文言の修正、参加者金利予測の大幅上方修正、パウエル議長のタカ派発言が材料
〇ユーロドル大幅下落、独成長率見通し下方修正、FOMC後のドル買いで一時1.1192をつける
〇ドル円未明の上昇で直近高値を上抜け、テクニカルの地合い強い
〇ファンダメンタルズも早期テーパリング観測が再燃しドル買い地合いにつながりやすい
〇ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想
〇本日の予想レンジ:110.20ー111.00
海外時間のレビュー
16日(水)のドル円相場は急上昇。米国時間朝方にかけて、安値109.81まで下げ幅を広げるも、一目均衡表転換線に続落を阻まれると、注目された米FOMCにて、@声明文から「コロナ禍による危機が米国経済の重石になっている」との文言が削除されたこと、Aドットチャートで2022年の利上げ予想者が前回3月時の4名から7名に増加したこと、Bドットチャートで2023年の利上げ予想者が前回3月時の7名から13名に増加したこと、C参加者の過半数が2023年までに計2回(0.25%×2回)の利上げを予想したこと、
DパウエルFRB議長が記者会見で「インフレ期待が過度に上昇すれば金融政策を調整する用意がある」「インフレはFRBの予想以上に上昇し続ける可能性がある」と発言したこと(従来までのインフレ高進は一時的との見解の修正)、E上記@からDを背景とした米早期テーパリング観測再燃→米長期金利上昇→米ドル高の波及経路(米10年債券利回りは1.48%から1.58%へ急上昇)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、4/5以来、約2ヵ月半ぶり高値となる110.72まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間午前6時20分現在)では110.66近辺で推移しております。
16日(水)のユーロドル相場は大幅下落。欧州時間朝方にかけて、高値1.2135まで上値を伸ばすも、一目均衡表基準線および転換線に続伸を阻まれると、@独IFO経済研究所によるドイツの2021年経済性成長率見通しの下方修正(+3.7%から+3.3%)や、Aタカ派な米FOMCを受けた米長期金利の急上昇、B心理的節目1.2000を割り込んだことに伴うロスカットが重石となり、米国時間午後にかけて、5/6以来、約1ヶ月半ぶり安値となる1.1992まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間午前6時20分現在)では1.1995近辺で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時110.72まで急伸し、約2ヵ月半ぶり高値を更新しました。この間、一目均衡表転換線や6/4に記録した直近高値110.34を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転や、移動平均線のパーフェクトオーダーも継続するなど、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。目先は3/31に記録した年初来高値110.97を試すシナリオが想定されます。ファンダメンタルズ的に見ても、タカ派な米FOMCを受けて米早期テーパリング観測が再燃しており、日米金融政策格差の観点からもドル買い・円売りに繋がり易い地合いが続くと考えられます(通貨オプション市場でもリスクリバーサルの円コールオーバーが縮小するなど、ドル円相場の上昇を織り込む動き)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(本日は米6月フィラデルフィア連銀製造業景気や米新規失業保険申請件数に注目。予想比良好な結果となれば、ドル買いの流れが一段と加速する可能性あり)。
本日の予想レンジ:110.20ー111.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
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