ドルはレンジ上抜け、110円台乗せの公算も(5/28夕)

28日の東京市場はドルが小高い。値幅そのものは小さかったが、前日更新したドル高値を再び更新する局面なども観測されていた。

ドルはレンジ上抜け、110円台乗せの公算も(5/28夕)

ドルはレンジ上抜け、110円台乗せの公算も

〇本日のドル円、値幅そのものは小さいが前日高値109.92を一時上抜けるなど、ドルが小高い展開
〇4月末からの1.5円レンジの上限も超え、110円を超えていく可能性も
〇本日はNY市場3連休前最後の取引といった日柄的要因から、ポジション調整等予想に反した動きに注意
〇心理的な抵抗でもある110円を超えれば、110.15レベルがターゲットになるか
〇本日は4月PCEデフレーターや5月シカゴ購買部協会景気指数発表予定
〇本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.40-110.50

<< 東京市場の動き >>

28日の東京市場はドルが小高い。値幅そのものは小さかったが、前日更新したドル高値を再び更新する局面なども観測されていた。

ドル/円は109.80円レベルで寄り付いたものの、基本は小動き。実際、終日を通した値幅は20ポイントにもとどかなかった。しかし、前日記録したドルの戻り高値109.92円を一時上抜けるなど、ドルは底堅さが目立つ展開で小じっかり。16時現在では109.85-90円で推移し、欧米市場を迎えている。
また、円はクロスについても全般的に冴えない値動きをたどるも、多くで直近あるいは年初来などの高値更新はならず。ここ最近の円安進行もあり、本日は「高原推移」にとどまっていた。

一方、材料的に注視されていたものは、「米国情勢」と「幾つかの重要国際会議」について。
前者のうちファンダメンタルズについては、発表された1-3月期のGDP改定値や週間ベースの新規失業保険申請件数といった米経済指標がまだら模様に。好悪混在の状況下、米紙が「バイデン大統領、2022会計年度予算教書で6兆ドルの歳出を求める計画」と報じたことが好感され、ドルの支援要因となった。また、米地区連銀総裁などから幾つかの発言が聞かれたものの、そんななかダラス連銀総裁から「長期金利は上昇することが有益」、「早めに緩和縮小議論を始めるべき」との発言が聞かれ、思惑を呼んでいたという。

対して後者は、まず「ベラルーシが民間旅客機を強制着陸させた」問題について、G外相が「もっとも強い言葉で非難する」とした共同声明を発表。またG7貿易相会合が2日間の日程で始まり、早速「ワクチン問題をめぐる協議」がなされたようだ。なお、そうしたなかチOECD事務局長による「6月か7月に『デジタル課税ルール』で合意できる見通し」との発言や、ロイターによる「今年のジャクソンホール会合、8月26-28日に対面方式で開催予定」−−との内容が物議を醸していたという。

<< 欧米市場の見通し >>

昨日、ドル/円は東京で109.20円前後までしか上値を伸ばせず「上値トライが失敗に終わった感も否めない」と指摘したが、見通しを誤った。そののちドルは再び上値を試すと109.92円まで一気にドル高が進展している。そんなドルは本日東京時間に続伸すると、先の戻り高値をわずかながら更新。過去1週間程度形成していたレンジはおろか、4月末からの1.5円レンジの上限も超えており、基本的にリスクはドル高にバイアスか。110円を超えていく可能性も否定できないようだ。
テクニカルや相場の勢いを勘案すると、リスクは前述したように「ドル高方向」なのだが、若干気掛かりなのは日柄的な要因。具体的にいえば本日は週末、月末間近ということに加え、来週初めにかけてNY市場が3連休前最後の取引となる。つまり、駆け込み的な需給やポジション調整が出やすい環境とも言えるわけで、油断をすると足をすくわれることになりかねない。予想に反した動きなどにも一応要注意。

テクニカルに見た場合、短期の80銭レンジだけでなく、中期の1.5円レンジもどこかで抜けていくとは思っていたが、昨日揃って上抜けたことは正直想定外だった。ともかく、レンジを上抜けたことでドルの続伸が期待されるが、心理的な抵抗でもある110円をまだ超えていないことが一抹引っ掛かりを覚えるところだ。上値の重さに、前述した日柄的な要因も加わり、調整の動きが強まる可能性もある。ただ、110円を超えれば、年初来高値110.97円を起点とした下げ幅の76.4%戻しにあたる110.15円レベルがターゲットに。

材料的に見た場合、中長期的には領有権をめぐる周辺国との対立や人権問題など話題に事欠かない「中国情勢」や「北朝鮮情勢」、「イラン情勢」、「露・ウクライナ情勢」、「新型コロナウイルス再拡大と変異種の発生、ワクチン開発・接種」、「米金融政策の行方」−−などが注視されている。
一方、本日の新規材料として、4月のPCEデフレーターや5月のシカゴ購買部協会景気指数といった米経済指標が複数発表される予定となっている。昨日発表された米指標は好悪がマチマチ、まだら模様であったものの、それでもGDP改定値のように内容的には決して悪い数字でなかった。したがって、本日も良好な内容が続くのか、米指標内容を注視している向きが少なくない。また昨日の今日だが、バイデン氏による予算教書の詳細発表にも一応要注意。

そんな本日欧米時間のドル/円予想レンジは109.40-110.50円。本日東京高値を含め、抜けそうで抜けない110円が最初の抵抗か。抜ければ110.15円、そして110円半ばなどがターゲットに。
対するドル安・円高方向は、これまで抵抗として寄与していた109.70-80円が、ごく目先のサポートとして意識されそうだ。割り込めば109.20-30円を目指す展開か。

ドルはレンジ上抜け、110円台乗せの公算も

ドル円日足


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