ドル円見通し 抵抗線切り下がり、108円台中盤支持線の三角持ち合い
○ドル円、5/24日中は軟調推移、夕刻108.68まで下げた後下げ渋り、108円台後半中心の小幅持ち合い
〇レンジ縮小型の三角持ち合いの様相、下値支持線維持を試しつつ上昇再開を伺う
○NYダウは3連騰、調整安から出直り始めた印象
○仮想通貨反騰入りでリスクオンへ傾斜し株高、米長期債利回り低下でリスク選好的ドル安感強まる
○5/24夕安値108.68割れからは5/19深夜安値108.56試し、安値更新からは5/7夜安値108.32試しとする
○109円超えからは、5/19夜高値109.33円試しを想定する。
【概況】
ドル円は5月19日にビットコイン等の仮想通貨市場が暴落した事で金融市場全般にリスク回避的な影響が及んだところでの乱高下で、19日夜高値109.33円へ反発後に19日深夜安値108.56円まで急落、20日未明の米FOMC議事録公開におけるテーパリングへの言及等で20日午前には109.30円まで再び反発するも19日夜高値超えへ進めず、その後は軟調推移に入った。21日夕安値では108.59円にとどまって19日深夜安値割れを回避、22日早朝に109.00円まで戻したところから24日の日中は軟調推移で夕刻に108.68円まで下げるもその後は下げ渋りでの小動きとなり、結局108円台後半中心の小幅持ち合いとなっている。
5月19日夜から見れば、下値支持線は108円台中盤でやや切り上がり気味、上値抵抗線は20日午前高値から22日早朝高値へ切り下がりとなるレンジ縮小型の三角持ち合いの様相となっている。当面はこの三角持ち合いの下値支持線を維持できるかどうかを試しつつ、右肩下がりの抵抗線突破から上昇再開を伺うところにあるようだ。
5月24日のNYダウは前日比186.14ドル高となり、5月20日の188.11ドル高、21日の123.69ドル高と合わせて3連騰で3日間で500ドル近い上昇となった。5月10日に3万5091.56ドルの高値を付けて史上最高値を更新してから下落に転じて19日には3万3473.80ドルまで1618ドル安の下げだったが、その後は持ち直しに入っている。これまでも何度か1000ドルを超える規模の反落を入れながらもそこを押し目形成として一段高してきたために今回も同様の調整安から出直り始めた印象だ。
【仮想通貨反騰入りで株高、米長期債利回り低下でリスク選好的ドル安感も再燃】
5月24日は欧米の主要経済指標発表がなく、材料的には手掛かり難だったが、ビットコイン等が急騰したことで19日とは逆に金融市場全般がリスクオンへ傾斜したためにNYダウが上昇し、バイデン政権による巨額インフラ投資計画も総額規模が共和党への妥協で減額となる中で米長期債利回りが低下したため、為替市場ではユーロドルとNZドル米ドルが反騰、ポンド/ドルや豪ドル米ドルが夕刻安値から持ち直し、南アランドは対ドルで昨年4月底以降の最高値を更新するなどドル安感が強まった。ドル円には圧迫要因となったために109円台回復へ進めずに108円台後半での持ち合いにとどまる要因となった。
5月19日に急落したビットコイン等の仮想通貨は20日にいったん戻したところから5月21日には中国の金融当局による規制強化の動きを嫌気して急落したが、市場拡大に伴う規制強化は付き物であり、材料消化として24日は終盤にビットコインが11.6%高、イーサリアムが25%高等と急騰した。先高期待により投資家のバーゲン買いも旺盛だったことで株式市場、為替市場の投機通貨買いにも好影響となったようだ。
米国の新型コロナウイルス新規感染者数が昨年6月以来の低水準になったことやバイデン政権による巨額インフラ投資計画が規模を縮小する姿勢を示したことで債券市場もやや安堵となり債券買いから利回り低下となり、米10年債利回りは前日比0.02%低下の1.60%となった。10年債利回りは3月30日に1.77%まで急上昇したところで頭打ちとなり、5月7日の米4月雇用統計発表後に一時1.50%割れまで急落したところから反騰に転じて5月13日に1.70%までいったん戻したがその後は低下傾向が続いている。3月30日のピーク時を超える勢いでの上昇がみられなければ落ち着いた動きの範囲として為替市場も米長期債利回り上昇にはさほどの過剰反応を見せなくなっており、利回り低下ではドル安反応をしやすくなっている印象だ。
株高、長期債利回り低下傾向、リスクオンでの投機通貨買い進行はドル円にとっては圧迫要因ではあるが、クロス円全般が騰勢を強めれば対ドルでも円安感が勝ってドル円が上昇に転じる可能性もあるところと考える。
【60分足一目均衡表・サイクル分析】
4月末以降は108円台前半までを下値支持線に、5月3日高値109.69円と5月13日高値109.78円をダブルトップ気味の上値抵抗線とした持ち合いの範囲にあり、5月19日夜の乱高下以降は抵抗線右下がりで下値支持線やや切り上がりの三角持ち合いの様相となっている。このため次の方向性は19日夜の高安レンジを超えるところから上下いずれへ向かうのか決まってくるのだろうと思われる。
概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルにおいては、5月19日深夜安値を直近のサイクルボトム、20日午前高値を同サイクルトップとして弱気サイクル入りしている状況と思われる。安値形成期は24日夜から26日深夜にかけての間と想定されるのでまだ一段安余地が残るが、109円を超えてくると19日以降の三角持ち合いの抵抗線突破となるため強気サイクル入りとし、20日午前高値を基準として25日の日中から27日午前にかけての間への上昇が想定される。
60分足の一目均衡表では三角持ち合いの様相での推移中のために方向性に欠けるが、108.70円を割り込んでの推移なら遅行スパン及び先行スパンの悪化が顕著となるので遅行スパン悪化中の安値試し優先とするが、109円超えからは両スパン揃っての好転となるため三角持ち合いの抵抗線突破とみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。
60分足の相対力指数は持ち合い中のため50ポイントを挟んだ揉み合いの推移となっている。60ポイント超えからは上昇再開の可能性を優先するが、40ポイント割れからは一段安を警戒する。
以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当面は5月19日の乱高下における高値109.33円を上値抵抗線、19日深夜安値108.56円を下値支持線とする。
(2)109円以下での推移中は下向きとし、24日夕安値108.68円割れからは19日深夜安値108.56円試しとし、安値更新からは5月7日夜安値108.32円試しとする。108.30円以下は反発注意とみるが、108.75円以下での推移なら26日も下向きの展開が続きやすいとみる。
(3)109円超えからは19日深夜以降の三角持ち合いの抵抗線突破となるので19日夜高値109.33円試しを想定する。材料的な押し上げ要因に欠ける場合は109.20円以上は反落注意とするが、材料を伴っての上昇なら19日夜高値超えから109円台中盤から後半を目指す流れへ向かうとみる。また109円以上での推移なら26日も高値試しへ向かいやすいとみる。
【当面の主な予定】
5/25(火)
15:00 (独) 1-3月期 GDP改定値 前期比 (速報 -1.7%、予想 -1.7%)
15:00 (独) 1-3月期 GDP改定値 前年同期比 (速報 -3.0%、予想 -3.0%)
15:00 (独) 1-3月期 GDP改定値、季調前 前年同期比 (速報 -3.3%、予想 -3.3%)
17:00 (独) 5月 IFO企業景況感指数 (4月 96.8、予想 98.2)
22:00 (米) 3月 米連邦住宅金融局(FHFA)住宅価格指数 前月比 (2月 0.9%、予想 1.2%)
22:00 (米) 1-3月期 米連邦住宅金融局(FHFA) 前期比 (10-12月 3.8%)
22:00 (米) 3月 ケース・シラー米住宅価格指数 前年同月比 (2月 11.9%、予想 12.3%)
23:00 (米) 4月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (3月 102.1万件、予想 97.5万件)
23:00 (米) 4月 新築住宅販売件数 前月比 (3月 20.7%、予想 -4.5%)
23:00 (米) 5月 コンファレンス・ボード消費者信頼感指数 (4月 121.7、予想 119.4)
23:00 (米) 5月 リッチモンド連銀製造業指数 (4月 17、予想 19)
23:00 (米) クオールズFRB副議長、上院銀行委員会証言
25:00 (英) テンレイロ英中銀委員、講演
26:00 (米) 財務省2年債入札
5/26(水)
休場、シンガポール、マレーシア、タイ、インドネシア(仏誕節・釈迦生誕日)
08:50 (日) 4月 企業向けサービス価格指数 前年同月比 (3月 0.7%、予想 0.9%)
11:00 (NZ) ニュージーランド準備銀行(RBNZ、NZ中銀)政策金利 (現行 0.25%、予想 0.25%)
09:30 (豪) 4月 ウエストパック景気先行指数 前月比 (3月 0.38%)
14:00 (日) 3月 景気先行指数CI改定値 (速報 103.2)
14:00 (日) 3月 景気一致指数CI改定値 (速報 93.1)
18:00 (仏) ヴィルロワ・ド・ガロー仏中銀総裁、仏議会証言
23:30 (米) EIA週間石油在庫統計
26:00 (米) 財務省5年債、2年物変動利付債入札
注:ポイント要約は編集部
オーダー/ポジション状況
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