トルコリラ円見通し 13円割れでの安値圏推移(21/5/25)

トルコリラ円の5月24日は12.99円から12.88円の狭い範囲での取引レンジ。

トルコリラ円見通し 13円割れでの安値圏推移(21/5/25)

トルコリラ円見通し 13円割れでの安値圏推移

〇トルコリラ円、5/24午後12.88まで下落、その後やや戻したが13円割れの水準でのレンジ取引
〇ドル/トルコリラ、5/24午後8.43まで下げるなど軟調推移、8.43から8.34の取引レンジに終始
〇5/24金融市場全般ドル安基調だったが、トルコリラは金融政策への不信任感を背景に小動きにとどまる
〇対ドル、三角持ち合い上放れでいったん戻すのか、下放れから史上最安値更新へ向かうか、試される
〇13円以下での推移中は一段安余地ありとし、12.88割れからは12.80前後への下落を想定
〇13.06超えからは、13.10前後への上昇を想定、13.10以上は反落警戒

【概況】

トルコリラ円の5月24日は12.99円から12.88円の狭い範囲での取引レンジ。5月21日が13.02円から12.92円までのレンジ推移だったところから若干レンジを切り下げ、13円割れの水準での推移にとどまっている。
5月24日午後にはこの日の安値となる12.88円まで下落、その後はやや戻したものの13円に届かずに終わった。
5月24日は欧米の主要経済指標の発表がなく、全般的には手掛かり難の推移。17時にはトルコの海外観光客数の発表がありコロナショックで激減した昨年4月からは前年比3162%増となったものの、実数は79万687人であり、2020年4月の2万4238人と比較すれば大幅増だが、2019年4月の329万3176人と比較すれば激減したままの水準で、2021年3月の90万5323人からは減っている。トルコの感染拡大第三波は終息してきており、欧米のワクチン普及により観光客数も今後は増える可能性も期待されるが、夏場の最盛期へどこまで回復できるのかを見定める必要があるところだ。

トルコリラ円見通し 13円割れでの安値圏推移

ドル/トルコリラの5月24日は8.43リラから8.34リラの取引レンジ。
5月13日安値8.51リラへ下落して4月26日安値を割り込み昨年11月6日の史上最安値8.57リラ以来の安値水準となったところからは下げ一服となったが、18日夕刻高値8.28リラからは再び失速気味の推移であり、19日夜安値8.43リラに対して24日午後も同値まで下げる等、軟調推移の範囲にある。
5月24日はビットコイン等の仮想通貨が全面高となったことをきっかけにリスク選好感が強まってNYダウが3連騰、米長期債利回りも低下したことで全般にドル安基調の推移となり、新興国通貨では南アランドが対ドルでの史上最高値を更新する強さを見せたが、トルコリラは金融政策への不信任感を背景に全般的なドル安の流れには乗れずに小動きにとどまった印象だ。

【ドル安基調に支えられるか、三角持ち合いの抵抗線を試す】

対ドルでのトルコリラは3月30日安値で8.45リラまで下げた後も4月26日安値8.48リラ、5月13日安値8.51リラへと徐々に安値を切り下げて昨年11月6日の史上最安値8.57リラへ迫ったが底割れは回避している。一方で戻り高値は4月15日の7.98リラから4月29日の8.10リラ、5月7日の8.19リラ、5月18日の8.28リラと切り下がり傾向となっており、3月30日以降は「下値支持線がわずかに切り下がり、上値抵抗線も切り下がるレンジ縮小型の三角持ち合い」の様相であり、現状は三角持ち合いの角に来ているところだ。
持ち合いは持ち合い放れに付け、というのが鉄則であり、全般的なドル安基調に支えられて5月18日高値を超えてくれば三角持ち合いの抵抗線突破となり、4月15日から切り下がってきた主要な高値を順次試し、4月15日高値7.98リラを試す可能性も出てくる。

【ドル指数の下落と原油反騰継続の逆相関とトルコリラへの影響】

メジャー通貨の加重平均であるドル指数は5月21日に89.65ポイントまで下げて1月6日安値89.21ポイント割れへの余裕が乏しくなっている。仮に底割れとなれば2017年1月と2020年3月の両高値をダブルトップとした下落の継続となり、米連銀による忍耐強い量的緩和継続姿勢を背景にドル安基調が一段と強まる可能性もある。
またこの動きはコモディティ市場全般の昨年春からの大上昇とも重なっており、特にNY原油が昨年4月の当限納会においてマイナス価格まで異常な暴落となったところを起点とした上昇を継続しているのだが、これまでの上昇角度は2008年のリーマンショック暴落後のV字反騰を2008年末から2011年5月にかけて続けた時に近い状態で推移しており、リーマンショック後のドル指数が乱高下しつつも2011年5月にかけて下落基調で推移するなど低水準にとどまったところと逆相関の動きでもあった。

現状の米消費者物価上昇率の上ブレ等、景気回復がみられる主要国においては需給ギャップを背景にインフレ傾向が顕著になりつつあるが、中国の景気回復と物価上昇に大きく影響されるアジア諸国、新興国にとっても物価上昇が顕著であり、トルコリラも通貨不安と共に物価上昇が足かせとなっている状況にある。
ドル安継続によりトルコリラが支えられるか、ドル安と共に発生している原油高騰の物価上昇にトルコリラが押しつぶされるか、トルコ中銀が物価上昇継続により利下げを我慢できるのかにより、今後のトルコリラは浮上の根拠も一段安の根拠も併せ持った状況にあるといえる。
5月31日のGDP、6月3日の物価上昇率、6月17日の中銀金融政策決定会合と続く中で、対ドルでのトルコリラが三角持ち合い上放れでいったん戻しに入るのか、持ち合い下放れから史上最安値更新へ向かうのか、試されるところだ。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、5月20日夜に強気転換目安とした13.03円を超えたために21日午前時点では19日夜安値を直近のサイクルボトムとした強気サイクル入りとした、また20日夜高値から反落していたために既に弱気サイクル入りしている可能性があるとした。
24日午後に19日夜安値と同値まで下げてからは下げ渋っているので、20日夜高値をサイクルトップとして弱気サイクル入りしたものの24日午後安値でボトムを付けて戻しているところと思われる。このため、24日午後安値割れを回避するうちは25日夜から27日夜にかけての間への上昇余地ありとするが、24日午後安値割れからは新たな弱気サイクル入りとして27日午後から31日午後にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では24日午後安値からやや戻しているために遅行スパンが好転して先行スパンへ潜り込んでいる。このため遅行スパン好転中は高値試し優先とし、先行スパンを上抜くところから上昇に勢いが出る可能性もあるとみるが、遅行スパンが再び悪化するところからは下げ再開とみて安値試し優先とする。
60分足の相対力指数は50ポイントを挟んでの揉み合いでの推移が続いている。60ポイント超えからは上向きとするが、40ポイント割れからは20ポイント台を目指す下落期入りと考える。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、5月24日午後安値12.88円を下値支持線、5月20日高値13.06円を上値抵抗線とする。
(2)13円以下での推移中は一段安余地ありとし、12.88円割れからは12.80円前後への下落を想定する。12.80円以下は反騰注意とするが、13円以下での推移なら26日以降も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.00円から13.06円手前にかけては戻り売りにつかまりやすいとみるが、13.06円超えからは13.10円前後への上昇を想定する。13.10円以上は反落警戒とするが、13.06円を超えた後も13円以上での推移なら26日も戻り高値を試しやすいとみる。ただし5月18日高値13.14円を超えない範囲にとどまるなら4月29日以降の戻り高値が切り下がる下落基調の範囲としてその後の一段安へ向かう起点となりやすいと考える。

【当面の主な予定】

5月25日
 16:00 5月 製造業景況観指数 (4月 111.0)
 16:00 5月 設備稼働率 (4月 75.9%)
5月27日
 20:30 週次 外貨準備高 5/21時点 (5/10時点 495.9億ドル)
5月28日
 16:00 4月 貿易収支 (3月 -46.5億ドル)
 16:00 5月 経済信頼感指数 (4月 93.9)
5月31日
 16:00 1-3月期 GDP 前期比 (10-12月期 1.7%)
 16:00 1-3月期 GDP 前年比 (10-12月期 5.9%)
6月1日
 16:00 5月 イスタンブール製造業PMI (4月 50.4)
6月3日
 16:00 5月 消費者物価上昇率 前月比 (4月 1.68%)
 16:00 5月 消費者物価上昇率 前年比 (4月 17.14%)
 16:00 5月 生産者物価上昇率 前月比 (4月 4.34%)
 16:00 5月 生産者物価上昇率 前年比 (4月 35.17%)


注:ポイント要約は編集部

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