ドル円、ハト派なパウエルFRB議長発言を受けて急反落。ドル売り地合い再開へ
〇ドル円海外序盤にポジション調整で109.08まで上昇するもFOMC後に108.57まで反落
〇FOMCは金融政策維持、パウエル議長はテーパリング議論開始は時期尚早とのハト派発言
〇ユーロドル、ECB総裁の経済に対する前向き発言、FOMCハト派姿勢継続で1.2135まで上昇
〇ドル円109円台前半のレジスタンス上抜けられず反落、下落トレンド再開か
〇米テーパリング観測後退、コロナ感染拡大懸念のぶり返し等ファンダメンタルズのドル売り材料も復活
〇本邦祝日中のバイデン大統領演説要注意
〇本日の予想レンジ:108.00ー109.00
海外時間のレビュー
28日(水)の外国為替市場でドル円は反落。@米長期金利上昇に伴うドル高圧力(米10年債利回りが一時1.65%へ上昇)や、A米FOMCを控えたポジション調整(パウエルFRB議長がテーパリング開始の可能性を滲ませるのではないかとの思惑)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、4/14以来、約2週間ぶり高値となる109.08まで上昇しました。しかし、注目された米FOMCにて、B金融政策の現状維持(政策金利の据え置きと債券購入プログラムの月額購入額の維持)が全会一致で決定されると、CパウエルFRB議長による「経済は雇用・インフレの目標から程遠い」「緩和の段階的縮小の議論開始は時期尚早」とのハト派的な発言や、D上記BCを背景とした米長期金利の急低下(米10年債券利回りは1.65%から1.61%へ低下)が重石となり、米国時間午後にかけて、安値108.57まで値を崩す展開となりました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間6時00分現在)では、108.59近辺で推移しております。
28日(水)のユーロドル相場は堅調な値動き。@米長期金利の上昇を背景に、欧州時間朝方にかけて、安値1.2056まで下げ幅を広げるも、前日安値(4/27安値1.2056)と同水準で下げ渋ると、AラガルドECB総裁による欧州経済に対する前向きな発言(コロナウイルスの接種が進めば、ユーロ圏経済は今年下半期に大きく成長する)や、BパウエルFRB議長による記者会見でのハト派的な発言(米長期金利低下→ドル売り)が支援材料となり、米国時間午後にかけて、2/26以来、約2ヵ月ぶり高値となる1.2135まで急伸しました。引けにかけて小反落するも下値は堅く、本稿執筆時点(日本時間6時00分現在)では、1.2125近辺で推移しております。
本日の見通し
ドル円は約2週間ぶり高値更新後に反落する展開となりました。一目均衡表基準線やボリンジャーミッドバンドが密集する109円台前半のレジスタンスを上抜けられなかったことから、テクニカル的に見て、下落トレンドの再開を意識させるチャート形状となりつつあります(ショートカバー一巡→上値の重さを再確認→ドル売り再開)。ファンダメンタルズ的に見ても、@米早期テーパリング観測の後退(パウエルFRB議長は記者会見で緩和縮小議論は時期尚早と一蹴)や、A新型コロナウイルスの感染拡大懸念(世界保健機関のカリッサ・エティエンヌ事務局長は「新型コロナウイルスのパンデミックは終息に向かうどころか加速している」と発言)など、ドル売り・円買いを想起させる材料が復活しました(ここ数日市場の材料とされていた米早期テーパリング観測と新型コロナウイルスの終息期待が共に後退)。
以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日は本邦祝日となりますが、アジア時間午前にバイデン米大統領によるキャピタルゲイン課税の詳細発表が予定されている為、米株先物の反応次第では、ドル円相場が大きく値を崩す恐れもあり、ダウンサイドリスクに注意が必要でしょう。その他海外時間には、米第1四半期コアPCE速報値や、米第1四半期GDP速報値などの重要イベントも予定されております。
本日の予想レンジ:108.00ー109.00
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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