ドル円、108円を挟んで方向感見出せず。ドル買いと円買いが綱引き状態
〇ドル円欧州朝方に107.82まで下値を広げるも持ち直し再び108円近辺での取引、方向感に欠ける
〇バイデン政権キャピタルゲイン増税報道で米株下落、主要通貨に対しリスク回避のドル買い強まる
〇ユーロドル、ECB理事会後一時1.2069まで上昇するも反落、1.20近辺での取引
〇ECB理事会での政策不変、ラガルド総裁、経済見通し楽観するも、早期テーパリング観測は後退
〇ドル円昨晩3/5安値107.82に並ぶ、4時間足で強い売りシグナル、日足でも中長期上昇トレンド終了確認
〇ファンダメンタルズも米増税報道等リスク回避ムード再開を連想させる材料増える
〇ドル買い、円買い双方が強まる中、時間差での円高警戒、本日の予想レンジ:107.40ー108.30
海外時間のレビュー
22日(木)の外国為替市場でドル円は方向感に欠ける展開。欧州時間朝方にかけて一時107.82(3/5以来、約1ヶ月半ぶり安値圏)まで下げ幅を広げるも、一目均衡表雲上限107.74をバックに下げ渋ると、米国勢参入後に持ち直す展開となりました。@バイデン米大統領によるキャピタルゲイン増税の提案(所得が100万米ドルを超える富裕層に対するキャピタルゲイン課税を39.6%へ引き上げることを提案)や、A上記@を背景としたリスク回避ムードの再燃(株式市場の下落→リスク回避のドル買い)が支援材料となり、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、107.98近辺で推移しております(リスク回避局面ではドル買いと円買いが綱引き状態となることから、ドル円は方向感を見出し辛くなる傾向あり)。
22日(木)のユーロドル相場は上昇後に反落。注目されたECB理事会では、@政策金利の据え置き(0.00%→0.00%)および、Aパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の現状維持(1.85兆EUR→1.85兆EUR)が決定されましたが、BラガルドECB総裁が記者会見で「欧州経済に対する楽観的な見方」を示すと、C米長期金利低下を背景としたドル売りも重なり、一時1.2069まで急伸する場面も見られました。しかし、DラガルドECB総裁が同記者会見で「PEPPの段階的な縮小議論は時期尚早」と発言したこと(一部で警戒されていた早期テーパリング観測が後退→ユーロ売り再開)や、Eバイデン米大統領のキャピタルゲイン課税提案を受けた株式市場の下落(リスク回避のドル買い)が重石となると、米国時間午後にかけて、安値1.1994まで反落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、本稿執筆時点(日本時間5時30分現在)では、1.2015近辺で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時107.82まで下げ幅を広げ、3/5に記録した安値107.82に並びました。240分足で強い売りシグナル(一目均衡表三役逆転)が点灯していること、日足ベースで、ダウ理論の中長期上昇トレンドの終了が確認されたこと等を踏まえると、テクニカル的に見て、地合いは弱いと判断できます(一目均衡表雲上限が切り上げってくることから、ローソク足は本日中に雲の中へ突入する公算大→投資家心理の悪化を通じて更なる下落に警戒)。ファンダメンタルズ的に見ても、新型コロナウイルスの感染拡大や、過剰流動性相場の逆流リスクに加えて、バイデン米大統領によるキャピタルゲイン課税提案など、リスク回避ムードの再開を連想させる材料が増えつつあります。
リスク回避局面では当初ドル買い・円買いで反応する為、ドル円は方向感を見出しにくくなる傾向にあるものの、最終的には、クロス円の下落を通じて、ドル円の重石になることが想定される為、やや時間差的なドル円下落に注意が必要でしょう。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の下落をメインシナリオとして予想いたします(増税を嫌気して株式市場がもう一段崩れるようなら、週末前のポジション調整も相まってドル円・クロス円が大きく値を下げる可能性あり)。
本日の予想レンジ:107.40ー108.30
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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