ドル円見通し 株安でドルストレートはドル高だがクロス円全般で円高、安値更新続く(21/4/23)

ドル円は4月22日夕刻安値で107.80円を付けて3月31日高値以降の安値を更新した。

ドル円見通し 株安でドルストレートはドル高だがクロス円全般で円高、安値更新続く(21/4/23)

ドル円見通し 株安でドルストレートはドル高だがクロス円全般で円高、安値更新続く

〇ドル円、4/22夕刻安値107.80を付け、3/31高値以降の安値を更新
〇4/19夜108.00まで下げた後徐々に安値を切り下げており、戻り高値も切り下がり続けている
〇年初からの上昇幅に対する半値押しの106.76を試す流れか
〇4/22NYダウは前日比321.41ドル安、前日の反発を解消する下落となりリスク回避感が再び強まる
〇米10年債利回り、4/22午前1.53%台から深夜に1.58%台へ上昇したが4/23早朝1.54%近辺へ失速
〇108.54以下での推移中は一段安警戒とし、107.80割れからは107.30から107.00試しとみる
〇108.54を超える反騰からはいったん戻しに入るとみて、109を目指す上昇を想定する

【概況】

ドル円は4月22日夕刻安値で107.80円を付けて3月31日高値以降の安値を更新した。4月19日夜に108.00円まで下げた後も20日午前安値107.95円、21日午前安値107.86円、22日夕安値と徐々に安値を切り下げており、戻り高値も20日夕の108.54円から21日夕の108.28円、22日深夜の108.23円と切り下がりが続いている。
4月22日は米10年債利回りが午前の1.53%台から深夜の1.58%台へと上昇したためにドル円には若干の下支えとなったが、深夜から米10年債利回りは再び低下に転じて23日早朝には1.54%近辺へ失速したためにドル円も下支えを失った。戻り高値を切り下げながら安値更新が続く展開であり、米長期債利回りの低下傾向と、世界的な感染再拡大によるリスク回避感、NYダウの反落等がドルストレートにおけるドルの買い戻しを助長し、クロス円では円の買い戻しが目立ち、ドル円においても円高が勝る展開が続いている。
年初からの上昇幅に対する3分の1押しが108.16円だったが既に割り込んでおり、半値押しの106.76円を試す流れという印象だ。

米労働省が発表した新規失業保険申請件数は前週比3万9000件減の54万7000件、市場予想の61万7000件を下回り2週連続で改善した。失業保険受給者総数は367万4000人となり市場予想の366万7000人を若干上回ったものの前週から3万4000人減少した。
米不動産業者協会(NAR)による3月の中古住宅販売件数は前月比3.7%減の601万戸で市場予想の0.8%増を下回り2か月連続のマイナスだったが、前年同月比は12.3%増、販売価格中央値は前月比5.9%増、前年同月比は17.2%増だった。
米コンファレンス・ボードによる3月の景気先行指数は前月比1.3%上昇で市場予想の1.0%上昇を上回った。

【NYダウ反落、リスク回避的ドル高とクロス円の円高】

4月22日のNYダウは前日比321.41ドル安と反落した。ダウは4月16日に3万4256.75ドルへ上昇して史上最高値を更新、終値ベースでも15日から16日へ二日連続で史上最高値を更新して先週を終えたが、世界的な感染再拡大への懸念やバイデン政権による巨額インフラ投資計画発表等による強気材料の一巡感で週明けの19日、20日と続落した。21日は316.01ドル高と反発したことでリスク選好感がいったん回復しかけたが、22日は前日の反発を解消する下落となったためにリスク回避感が再び強まった。

バイデン米大統領が富裕層に対するキャピタルゲイン税率を現状から倍近い39.6%への引き上げを提案する見通しとの報道がきっかけとなり、世界的な感染再拡大への懸念も継続していることが株安要因となった印象だ。
米10年債利回りは4月22日午前に1.53%まで低下していたが、夜にかけては1.58%までいったん戻していた。しかしNYダウの反落を見て再び低下に転じた。多少の反発を入れつつも3月30日の1.77%をピークとした低下傾向が続いていることがドル円にとっての主要な下落要因となっている。
米長期債利回りの低下はドルストレートにおいては本来ドル安要因になるが、NYダウの下落によるリスク回避感が勝る状況だと株安同調でのドル高へなびきやすい。このためクロス円全般はドル高と円高の双方からの売り圧力で圧迫される状況となっている。

4月21日の新型コロナウイルス世界新規感染者数は凡そ89万人増となり過去最大となった。22日も80万人を超える規模で世界的には第二波が第一波のピークを超えた状況にある。ワクチン接種は米英で進んでいるがユーロ圏の進捗は鈍く、フランスとドイツでは3万人前後の新規感染者が出ている。インドは日々30万人を超える爆発的な増加となっている。先週までのNYダウの楽観的な上昇の足を引っ張る動きであり、景気回復による需要増からのインフレ進行への期待も長続きしないのではないかとの懸念となり、米長期債利回りの上昇にブレーキをかけている印象もある。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、3月31日昼高値及び4月9日夜の戻り高値を起点とした下落基調が続いているが、20日午前に108円を割り込んだところから20日夕刻へいったん戻してから安値を更新したために21日朝時点では20日午前安値を直近のサイクルボトムとし、20日夕高値ですでにサイクルトップを付けて新たな弱気サイクルに入っているとして23日午前から27日午前にかけての間への下落を想定した。
22日夕刻に安値を更新してからやや戻したものの23日午前序盤には再び108円を割り込んでいるので引き続きボトム形成中とし、強気転換は20日夕高値を上抜くところからとする。

60分足の一目均衡表では19日夜へ一段安してからも安値を更新しているが下落角度が鈍っているために遅行スパンは実線と交錯を繰り返しているが、22日深夜の上昇時も先行スパンを上抜ききれずに再び転落しているため、先行スパンから転落状況が続くうちは遅行スパン悪化中の安値試し優先とし、先行スパン突破からは20日夕高値試しとし、20日夕高値超えからはいったん戻しに入るとみて遅行スパン好転中の高値試し優先とする。

60分足の相対力指数は22日深夜の上昇時に60ポイントまで戻したがその後の反落で50ポイントを割り込んでいるのでまだ一段安余地ありとし、40ポイント割れからは20ポイント台を目指す下落を想定する。強気転換は60ポイントを超えてその後も50ポイント以上を維持する展開が必要と思われる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、4月22日夕安値107.80円を下値支持線、20日夕高値108.54円を上値抵抗線とする。
(2)108.54円以下での推移中は一段安警戒とし、107.80円割れからは107円台序盤(107.30円から107.00円)試しとみる。107.25円以下は反発注意とするが、108.25円以下での推移なら週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)108.25円から108.54円手前は戻り売りにつかまりやすいとみるが、108.54円を超える反騰からはいったん戻しに入るとみて109円を目指す上昇を想定する。

【当面の主な予定】

4/23(金)
休場 トルコ
15:00 (英) 3月 小売売上高 前月比 (2月 2.1%、予想 1.5%)
15:00 (英) 3月 小売売上高 前年同月比 (2月 -3.7%、予想 3.5%)
15:00 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前月比 (2月 2.4%、予想 2.0%)
15:00 (英) 3月 小売売上高・除自動車 前年同月比 (2月 -1.1%、予想 4.5%)
16:15 (仏) 4月 製造業PMI速報値 (3月 59.3、予想 59.0)
16:15 (仏) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 48.2、予想 46.5)
16:30 (独) 4月 製造業PMI速報値 (3月 66.6、予想 65.8)
16:30 (独) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 51.5、予想 51.0)

17:00 (欧) 4月 製造業PMI速報値 (3月 62.5、予想 62.0)
17:00 (欧) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 49.6、予想 49.1)
17:30 (英) 4月 製造業PMI速報値 (3月 58.9、予想 59.0)
17:30 (英) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 56.3、予想 59.0)
22:45 (米) 4月 製造業PMI速報値 (3月 59.1、予想 60.5)
22:45 (米) 4月 サービス業PMI速報値 (3月 60.4、予想 61.9)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数・年率換算件数 (2月 77.5万件、予想 88.6万件)
23:00 (米) 3月 新築住宅販売件数 前月比 (2月 -18.2%、予想 12.0%)


注:ポイント要約は編集部

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