ドル円、一時108.00割れ。リスクオフ再燃と米長期金利低下が重石
〇ドル円米早期テーパリング観測再燃、本邦コロナ感染拡大・政局不透明感に欧州序盤に108.54まで上昇
〇その後は米長期金利低下と欧米株急落に108.10まで値を戻す
〇ユーロドルECB理事会での緩和後退観測等に1.2080まで上昇後1.20台前半に反落
〇ドル円テクニカルにはさらなる下落を意識させるチャート形状、一目均衡表の「雲」突入を試すか
〇ファンダメンタルズもダウンサイドリスク意識させる材料増える
〇本日も重要イベントなく神経質な展開か
〇本日の予想レンジ:107.70ー108.50
海外時間のレビュー
20日(火)の外国為替市場でドル円は上昇後に急反落。前日海外時間のドル売りの流れを引き継ぐ形で、東京時間朝方にかけて、安値107.97(3/5以来、約1ヶ月半ぶり安値圏。節目108.00を割り込む展開)まで下げ幅を広げるも、売り一巡後に下げ渋ると、@5・10日要因に絡むドル買い・円売り(日本時間9時55分の公表相場決定にかけてのドル不足)や、A米早期テーパリング観測の再燃(米系アセットマネジメント会社による6月FOMCでテーパリング示唆との一部報道)、Bジャパンリスク発生への警戒感(本邦における新型コロナウイルスの感染拡大+秋の自民党総裁に向けての政局不透明感)が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値108.54まで反発しました。もっとも、買い一巡後に伸び悩むと、C米長期金利低下に伴うドル売り圧力や、D欧米株の急落に伴うリスク回避ムードの再燃(株安→ドル高→クロス円下落→ドル円連れ安)が重石となり、本稿執筆時点(日本時間5時20分現在)では、108.10近辺まで値を崩す展開となっております。
20日(火)のユーロドル相場は伸び悩む展開。@4/22に予定されているECB理事会を前にしたポジション調整(ECB理事会で金融緩和姿勢が幾分後退するとの思惑。4/14にフランス中銀ビルロワドガロー総裁が「PEPPを2022年3月までに終了させることができる」と発言したこと等が背景)や、A米長期金利低下に伴うドル売り圧力が支援材料となり、欧州時間朝方にかけて、高値1.2080(3/3以来、約1ヶ月半ぶり高値圏)まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲上限をバックに伸び悩むと、B欧米株の急落を背景としたリスク回避のドル買い・円買いや、C新型コロナウイルスの感染拡大懸念が重石となり、米国時間には1.2023まで反落する場面も見られました。引けにかけて小反発するも上値は重く、本稿執筆時点(日本時間5時20分現在)では、1.2033近辺で推移しております。
本日の見通し
ドル円は一時107.97まで下げ幅を広げるなど、約1ヶ月半ぶり安値圏へと下落しました(その後108.54まで持ち直すも米国時間にかけて再び反落→上値の重さを再確認)。3/23に記録した安値108.40を下抜けたことでダウ理論で見た中長期上昇トレンドが終了したこと(投資家心理悪化)や、下位足(60分足や240分足)で売りシグナルが点灯していることなど、テクニカル的に見て、更なる下落を意識させるチャート形状となっております(目先は一目均衡表雲上限割れを試す展開を想定)。
ファンダメンタルズ的に見ても、新型コロナウイルスのグローバルな感染拡大および米中・米露対立懸念、過剰流動性相場の逆流懸念、米早期テーパリング観測の再燃リスク、リスク回避ムード再燃に伴う円高圧力(クロス円下落→ドル円連れ安)など、ダウンサイドリスクを意識させる材料が増えつつあります(リスク回避局面ではドル高と円高が並走する傾向あり。一般的に株安→ドル高→クロス円下落→ドル円連れ安の波及経路)。以上を踏まえ、当方では引き続き、ドル円相場の続落をメインシナリオとして予想いたします。尚、本日も米経済指標や米要人発言等のイベントは予定されておらず(※米20年債入札のみ)、米長期金利や株式市場の動向、新型コロナウイルスに関するヘッドラインを睨みながらの神経質な展開が予想されます。
本日の予想レンジ:107.70ー108.50
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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