ドル円見通し NYダウ大幅下落、米長期債利回り一段と上昇、ドル全面高へ急旋回(21/2/26)

ドル円は2月26日未明に106.40円まで上昇、2月17日高値106.21円を上抜いた。

ドル円見通し NYダウ大幅下落、米長期債利回り一段と上昇、ドル全面高へ急旋回(21/2/26)

ドル円見通し NYダウ大幅下落、米長期債利回り一段と上昇、ドル全面高へ急旋回

〇ドル円、2/26未明106.40まで上昇、2/17高値106.21を上抜く
〇2/25は米長期債利回り上昇、NYダウ・ナスダック大幅下落により、リスク回避感強まる
〇ユーロ・豪ドル・ポンドが対ドルで下落、ドル買い戻しの動きで全面高
〇VIX指数も急上昇、目先の上昇一巡による調整期入りとなる可能性も
〇ドル円、クロス円全般の円高圧力と米長期債利回り上昇による円安圧力、いずれが勝るのか試される
〇106円以上での推移のうちは上昇余地あり、106.70超えからは107円台序盤を目指す流れとみる
〇105.80割れからはいったん下げに入るとみて、105.50前後への下落を想定する

【概況】

ドル円は2月26日未明に106.40円まで上昇、2月17日高値106.21円を上抜いた。深夜に106.00円まで一時的に反落したものの早々に切り返しており、1月6日底からの上昇基調の継続感を強めている。26日午前序盤には26日未明高値を超えてきている。
2月25日は米長期債利回りが一段と上昇、NYダウとナスダックが大幅下落、リスク回避感が急激に強まったことで直前まで上昇していたユーロや豪ドルが下落、24日午前に急伸した後に伸び悩んでいたポンドが下落するなどドル買い戻しの動きで全面高となったことがドル円を押し上げるとともに日米金利差面での上昇も継続したことで高値更新に至った印象だ。米国株式市場の急落と主要通貨の急落が一時的なものなのか継続するのか、週末夜の米国市場の展開が重要になってきたと思われる。

米商務省が発表した2020年10-12月期のGDP改定値は年率換算で前期比4.1%増、速報値の4.0%増から上方修正された。個人消費は2.4%増で速報値の2.5%増から下方修正、設備投資は14.0%増で速報値の13.8%増から上方修正。1月の米耐久財受注は前月比3.4%増で市場予想の1.1%増を大幅に上回った。
米労働省が発表した2月20日までの週間新規失業保険申請は前週比11万1000件減少して73万件、2週連続の改善で市場予想の83万8000件を下回った。失業保険受給者総数は2月13日までの週間で441万9000人、前週比10万1000人減少して市場予想の446万7000人を下回った。
米不動産業者協会(NAR)が発表した1月の中古住宅販売仮契約指数は前月比2.8%低下となり市場予想の横ばいを下回った。

【米長期債利回りが一段と上昇、VIX指数も急上昇、短期的調整か基調転換か注目】

2月25日のNYダウは前日比559.85ドル安と5日ぶりに大幅下落、ナスダック総合指数も478.54ポイント安と反落した。この日発表された米GDP改定値などの米経済指標は概ね良好だったものの、米7年債の大量入札が不調だったとして米長期債利回りが一段と上昇、金利上昇を警戒してナスダック総合指数が下げ、NYダウも高値警戒感から利益確定売りが急がれた。
米10年債利回りは一時1.60%へ一段と上昇、前日比0.15%高の1.53%で終えた。米30年債利回りは同0.05%上昇の2.28%となった。投資家の不安心理の指標として恐怖指数と言われている米シカゴ・オプション取引所のVIX指数は前日比35%上昇の28.89となった。VIX指数は今年1月後半にかけてと昨年10月末にかけて急騰しているが、NYダウは1月21日高値31272.22ドルから1月29日安値29856.30ドルへ数えで7日間の下落、昨年10月12日高値28957.90ドルから10月30日安値26143.77ドルへ15日間の下落となっている。去年の6月や9月の急落時もVIX指数の急上昇期だった。

株安と米長期債利回りが一段と上昇したことでユーロドルは25日夜まで上昇していたところから急落、ポンド/ドルは24日午前に急騰したところから上げ渋っていたが26日未明へ急落、昨年3月来最高値を更新してきた豪ドル米ドルも25日夜から急落に転じた。これまでは米長期債利回りが上昇しても主要国の長期債利回りも同調して上昇してきたことで金利差面でのドル買い圧力は限定的で、それよりも株高と同調したリスク選好的な投機通貨買いという流れが優先されてきた。しかしVIX指数の急上昇場面では昨年6月や9月から10月にかけて主要通貨は大きな調整安を入れており、今回も目先の上昇一巡による調整期入りとなる可能性が考えられる。

ドル円にとってはリスク回避的なドル買いの動きによる上昇圧力、米長期債利回り上昇による金利差面での上昇圧力がかかる一方、クロス円全般の下落度合いによっては円高がドル高に勝る展開となりかねない。昨年6月や9月から10月にかけてのNYダウの下落局面では円高反応が勝った展開となったが、今回は当時よりも米長期債利回り上昇レベルが上がっているので、クロス円全般の円高圧力と米長期債利回り上昇による円安圧力のいずれが勝るのか試される。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、2月17日午前高値と17日深夜高値をダブルトップとして下落期に入っていたが、2月24日深夜へ106円台に到達するところまで反騰したために25日朝時点では2月23日午前安値を起点とした強気サイクル入りとした。また高値形成期は2月17日のダブルトップを基準とすれば25日にかけての間としたが、高値形成期の延長入りによる上昇余地があるとして105.50円以上での推移中は一段高へ進む可能性があるとした。26日午前も続伸中のため引き続きトップ形成中とし、26日の日中から3月1日にかけて間への上昇余地ありとする。106円割れからは弱気転換注意とし、105.80円割れからは弱気サイクル入りとみて26日午後から3月2日の日中にかけての間への下落を想定する。

60分足の一目均衡表では2月23日午前安値からの反発で遅行スパンが好転し、24日午前には先行スパンも上抜いた。その後も両スパン揃っての好転が続いているので遅行スパン好転中は高値試し優先とするが、高値更新が続かないと遅行スパンは悪化しやすくなると注意し、遅行スパン悪化からは下げ再開とみて安値試し優先とする。

60分足の相対力指数は2月24日深夜高値時に80ポイントに到達した後も相場が高値を更新しているものの指数のピークが切り下がる弱気逆行に入っている。50ポイント台を維持するうちは上昇余地ありとし、70ポイント超えからは再び80ポイントに迫る可能性があるとみるが、50ポイント割れからはいったん下げに入るとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、106.00円を下値支持線、106.70円を上値抵抗線とする。
(2)106円以上での推移か一時的に割り込んでも回復するうちは上昇余地ありとし、106.70円超えからは107円台序盤を目指す流れとみる。107円到達では反落警戒とするが、106.20円以上での推移なら週明けも高値試しへ向かいやすいとみる。
(3)105.80円割れからはいったん下げに入るとみて105.50円前後への下落を想定する。105.50円以下は反騰注意とするが106円割れの状況が続く場合は週明けも安値試しへ向かいやすいとみる。

【当面の主な予定】

2/26(金)
14:00 (日) 1月 新設住宅着工戸数 前年同月比 (12月 -9.0%、予想 -1.9%)
16:45 (仏) 10-12月期 GDP改定値 前期比 (速報 -1.3%、予想 -1.3%)
17:30 (欧) シュナーベルECB理事、講演
21:30 (英) ラムスデン英中銀副総裁、講演
22:30 (米) 1月 個人所得 前月比 (12月 0.6%、予想 9.5%)
22:30 (米) 1月 個人消費・PCE 前月比 (12月 -0.2%、予想 2.2%)
22:30 (米) 1月 PCEデフレーター 前年同月比 (12月 1.3%、予想 1.4%)
22:30 (米) 1月 PCEコア・デフレーター 前月比 (12月 0.3%、予想 0.1%)
22:30 (米) 1月 PCEコア・デフレーター 前年同月比 (12月 1.5%、予想 1.4%)
23:45 (米) 2月 シカゴ購買部景況指数 (1月 63.8、予想 61.0)
24:00 (米) 2月 ミシガン大学消費者信頼感指数確報値 (速報 76.2、予想 76.5)


注:ポイント要約は編集部

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