米追加経済対策とワクチン期待でリスクオン相場継続か
〇ドル円日米の良好な指標、株式市場のリスク選好ムードに週央にかけ106.22まで上昇
〇その後FOMC議事要旨でテーパリング議論がなかったことをきっかけに105.45付近まで値を崩す
〇ユーロドルリスク選好の流れに1.2170まで上昇後、米指標好調、長期金利の急上昇に1.2023まで反落
〇ドル円反落は一時的、テクニカルファンダメンタルズともに強く一巡後反発か
〇ユーロドルは方向感に欠けるもファンダメンタルズ主導で上昇予想
〇来週の予想レンジ(USDJPY):104.25ー106.75(EURUSD):1.2000−1.2250
今週のレビュー(2/15−2/19)
<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初105.00で寄り付いた後、@本邦第4四半期GDP速報値(結果3.0%、予想2.4%)の力強い結果や、A新型コロナワクチンの国内到着に伴う楽観ムード(早期収束期待)、B日経平均株価の約30年ぶり高値更新(心理的節目3万円台の回復)、C米政府による追加経済対策期待、D世界的な株高・米長期金利上昇、E200日移動平均線突破に伴うテクニカル的な買い圧力、F米1月生産者物価指数(結果2.0%、予想1.1%)の伸び率加速、G米1月小売売上高(結果5.3%、予想1.0%)の力強い結果が支援材料となり、週央にかけて、週間高値106.22まで上昇しました(昨年9/11以来、約5カ月ぶり高値圏)。
しかし、H注目された米FOMC議事要旨にサプライズが見られなかったこと(テーパリングに関する議論なし→早期テーパリング観測後退→ドル売り)が材料視されると、I米経済指標(米1月住宅着工件数や米新規失業保険申請件数)の冴えない結果や、J上記Eの逆流(200日移動平均線を割り込んだことに伴うロスカット)が重石となり、本稿執筆時点(午前6時00分現在)では、105.45近辺まで値を崩す展開となっております。尚、米10年債利回りは週末にかけて約1年ぶり高水準となる1.36%まで急上昇しました(今年1/4に記録した0.91%から既に45bp上昇)。
<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.2123で寄り付いた後、@株高を背景としたリスク選好のドル売り・円売りや、Aイタリアを巡る政局不透明感の後退(ドラギ前ECB総裁がイタリアの首相に就任)、Bユーロ圏第4四半期GDP改定値の予想比改善、Cドイツ2月ZEW景況感調査(結果71.2、予想59.5)の力強い結果、D欧州圏(ドイツやフランスなど)の長期金利上昇が支援材料となり、翌2/16にかけて、約3週間ぶり高値となる1.2170まで上昇しました。
しかし、1/22に記録した直近高値1.2191をバックに伸び悩むと、E米経済指標の良好な結果や、F米長期金利の急上昇、Gドラギ首相がイタリア経済に対して悲観的な見方を示したこと、H英国と欧州における新型コロナワクチンの接種格差(ユーロポンドの下落→ユーロドル連れ安)が重石となり、週央にかけて、週間安値1.2023まで急落しました。もっとも、心理的節目1.2000をバックに下げ渋ると、Iユーロ圏2月消費者信頼感指数の持ち直しや、Jドイツ及びフランスの2月PMI速報値の力強い結果が支援材料となり、本稿執筆時点(午前6時00分現在)では1.2120近辺まで持ち直す動きとなっております。
来週の見通し(2/22−2/26)
<ドル円相場>
ドル円は1/6に記録した安値102.58をボトムに反発に転じると、今週半ばにかけて、約5カ月ぶり高値となる106.22まで急伸しました。この間、一目均衡表基準線や転換線、200日移動平均線を上抜けした他、強い買いシグナルを示唆する三役好転も点灯するなど、テクニカル的に見て、地合いは強いと判断できます。週末にかけて値を崩すも、上昇トレンドの過程で見られる一時的な押し目と考えられることから、一巡後の反発が期待されます(ダウ理論で見ても、1/6安値102.58→1/11高値104.40→1/21安値103.32→2/5高値105.78→2/10安値104.41→2/17高値106.22といった形で高値と安値を同時に切り上げる上昇トレンドが継続中)。
ファンダメンタルズ的に見ても、@バイデン新政権による追加経済対策期待(1/26に米上院で新型コロナ対策法案の採決)や、A新型コロナウイルスの収束期待(ワクチン普及率の上昇)、B上記@Aを背景としたリスク選好ムード(株高と米長期金利上昇が併存→リスク選好の円売り+米長期金利上昇に伴うドル高)、C来月の日銀金融政策決定会合(政策点検)でマイナス金利の深堀余地を明確化する可能性が高まっていること等、ドル円相場の上昇を意識させる材料が増えつつあります。
以上の通り、ドル円相場は、テクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、上昇リスクが期待されます。2/23に予定されている米2月コンファレンスボード消費者信頼感指数や、2/23・2/24の2日に亘り開催されるパウエルFRB議長の議会証言(最近の米長期金利急騰に対してどのような姿勢を見せるかに注目。テーパリング観測を否定しつつ、金融緩和の長期化を強調するいつものお決まりのパターンだと市場が「催促相場=当局の意図に反して米長期金利上昇→ドル高を促す展開」に持ち込む可能性もあり要注意)、2/25の米第4四半期GDP改定値、2/26の米1月PCEデフレータおよび米上院での新型コロナウイルス救済法案の採決(共和党の反対を通じた協議難航リスクに警戒)を睨みながらも、当方では引き続き、ドル円相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします。
来週の予想レンジ(USDJPY):104.25ー106.75
<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は方向感に欠ける値動きが続いております。今週も、2/16高値1.2170→2/17安値1.2023→2/19高値1.2150といった形で振れを伴いながらも上下共に抜け切れないレンジ相場となりました(一目均衡表・雲の中でもがく展開)。但し、来週は一目均衡表・雲の幅が一段と狭まることから、どちらか一方に抜けやすくなると考えられます(ここ最近の膠着相場でエネルギーが溜まっている分、大きなトレンドを形成する可能性あり)。
ファンダメンタルズ的に見ると、@イタリアを巡る政局不透明感の後退(ドラギ前ECB総裁がイタリアの新首相に就任)や、A欧州経済の持ち直し期待(今週発表されたドイツ2月ZEW景況感調査や、ドイツ及びフランスの2月PMI速報値が軒並み力強い結果)、B株高を背景としたリスク選好のドル売り・円売り圧力、Cユーロ高牽制発言に対する感応度の低下(市場参加者は既に欧州当局者のユーロ高牽制発言に反応せず。今後は当局の意図に反してユーロ高が加速する可能性あり)等、ユーロドルの上昇を意識させる材料が増えつつあります。
以上の通り、ユーロドル相場は、ファンダメンタルズ主導の上昇が期待されます(一目均衡表雲上限1.2202を突破できれば、テクニカル的にも買いシグナル点灯)。2/22に予定されているドイツ2月IFO景況感指数やラガルドECB総裁基調講演、2/25のユーロ圏2月欧州委員会景況指数を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の上昇をメインシナリオとして予想いたします(今週発表された欧州経済指標が軒並み力強い結果を示したことから、来週も欧州経済の回復期待→ユーロ上昇の波及経路に注意)。
来週の予想レンジ(EURUSD):1.2000−1.2250
注:ポイント要約は編集部
ドル円日足
オーダー/ポジション状況
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