来週の為替相場見通し:『リスク回避の株安・クロス円下落に要警戒』(1/16朝)

ドル円は104.30ー104.40ゾーンに密集するレジスタンス(抵抗帯)を抜けられず失速すると、結局103円台後半での越週となりました

来週の為替相場見通し:『リスク回避の株安・クロス円下落に要警戒』(1/16朝)

今週のレビュー(1/11−1/15)

〇ドル円今週は米長期金利の動きにつれ104.39まで上昇後に103円台半ばから後半に下落
〇ユーロドルは欧州のロックダウン長期化懸念とECB周辺のユーロ高牽制発言等で1.2075まで急落
〇ドル円104.30-40に密集するレジスタンスを抜けられずに反落
〇ファンダメンタルズ的にはFRB議長のハト派発言等一時強まった早期テーパリング観測弱まる
〇来週は中国主要経済指標、バイデン大統領就任式等控え、ボラティリティ上昇要警戒
〇来週の予想レンジ(USDJPY):102.50ー105.00、(EURUSD):1.1950−1.2200

<ドル円相場>
今週のドル円相場(USDJPY)は、週初103.89で寄り付いた後、@ブルーウェーブ確定後の米長期金利上昇(米10年債利回りは昨年3月以来、約10ヵ月ぶり高水準へ急上昇)を背景に、週明け早々に、昨年12/10以来となる高値104.39まで上昇しました。しかし、一目均衡表雲下限をバックに伸び悩むと、A米10年債入札の好調な結果や、B上記Aを背景とした米長期金利の急低下、C米当局者による相次ぐハト派的な発言、Dトランプ米大統領の弾劾裁判を巡る警戒感が重石となり、週央にかけて、約1週間ぶり安値となる103.53まで反落しました。

その後も、E米30年債入札の好調な結果や、F米経済指標(米新規失業保険申請件数や米12月小売売上高、米1月ニューヨーク連銀製造業景況指数など)の冴えない結果、GパウエルFRB議長による「インフレや不均衡が無い限り利上げはしない」「利上げ時期は近くない」「出口戦略について話すのは時期尚早」とのハト派的な発言(早期テーパリング観測の後退)が重石となり、結局103.89近辺での越週となっております。尚、今週はバイデン次期大統領による経済対策案(1.9兆ドル≒197兆円)が発表されましたが、市場予想の範囲内であったことから、相場への影響は一時的なものに留まっております。

<ユーロドル相場>
今週のユーロドル相場(EURUSD)は、週初1.2217で寄り付いた後、早々に週間高値1.2227まで上昇しました。しかし、一目均衡表基準線に続伸を阻まれると、@欧州圏における新型コロナウイルスの感染拡大(欧州経済の先行き不透明感)や、A上記@を背景としたロックダウンの長期化懸念(フランスは夜間外出禁止令の開始時間前倒し。ドイツもロックダウンを一段と強化する意向を表明)、B欧州当局者(ラガルド総裁やビルロワドガロー仏中銀総裁)によるユーロ高牽制発言、CECBによる根強い追加緩和観測、D欧米株の下落を背景としたリスク回避のドル買い圧力、E欧州圏における政局不透明感の高まり(イタリアのレンツィ元首相が連立与党からの離脱を示した他、エストニアのラダス政権の総辞職。オランダのルッテ政権もスキャンダルを巡って総辞職の公算大)が重石となり、週後半にかけて、約1ヵ月ぶり安値となる1.2075まで急落しました。引けにかけて小反発するも戻りは鈍く、結局1.2080近辺での越週となっております。

来週の見通し(1/18−1/22)

<ドル円相場>
ドル円は104.30ー104.40ゾーンに密集するレジスタンス(抵抗帯)を抜けられず失速すると、結局103円台後半での越週となりました(104円台を維持できず失速→上値の重さを再確認。上目線が強かっただけに、見切り売りや失望売りを誘発)。移動平均線の弱気のパーフェクトオーダーも継続する中、テクニカル的に見て、下落トレンドの継続を意識させるチャート形状となっております。

ファンダメンタルズ的に見ても、パウエルFRB議長をはじめ米当局者が相次いでハト派的な発言を繰り返すなど、トリプルブルー確定後に強まった早期テーパリング観測の逆流が見られました(米長期金利の伸び悩み→ドル売り)。また、新型コロナウイルスの感染拡大や、米経済指標の冴えない結果、欧米株の下落など、リスク回避の円買いを想起させる懸念材料も増えつつあります(クロス円下落→ドル円連れ安)。

以上を踏まえ、当方では、ドル円相場の下落を予想いたします(米長期金利が下がった場合はドル売り主導でドル円下落。米長期金利が上がった場合は、株安・クロス円下落を通じてドル円下落。いずれのケースにおいてもドル円は下落しやすい環境となりつつある)。尚、来週は、米国祝日中の1/18に中国の主要経済指標(第4四半期GDP、鉱工業生産、固定資産投資、小売売上高)が発表される他、1/20にはバイデン次期大統領の就任式(混乱が生じた場合はドル売りが広がる恐れあり)も控えている為、ボラティリティの上昇に注意が必要でしょう(直近安値103.53を割り込んだ場合は、短期筋のロスカット主導で一気に心理的節目103.00を試す可能性あり)。

来週の予想レンジ(USDJPY):102.50ー105.00

<ユーロドル相場>
ユーロドル相場は、週末にかけて節目1.2100の大台を割り込み、約1ヵ月ぶり安値となる1.2075まで急落しました。この間、日足ローソク足が一目均衡表転換線やボリンジャーミッドバンド、一目均衡表基準線を下抜けするなど、テクニカル的に見て、地合いの弱さを印象付けるチャート形状となっております(11月以降続いた上昇トレンドの終焉を示唆。目先は1.20台前半に位置する一目均衡表雲上限や、心理的節目1.20丁度を試すシナリオを想定)。

ファンダメンタルズ的に見ても、欧州全域における新型コロナウイルスの感染拡大や、それに伴うロックダウンの長期化リスク(欧州経済の先行き不透明感)、欧州当局者によるユーロ高牽制発言、ECBによる根強い追加緩和観測、欧州圏の政局不透明感など、ユーロドルの下落を想起させる懸念材料が増えつつあります。

以上の通り、ユーロドル相場はテクニカル的にも、ファンダメンタルズ的にも、続落リスクが警戒されます。12/21に発表されるECB理事会では現行政策の現状維持が見込まれるものの、足元のユーロ高に伴うインフレ鈍化を受けて、何かしらの措置(マイナス金利の深掘り等)を講ずる恐れもあるため、油断は禁物でしょう。その他にも、来週は12/19に発表されるドイツ1月ZEW景況感調査や、12/22のユーロ圏消費者信頼感指数、ユーロ圏1月製造業及びサービス業PMI速報値など欧州圏のイベントが目白押しとなります(冴えない数字が見られれば、ユーロドルが心理的節目1.2000を割り込む恐れあり)。米長期金利の動向や欧米株の動き、欧州の政局動向を睨みながらも、当方では引き続き、ユーロドル相場の下落をメインシナリオとして予想いたします。

来週の予想レンジ(EURUSD):1.1950−1.2200

注:ポイント要約は編集部

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