2019年のNZドル対米ドルの見通し

ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の両面から2019年のNZドル対米ドルの見通しをしてゆきます

2019年のNZドル対米ドルの見通し

ファンダメンタルズ分析

*****************************************************************************
「FX羅針盤」の年明けの年間相場予想、ワカバヤシFXの橋本さんのニュージーランドドル年間見通しです。年末にかけてNZの市場金利上昇の可能性からニュージーランドドル反発局面を迎えるか?(編集部)
*****************************************************************************

ファンダメンタルズ分析

米・NZのGDP
図@とA(移動平均線)はNZと米国のGDP比較ですが、2018年にNZと米国の成長が逆転しています。現状ではまだこの傾向が続きそうです。

ファンダメンタルズ分析 2枚目の画像

図BのIMF(上)やNZ中銀(下)の2019年以降の予想値から見ると、今年の年内どこかのタイミングでNZ>米国の可能性が強くなっています。特にIMF予想(2018年10月時点の予想)では2019年以降はその成長率格差が拡大することになっています。またIMFとNZ中銀の2020年、2021年のGDP予想はほぼ同じ推移を辿っています。(オレンジ色矢印)

ファンダメンタルズ分析 3枚目の画像

図CはNZ統計局作成の2018年直近までの消費者物価指数を示したものです。
2019年以降はNZ中銀の予想インフレになっています。
内訳は灰色の網掛けが中銀のインフレ目標レンジ、青が通常の消費者物価指数(ないし総合消費者物価指数)、赤がコアの消費者物価指数を示しています。予想を見ると、2020年から中銀目標値の中間以上(2%)になることが見込まれています。それでも上限の3%方向に行く気配が見えてこないと金融引き締めへの転換はなさそうです。

ファンダメンタルズ分析 4枚目の画像

そして、図Dでは、NZ中銀は先々の政策金利上げの予想をしています。中央の青が現状のままの経済成長予想で進んだ場合を示し、利上げ開始は2020年から緩やかな利上げを見ている様です。オレンジ色はインフレが現状より高進した場合、緑が弱い成長になった場合の想定となっています。

(図Bの下段、図C、図Dの出所はNZ中銀)

ファンダメンタルズ分析 5枚目の画像

米・NZ政策金利推移

図EはNZと米国の政策金利差ですが、2018年に逆転した金利差は、まだ拡大傾向を辿る見込みとなっています。しかしながら、米国は利上げ回数を1〜2回に減少させる一方で、NZは図Dでみたように、2020年以降には利上げ開始のタイミングを図る可能性が強くなっています。
従って、2019年後半からの経済指標次第では、市場金利が先に動意を示すタイミングに入るかもしれず、NZと米国の金利差が縮小開始されるかもしれません。勿論、年央以降の両国経済指標次第となりますが、この辺りのフローの変化には注意したいところです。

以上から、ファンダメンタルズを見ると、GDP成長率がNZと米国であまり大差ない中で、当面は、NZが緩和傾向を維持、米国は引き締め傾向を続けていく訳ですから、金利面を見ると、年前半は金利差拡大が見込まれます。この意味ではまだ米ドル選好が続きそうです。しかしながら、利上げにより、将来の実態経済に与える影響は米国の方が厳しいものになる可能性があります。

テクニカル分析

テクニカル分析

NZドル/米ドルの月足チャート(2019年1月29日現在)

大きなトレンドはNZドル高を継続しており、ラインA(青)に守られています。抵抗線は緑のラインBに2回抑えこまれています。そのレンジ内で、赤のラインCは2009年からNZドル高を形成していましたが、昨年そのラインCを下抜いたことで、最大ラインA(今月末の底値で0.6130〜40米ドル)までの下押し先行が続いています。この間、新たなNZドル安トレンドラインのDとEが出来ています。このトレンドラインのレンジは今月末現在0.6310〜0.7070になっています。
今年前半の中心はラインDとEとのNZドル安トレンドになると思います。特に年前半は米・NZの金利格差拡大思惑が継続していますので、NZドルが弱い見込みになります。
当面はラインEに接した2018年安値0.6420、2015年安値0.6190〜0.62(緑の横線)がサポートになります。後者はラインAの今月サポート水準である0.6130〜40が、月を経過するごとに0.62米ドルに近づくことになります。

一方、もし現在のNZドル下で戻りを試している段階で、上値がラインDを抜けた場合には、中期的なNZドル安は終了し、0.75〜0.76方向(黒の横線)の流れに入ります。抵抗線が0.7070付近ですので、騙しを考慮しても0.71を越えての週足終値で確認した方が良いかと思います。完全に確認するには、次の週足ラインHの0.7240〜50越えがより安全になります。1年で約200ピップス下がってきます。

テクニカル分析 2枚目の画像

NZドル/米ドルの週足チャート(2018年1月29日現在)

上図は週足チャートです。昨年前半にラインFとGのNZドル高トレンドを下抜いたことで、現在はその起点であるラインFの底値までを狙える流れにいます。これは上記月足の0.6190〜0.62と同じレベルになります。とはいえ、その流れはラインHとH@のNZドル安トレンドに沿っての動きが予想されます。しかもNZドル安とはいえ、当面では2018年底値0.6420付近がダブルボトムとしてサポートが効いています。もしここを破れずにラインH(現在0.7240〜50)の抵抗線を上値にして収斂すると、ファンダメンタルズの状況変化によっては上抜けし易くなります。年前半のNZドルが弱い状態で、この最初のサポート0.6420付近が維持されるか、ラインHのトレンドに従って戻ってから下がるかをウォッチしていきます。

2019年見通し

2019年のNZドル・米ドルの年初は週足・月足のNZドル安に沿って、下限をどこまでトライできるかとなり、年央〜年末にかけて、経済指標のフロー次第でNZの金利に目が向くようですと、底打ちして反転する可能性が広がります。
2020年にはGDPでみても、政策金利の動向みても、NZ>米国になる可能性が高まりますので、2019年中にどこまでNZドルが売られるのかを探る展開が先行しそうです。ラインA割れだけ注意しておきたいとことです。レンジとしては0.64〜0.75米ドルを予想します。

関連記事

「FX羅針盤」 ご利用上の注意
掲載している情報の正確性については万全を期しておりますが、その内容を保証するものではありません。
掲載している商品やサービス等の情報は、各事業者から提供を受けた情報または各事業者のウェブサイト等にて公開されている特定時点の情報をもとに作成したものです。
当サイトはFXに関する情報の提供を目的としています。当サイトは、特定の金融商品の売買等の勧誘を目的としたものではありません。
FXに関する取引口座開設、取引の実行並びに取引条件の詳細についてのお問合せ及びご確認は、利用者ご自身が各FX取扱事業者に対し直接行っていただくものとします。また、投資の最終判断は、利用者ご自身が行っていただくものとします。
当社はFX取引に関し何ら当事者または代理人となるものではなく、利用者及び各FX取扱事業者のいずれに対しても、契約締結の代理、媒介、斡旋等を行いません。したがって、利用者と各FX取扱事業者との契約の成否、内容または履行等に関し、当社は一切責任を負わないものとし、FX取引に伴うトラブル等の利用者・各FX取扱事業者間の紛争については両当事者間で解決するものとします。
当社は、当サイトにおいて提供する情報の内容の正確性・妥当性・適法性・目的適合性その他のあらゆる事項について保証せず、利用者がこれらの情報に関連し損害を被った場合にも一切の責任を負わないものとします。
当サイトにおいて提供する情報の全部または一部は、利用者に対して予告なく、変更、中断、または停止される場合があります。
当サイトには、他社・他の機関のサイトへのリンクが設置される場合がありますが、当社はこれらリンク先サイトの内容について一切関知せず、何らの責任を負わないものとします。
当サイト上のコンテンツに関する著作権は、当社もしくは当該コンテンツを創作した著作者または著作権者に帰属しています。
当社は、当社の事前の許諾なく、当サイト上のコンテンツの全部または一部を、複製、改変、転載等により利用することを禁じます。
当サイトのご利用に当たっては上記注意事項をご了承いただくほか、FX羅針盤利用規約にご同意いただいたものとします。

ページトップへ戻る