トルコリラ円一時13円を割り込む、トルコ中銀利上げで買い材料一巡、下げ再開か(20/11/25)

トルコリラ円は11月24日夕刻安値で12.92円をつけて23日深夜安値13.00円を割り込んだ。

トルコリラ円一時13円を割り込む、トルコ中銀利上げで買い材料一巡、下げ再開か(20/11/25)

トルコ円一時13円を割り込む、トルコ中銀利上げで買い材料一巡、下げ再開か

〇トルコリラ円、24日夕刻安値で12.92をつける。13円割れは11月11日以来
〇トルコ中銀による大幅利上げで当面のリラ反騰材料は出尽くしリラ売り再開の動き
〇対ドルでは25日未明に8.02を付けて安値更新
〇製造業景況指数、11月103.9で10月108.1から悪化、市場予想の109.0も下回る
〇24日夕安値12.92割れからは12.70前後への下落を想定
〇13.15超えからは戻り試しに入るとみて13.30前後への上昇を想定

【概況】

トルコリラ円は11月24日夕刻安値で12.92円をつけて23日深夜安値13.00円を割り込んだ。13円割れは11月11日以来。日足は11月20日から3日連続の陰線(三羽烏)となり、トルコ中銀による大幅利上げで当面のリラ反騰材料は出尽くしたとしてリラ売り再開の動きに入っている印象だ。
24日夕刻の13円割れからはやや戻して13円台を回復しているものの13.10円に届かない程度の推移にとどまっている。
対ドルでのトルコリラは11月19日のトルコ中銀利上げ時に7.48リラまで反騰したが、そこで戻り一巡となり20日深夜には利上げ前の水準へ失速、23日深夜には7.94リラまで続落となり11月11日以来の安値水準となったが、25日未明には8.02リラをつけて安値を更新、その後も安値圏に留まっている。対ドルでのトルコリラも日足は3日連続陰線での下落であり、11月6日安値からの反騰幅のおよそ半値を解消している。

【さらなるリラ防衛策を催促するリラ売り再開】

エルドアン大統領は11月7日にトルコ中銀総裁を更迭、8日には娘婿の財務相が辞任を表明して交代するなどにより金融当局トップの入れ替えによるテコ入れを行い、市場はリラ防衛へ動くのではないかとの思惑からリラの買い戻しに動き、トルコリラ円は11月6日安値11.99円から11月13日高値13.82円まで反騰した。リラに対して総弱気だったところでのサプライズニュースにより売り方が慌ててポジション調整的なリラ買い戻しに動いた結果と思われる。
市場の期待通り、トルコ中銀新総裁は政策金利を15%へ引き上げたが、これは市場の予想通りであり、19日当日は直前安値から反騰したものの11日高値と同値にとどまってダブルトップ型となり、その後はジリ安の推移に陥って23日夜には利上げ前水準を割り込んだ。

23日の下落では、当日発表された10月の海外観光客数が前年同月比でマイナス59.4%にとどまり回復が見られなかったことへの失望もあったと思われる。
24日には製造業景況指数の発表があり、11月は103.9となり10月の108.1から悪化、市場予想の109.0も下回ったことがリラ売り感を強めた印象だ。同時に発表された11月の設備稼働率は75.8%で10月の75.4%から若干上昇、市場予想と一致したが、リラを浮上させる要因にはならず。

中銀の利上げによる上昇を早々に解消して下落し始めたことにより、トルコ中銀はさらなる利上げへ進むのか次回会合で試される。また国内景気対策を力強く推進できるかどうか、新財務相の早急な方針表明と実行も求められる。外貨準備高不足、経常赤字と観光収入の激減、国内の感染拡大第二波到来、地政学的リスクにおいてもナゴルノ紛争はひとまず終結したもののリビアやシリア、ギリシャとの東地中海ガス田開発での対立、ロシア製ミサイル導入によるNATO内での批判や制裁懸念、バイデン新政権発足からトルコ批判が強まることへの懸念等、難問も山積みとなっている。

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

【60分足一目均衡表・サイクル分析】

概ね3日から5日周期の短期的な高値・安値形成サイクルでは、11月19日夜の中銀利上げからの反騰により、利上げ直前の19日夕安値を直近のサイクルボトムとしていったん反騰入りしたが、13日夕高値と19日夜高値でダブルトップ型を形成して反騰幅の半値以上を削って下落期に入り、23日の一段安により弱気サイクル入りとなった。安値形成期は24日夕から26日夕にかけての間と想定されるので、24日夕安値でボトムを付けた可能性もあるが、13.15円を下回るうちはもう一段安への懸念が残る。13.15円超えからはリバウンドに入るとみて25日の日中から26日夜にかけての間への上昇を想定するが、戻りは短命の可能性があると思われる。

60分足の一目均衡表では20日深夜の反落で両スパンそろって悪化し、23日の一段安からも両スパン揃っての悪化が続いている。新たな安値更新を回避して推移すれば25日夕刻には遅行スパンが好転しやすくなるが、先行スパンを超えないうちは一時的に遅行スパンが好転してもその後に悪化するところから下げ再開とみる。

60分足の相対力指数は23日夜の下落で20ポイント台序盤へ低下したが、24日夕刻の一段安では指数のボトムが切り上がっているため強気逆行の可能性がある。50ポイントを超えてくればいったん戻しに入るとみるが、50ポイントを超えないうちはまだ一段安余地が残るとみる。

以上を踏まえて当面のポイントを示す。
(1)当初、11月24日夕安値12.92円を下値支持線、13.15円を上値抵抗線とする。
(2)13.15円以下での推移中は一段安余地ありとし、12.92円割れからは12.70円前後への下落を想定する。12.75円以下は反騰注意とするが、13.15円以下での推移が続く場合は26日も安値試しへ向かいやすいとみる。
(3)13.15円超えからは戻りを試しに入るとみて13.30円前後への上昇を想定するが、13.30円以上は戻り売りにつかまりやすいとみる。

【当面の主な経済指標等の予定】

11月26日
 20:00 トルコ中銀MPC議事要旨公開
 20:30 週次外貨準備高 11/20 (11/3 403.7億ドル)
11月27日
 16:00 11月経済信頼感指数 (10月 92.8)
 16:30 トルコ中銀財務安定性レポート
11月30日
 16:00 10月貿易収支 (9月 -48.3億ドル)
 16:00 7-9月期GDP 前期比 (4-6月 -11.0%)
 16:00 7-9月期GDP 前年同期比 (4-6月 -9.9%)

12月1日
 16:00 11月イスタンブール製造業PMI (10月 53.9)
12月3日
 16:00 11月消費者物価 前月比 (10月 2.13%)
 16:00 11月消費者物価 前年同月比 (10月 11.89%)
 16:00 11月生産者物価 前月比 (10月 3.55%)
 16:00 11月生産者物価 前年同月比 (10月 18.20%)

注:ポイント要約は編集部

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