もみあいも上値は重い(週報10月第1週)

今週は材料次第では再び9月安値をトライする動きが出て来てもおかしくありません。1.1620レベルをサポートに、1.1770レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

もみあいも上値は重い(週報10月第1週)

もみあいも上値は重い

〇先週のユーロは、前週の下げに対する買戻しが続く流れに
〇今週は主要国の経済指標やECB関係者の講演が続くため内容に注視
〇スペイン、フランス、英国での新型コロナ感染者数が爆発的に増加
〇今週は1.1620レベルをサポートに、1.1770レベルをレジスタンスする流れに

今週の週間見通しと予想レンジ

先週のユーロは、基本的に前週の下げに対する買い戻しが続いた流れですが、ユーロドルに関しては四半期末の実需でユーロ買いが出たことも買い戻しにつながりましたが、それでも前週の値幅から考えると61.8%戻し程度に留まっていることから上値が重たい流れ自体までは変化が無かったという期末期初になったと考えられます。

今週は連日主要国の経済指標やECB関係者の講演が続きますが、1.20の大台をつけて以降のECBの主任エコノミストであるレーン専務理事によるユーロ高が金融政策の効果を薄めるといった発言、そしてラガルドECB総裁もレーン専務理事同様にユーロ高の悪影響に言及するといったことがありましたので、今週も両氏を中心に他のECB関係者の発言がどのようなものなのかは注目でしょう。また木曜には前回理事会の議事要旨も公表されますので、前回理事会そしてその後の関係者の発言から当面のECBのユーロに対する考え方を探ることとなります。

そして、10月に入り最後の四半期へと入りましたが、スペイン、フランス以上に英国内での新型コロナ感染者数が爆発的に増えていることが、今週は気がかりな材料です。2日に7000人、3日に13000人、4日には23000人と信じられない増加ペースです。英国当局は統計的な問題に過ぎないと言っていますが、実際に増えていることも事実でしょうから気がかりです。半分以上が統計上の問題であるとしても、欧州が冬に向かっていく中で今回の各国で見られる第2波が一部の国だけで収まるのかどうか、ロックダウンの可能性も含め景気回復の遅れが懸念されてユーロ売りに繋がるでしょう。

今週はECBのユーロに対するスタンス、新型コロナ感染者の推移、あとは経済指標が予想から乖離しないかどうかと、いったところが材料ですが、ドルの材料として米国大統領選の副大統領候補によるTV討論会も念の為注意でしょうか。

早速ですがテクニカルに移ります。テクニカルには、説明しやすい動きが続いていますので、7月下旬以降の動きを振り返ります。

今週の週間見通しと予想レンジ

7月下旬からの高値圏でのもみあいを下抜けた際のネックラインがピンクのサポートラインでしたが、いまは同ラインがレジスタンスになっていると考えられます。また9月高値と9月安値の38.2%戻しが1.1765(青のターゲット)でしたが、先週の戻し高値とほぼ一致を見ていることに加え、9月高値からのレジスタンスラインを青で引いてありますが、同ラインと今週は同水準にありますし、ピンクのラインも比較的近い水準にあります。

短期的な買い戻しが終わり次の動きを探っている状態ではありますが、テクニカルには引き続きユーロ安の流れが継続しやすいと見てよさそうです。今週は上値が重たいもみあいを考えますが、出てくる材料次第では再び9月安値をトライする動きが出て来てもおかしくありません。今週は1.1620レベルをサポートに、1.1770レベルをレジスタンスとする流れを見ておきます。

今週のコラム

来週末はいよいよ10月15日、英国とEUとの協議がまとまらないと合意無き離脱と同じことになってしまいますので、双方ともなんとかまとめたいというのが本音だと思いますが、3日の段階ではまだ「将来関係を巡る交渉を続けることで一致した。合意に向けて双方の首席交渉官に集中協議に入る」と依然として双方の主張に溝があることを感じさせる発言しか出ていません。果たして残り2週間で合意に達するのかどうか、いまだ不透明な状況です。

今週はポンドの日足チャートを見てみましょう。

今週のコラム

9月高値からは急速に値を下げたものの、9月最終週に入りユーロドル同様に下げ止まる動きとなりました。英中銀のマイナス金利に否定的な発言もポンドを下支えしたとはいうものの、下げた時も戻しの時もポイントとなってきた1.30の大台が今回も重要な節目になっています。

仮にここを上抜ければポンド上昇の芽も出てきますが、今回も1.30で抑えられるとテクニカルには改めて下げを試しやすい地合いになってきます。協議の動向も今週はおそらく明確な前進は無さそうですし、英国内の新型コロナの感染者急増の動きを見ると下げに注意が必要と言えそうです。

今週の予定

今週注目される経済指標と予定はドル円週報に示してあるものと共通です。ドル円週報の「今週の予定」をご参照下さい。なお、その中でユーロの値動きに特に影響が出ると考えられる予定は以下のものです。重要な予定として注意しておきましょう。

10月5日(月)
16:50 フランス9月サービス業PMI
16:55 ドイツ9月サービス業PMI
17:00 ユーロ圏9月9月サービス業PMI
17:30 英国9月サービス業PMI
18:00 ユーロ圏8月小売売上高

10月6日(火)
15:00 ドイツ8月製造業新規受注
17:30 英国9月建設業PMI
17:35 ラガルドECB総裁講演
24:30 レーンECB理事講演

10月7日(水)
15:00 ドイツ8月鉱工業生産
15:45 フランス8月貿易収支
21:10 ラガルドECB総裁講演
25:30 フランス中銀総裁講演

10月8日(木)
08:01 英国9月住宅価格
10:00 副大統領候補TV討論会
15:00 ドイツ8月貿易収支
16:25 英中銀総裁、シュナーベルECB理事講演
17:20 スペイン中銀総裁講演
20:30 ECB理事会議事要旨公表

10月9日(金)
15:00 英国8月貿易収支、鉱工業生産
15:45 フランス8月鉱工業生産
23:00 米国8月卸売売上高・在庫

前週のユーロレンジ

前週のユーロレンジ

(注)上記表の始値は全て東京午前9時時点のレート。為替の高値・安値は東京午前9時?NY午後5時のインターバンクレート。

先週の概況

9月28日(月)
ユーロドルは東京市場では動かず、欧州市場に入ってから英中銀副総裁のマイナス金利に否定的な発言からポンドが上昇し、それに引っ張られる形でユーロにも買いが入りました。NY前場には1.1680レベルの高値をつけましたが、その後は先週木曜金曜の高値圏を抜けられずに反落。引けにかけては改めて買いが入ったものの先週後半の高値が意識されている様子でした。

9月29日(火)
ユーロドルは東京市場では動意が見られませんでしたが、欧州市場に入り先週木曜高値1.1687レベルを抜けたあたりから仕掛けっぽい買いが強まり、さらには月末実需のユーロ買いも加わってNY後場には1.1746レベルの高値をつけ、高値圏での引けとなりました。

9月30日(水)
ユーロドルは、東京市場ではユーロ円がドル円の動きに追随したことからユーロ安の動きが目立ちました。NY市場の朝方に1.1684レベルの安値をつけましたが、これはラガルドECB総裁が緩和の長期化を示唆したことがきっかけでした。その後ポンドに実需と見られる買いが入りユーロもポンドとともに上昇、東京市場の水準まで買い戻されましたが引けにかけては1.17台前半に押して引けました。

10月1日(木)
ユーロドルは、ドル円とともにユーロ円も上昇したことでNY市場までは底堅い展開を続けました。しかし、NY市場での株安とともにユーロ円が下げ、ユーロドルも上値の重たい地合いでの引けとなっていました。

10月2日(金)
ユーロドルは、朝方はドルが底堅い動きからやや上値が重たい展開で始まりましたが、トランプ大統領のニュースでユーロ円が下げ、その動きに沿ってユーロドルも下落。しかし、たいした値幅は伴わずすぐに元の水準へと戻し、その後はNYの引けまでほとんど動意が見られないままでの週末となりました。

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